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◆「日本独特の"顧客を慮る"精神は欧米のロジックを凌駕する!」



 (日経 2009/5/12) 吉越 浩一郎氏

 http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/yoshikoshi.cfm?i=20090501cv000cv&p=2


 不況の中、業績を伸ばしている日本企業の共通点として、“顧客重視”の精神を徹底的に貫いていることが挙げられると感じています。好業績企業を区分すると、生活者の衣・食・住に近い位置でビジネスを展開している企業が相対的に多いのは、その精神が具現化されている何よりの証拠ではないでしょうか。

 もともとサービス業を中心とする日本企業の“顧客重視”の徹底ぶりには、欧米には決して存在し得ない強さがあるのです。日本が率先する形で、今の閉塞した経済情勢を打開する鍵はその強さを見つめ直すことにあるのかもしれません。

■消費者の感情を無視する、ロジックのみの考え方

 ビジネス社会を引退して約2年半、年間の3分の1近くをフランスなど海外で過ごす生活を楽しんでいますが、改めて実感するのは、行き過ぎたロジックに基づいた考え方から欧米諸国が脱却できていないことです。簡単に言うとロジックさえ通っていれば、それ以上のことを提供する必要はない、とする基本姿勢です。

 一昨年の12月、フランスのシャンパーニュ地方を訪れ、年末に開催するホームパーティーのことを考えて、シャンパンを2カートンほど安く購入し、南仏の自宅宛に送りました。シャンパンが届けられたのは、それから1週間以上も経過した12月30日で、私と妻はたまたま外出しており、受け取ることができませんでした。

 玄関先に残されていたのは、「12月30日の午前11時にお届けにあがりました」と記した1枚のメモだけ。連絡先の電話番号があるだけで、日本の宅急便サービスでは当然あるはずの、不在だった場合にどうやって荷物を受け取ったら良いかなどの対処方法は何も記されていません。

 つまり彼らのロジックは「こちらは依頼の通り、確かにシャンパンをここまで運んできたが、受取人がいなので持ち帰る。その証拠にメモを残す。受け取りたいのなら書いてある電話番号に連絡して欲しい。××日までに連絡がなければ発送元に送り返す。以上」というわけです。

 荷物を届けた時に受取人がいなかったのは、配送を依頼した側の問題で、こちらの責任ではないといわんばかりで、ましてや、そのシャンパンが何のために購入されたかまでを配慮する気持ちは微塵もないのです。

 早速連絡し、交渉の末なんとか合意できたのは、翌年1月3日の配達でした。それでも受け取れたのですから、フランスのサービスレベルを考えれば“良し”とせざるを得ないのかも知れませんが・・・。



 またある時、こんな境遇に晒されたこともあります。パリから南仏の自宅へ飛行機で帰るつもりが、間の悪いことに空港の地上職員のストライキに遭遇してしまいました。フランスではよくあることで、ストによる欠航自体はあきらめざるを得ないのですが、私としては「次の飛行機はいつ飛ぶのか? その飛行機には乗れる余地があるのか?」が当然気になります。

 まったくチャンスがなく、そこでいくら待っていても仕方ないのか、あるいは多少なりとも可能性があるのかを判断できる情報が欲しかったわけです。

 ところが航空会社のスタッフに何度問いただしても「わかりません。ストライキ中なので、何もはっきりとしたことはわからないのです」を繰り返すだけ。他の帰路手段を探ろうと、レンタカーやTGV(フランスの新幹線)にも問い合わせましたが、空港を円の中心とした半径150キロメートル圏内には1台のレンタカーもなく、TGVもすべて満席で、空港で不安を抱えながら、前日から待ちわびている人たちと一緒に待つより他にすることがなかったのです。

 でも、そんな乗客の事情や感情に配慮しようという態度は、どの職員にも感じられませんでした。その当日、唯一確定した航空チケットの予約を入れられるという電話番号を聞き出したのですが、ずっと話し中で全く通じず、結局その方法もあきらめざるを得ませんでした。

 その時は翌日のTGVのチケットをパリ在住の友人に取ってもらい、さらにはその友人の家に泊めてもらって何とか事なきを得ましたが、航空会社スタッフの、ロジックのみで「ストライキなのだからしかたない」と単純に割り切り、それより先に進もうとしない考え方では、今後もサービスの質的な進歩は決して望めないと思います。

 ちなみに私が在籍した前の会社では、ストライキではありませんが、こういった特殊な事態が発生した後には必ず“反省会”を開き、改善点を見つけてマニュアルに残していったものです。


■ロジックを超え、顧客の感情に対応しようとする、“和魂洋才”で日本のサービスは伸びる!


 翻って、日本国内の同じような場面で、航空会社や鉄道会社の職員は決して「ストや事故だから仕方がない」とは口にしません。

 むしろ天候や乗客側の事情に起因する不慮の遅延・運休のような、事業者側に全く責務がないケースでも、まず「お急ぎのお客様には大変ご迷惑をおかけし、申し訳ございません」と謝罪の言葉が聞かれます。

 つまり「天候悪化などは自分たちではどうにも対処できないが、それでも確実に乗客に不便をかける要因になる」という発想がサービスの原点にあるわけです。

 宅急便サービスも同じです。指定された期日・時間にモノを届けるのは当然で、その先にある「期日・時間が指定された事情」までを考慮するから、万が一、受取人が不在だった場合の様々な対処方法が整備されている現状に至っているのです。


 昔から日本人は欧米人に比べ、ロジック=論理的な思考が弱いと指摘されています。特にビジネスにおいては、グローバル化がますます進む今後のことを考えると、もっとロジックを身につけ、それを活用できるようにならなければと私も思います。

 しかし、先にお話ししたフランスの例のように、ロジックのみの考え方がかえってビジネス改善の妨げになることもあるのです。

 むしろロジックを超えた領域においてさえ、顧客のニーズを満たそうとする日本独特の姿勢が、製品・サービスの質を世界で戦えるレベルにまで飛躍的に向上させてきたこともまた事実なのです。

 もちろん、より手間暇がかかるのは言うまでもありません。それでも、これを厭(いと)わず努力していくことが重要なのです。

 顧客など相手の感情や事情を慮って、「論理的に考えたら絶対にしない、あるいはできない」と思えることにも挑戦していく・・・ 日本に根付いている、この考え方をますます発展させていくことができれば、世界に誇れる商品・サービスの開発・提供の維持につながり、これからも日本は国際舞台で確固たる地位を築けると思います。よくよく考えると、これが“和魂洋才”と言われることではないかと思います。
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by sakura4987 | 2009-05-22 12:40

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