人気ブログランキング | 話題のタグを見る

★★★ 日本再生ネットワーク 厳選ニュース ★★★

sakura4987.exblog.jp
ブログトップ

◆日中間で主体性保った琉球 「薩摩の琉球侵攻400年を考える」シンポジウム



 (世界日報 2009/5/24)


当時の「防備の弱さ」強調

中国との仲介役を期待した徳川幕府 薩摩に侵攻中止求める

 今年は、沖縄県がかつて琉球王国であった一六○九年に薩摩から軍事侵攻されてから四百年を迎える。各地でそれをテーマにしたイベントが開催されているものの、沖縄が日本の一部となったことの是非を否定的に問いたいとの思惑が見え隠れする。そうした中で、「薩摩の琉球侵攻四百年を考える」と題したシンポジウムが九日、沖縄県立博物館・美術館で開催された。


 県立博物館・美術館主催の同シンポジウムでは、一部で、岡山大学教授の上原兼善氏が「島津氏の琉球侵略――もう一つの慶長の役」と題して基調講演した後、早稲田大学の紙屋敦之教授、神戸女学院大学の真栄平房昭教授、名瀬市文化財審議委員の弓削政己氏、琉球大学の高良倉吉教授がそれぞれの視点で報告。その後行われた報告者による二部のパネルディスカッションで薩摩藩支配下における琉球の実態と今日的意味を検証した。

 一六〇九年、薩摩藩は琉球王国に対して軍事侵攻を行った。沖縄本島における戦闘はわずか十二日間で終了し、琉球王国は首里城を明け渡すことになる。

 時の王尚寧は捕虜として薩摩に連行され、二年後に琉球に帰還。以後、琉球は廃藩置県の一八七九年まで薩摩の間接支配を受けることになる。沖縄が日本に併合されたこの薩摩の侵攻をどう総括するかというシンポジウムである。

 沖縄学の創始者である伊波普猷は戦前、薩摩の侵攻が「奴隷解放であった」(日本に併合されて沖縄が文明化したとの意)として物議を醸した。

 伊波の考え方は、琉球の文化はもともと日本の一部であったのだから、日本と一緒になることに何の不都合なものはない、むしろ伝統ある日本文化の恵沢を受けたとの意味であったが、反日派は伊波を批判した。現在でも、基地問題等で政府を批判する知識人たちは伊波の見解に反対する。

 まずその事件の名称についてだが、薩摩側からすれば「琉球入り」となり、琉球側からすれば「軍事侵攻」となる。そのどちらの側に立つのかということを避けようとすれば「慶長の役」とするのが無難だ。

 それを今年「薩摩の琉球侵攻」と題した著書を発刊した上原兼善・岡山大学特認教授が基調講演を行った。この書名からも分かるように上原教授は薩摩の行動は軍事侵攻であったとの認識に立つ。

 しかし、その上原教授でさえ当時の琉球側の「防備の弱さ」を強調する。これは沖縄を無防備地域にしようと運動する人々への十分な歴史的反証となる。

 薩摩侵攻の三年前に琉球を訪れた中国の使者、夏子陽の史料によると、琉球には甲冑は十分あったものの弓、矛、刃の類は不足していた。最大の難点は火器がないことであった(後に火矢はあったことが分かる)。そのため、部下に指示して造らせたという。ある程度の軍事力は用意していたものの、常備軍はなく無防備に近かった。

 その状態を心配した夏子陽は、琉球王朝の高官に薩摩の動向への懸念を伝えた。すると高官は、「心配はご無用、多少の備えはあり、かつ最後は琉球の神が守ってくれる」と述べたという。しかし、いざ三千人の薩摩軍との戦闘が開始されると、七百三十四丁の鉄砲を駆使し戦闘慣れした薩摩軍の前に簡単に敗北してしまったのであった。

 シンポジウムではこれまであまり知られていなかった面も紹介された。例えば、薩摩藩は徳川幕府の許可を得て琉球侵攻を行ったものの、幕府側は必ずしも諸手をを挙げて賛成していたわけではなかった。

 中国との関係改善を希望していた徳川幕府は、その仲介を琉球王朝に期待していたからである。上原教授によると、何度か幕府は薩摩に琉球侵攻を思いとどまるよう説得している。

 さらに紙屋敦之・早稲田大教授によると、家康、秀忠と対面した尚寧は、天皇が乗る駕籠の使用を許可されたり、対座するなど国王の扱いを受けた。これなどは、従来、捕虜として尚寧が扱われたとの認識を覆すものである。

 シンポジウムを通じて明らかになったことは、薩摩の間接支配下の二百七十年は従来指摘されてきたような暗いイメージではなく、案外、琉球側が一定の主体性を持って王国を運営していたということだ。

 薩摩支配下の琉球は、日本に対しては日本のおかげで栄えているとの態度を取り、中国に対しては相変わらず臣下の礼を表明、かつ、琉球として独自の主張もするという、日中間でうまくバランスをとりながら自己の存在を保っていた時代と言える。
by sakura4987 | 2009-06-11 07:07

毎日の様々なニュースの中から「これは!」というものを保存していきます。


by sakura4987