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◆【櫻井よしこ 麻生首相に申す】苦しいときこそ大方針



 (産経 2009/6/11)


 東京都議会議員選挙を前に、麻生太郎首相が自民党系候補者全員を訪ね、激励を始めた。笹川堯党総務会長は、都議選で負けて、本選挙(衆院選)で勝つなどあり得ないと述べ、首相の行脚はまさに総選挙と一体だと述べた。

 麻生自民党への支持率は、小沢氏の公設秘書逮捕で民主党支持率を上回ったが、小沢氏辞任でまたもや民主党優位となっている。都議一人一人を励まし、その成果をなんとしても総選挙につなげたい気持ちは分からぬでもない。だが、状況が厳しければ厳しいほど重要なのは、本を正すことだ。

 陽明学の泰斗、山田方谷は、「事の外に立つ」重要性を指摘した。政治においても経済においても、指導者は事の外に立たなければならず、「事の内」に屈してはならない。姿勢を正し、心を正して大方針を立てよということだ。

 大嵐が襲来するとき、30センチ眼前の壁や50センチ先の穴にばかり気をとられていては、到底、突破できない。手傷を負うのは避けられないにしても、手傷などでは自民党保守は斃(たお)れないことを示すための手を、いま、この苦しいときにこそ打っておかなければならない。そのための大方針だ。

 大方針は、国家、国民、国益のための長期展望である。政権政党であり続けた自民党が、長年、この大戦略を示し得なかったために、国際社会における日本の地位は低下し続けた。

 日本がどれほど異常な国か、国連安全保障理事会が論じている対北朝鮮制裁決議案をもとに見てみる。周知のように、日本は米国とともに、北朝鮮向けの船の貨物検査と金融制裁を柱とした制裁決議を主張したが、国連安保理が日本の主張に沿った制裁決議を採択した場合、日本は不名誉の渕(ふち)に沈むだろう。このままでは、肝心のわが国自衛隊は、事実上、貨物検査に参加できないからだ。理由は、自衛隊が、一連のばかばかしくも非現実的な法律によってがんじがらめに縛られているからだ。

 海上自衛隊の貨物検査実施の法的根拠は「周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律」(船舶検査活動法)である。同法第5条によって、海自に許されている船舶検査活動は7段階に分類される。(1)船舶航行の監視(2)船舶への呼びかけや信号弾によって、自己の存在を知らしめる(3)相手船舶の船籍、目的港、積み荷などの照会(4)相手船舶に停止を求め、船長ら同意の上で相手方に乗り移り積み荷検査をする(5)船長に目的地変更を求める(6)説得する。

 以上の措置が効果を発揮しない場合は(7)追尾する-とされた。

 どの場面でも自衛隊には強制力がない。武力行使も許されない。許されているのは、ひたすら工作船などにまとわりつくことだ。

 万が一、相手船舶が攻撃をしてくれば、自衛隊も武器を使用できるが、その場合も、正当防衛のケースなどを除いて「人に危害を加えてはならない」ために、工作員や海賊であっても、負傷させたり、死なせてはならない。これでは、他国の軍艦と一緒に、臨検などできない。日本はまともな国家かと問われ、他国から批判され、侮られてしまうだろう。

           ◇

 中国の北朝鮮擁護ゆえに、国連決議に貨物検査が含まれるかどうかは、予断できない。仮に、中国が態度を変えて加盟国に貨物検査が義務化されたとする。その場合、貨物検査活動の制約以前に、日本は活動に参加できないのだ。なぜなら、先の7段階の活動にしても、現状が日本の平和と安全に重要な影響を与える「周辺事態」であると認定されることが大前提だからだ。

 持てる力を行使できない自衛隊は、では、現実にどんな活動をしているのか。PSI(大量破壊兵器拡散防止構想)を見てみよう。

 PSIは2003年、米国のブッシュ政権が提案した。北朝鮮船舶への貨物検査活動とも密接につながる大量破壊兵器拡散防止の取り組みである。現在90以上の国々がPSIを支持し、参加、協力中だ。

 07年10月には、PSI海上阻止訓練「Pacific Shield 07」を日本が主催した。その際の海自の活動を平成20年度版の防衛白書はこう記した。「自衛隊は統合訓練として、洋上における海・空自による捜索・発見・追尾及び海自による乗船、立入検査並びに陸自による港における容疑物質の除染などに関する展示訓練を行(った)」

 軍事評論家でシンクタンク、国家基本問題研究所の潮匡人氏が語る。

 「政府説明をよく読んでください。日本の活動はパネル展示にとどまったということです」

 なんと驚くべき実態だろうか。

 持てる力を決して発揮させない仕組み。日本の国家としての力をシロアリのように食いつぶす仕組み。それが憲法9条であり、集団的自衛権に関する内閣法制局の虚(うつ)ろな解釈、さらには、机上の空論の現行防衛法制である。

 こうした事態が見えてくるからこそ、国民は訝(いぶか)るのだ。日本国は大丈夫か、と。そして切望するのだ。個々の都議への異例の応援もよいが、首相には日本の行く末について大戦略を考えてほしいと。

 首相が決断すべきことは、ほかでもない。安倍晋三元首相が始めた集団的自衛権の行使を禁じた政府解釈の見直しである。幸いにも「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」がすでに立派な報告書を出している。同報告書を、来る衆院選で自民党の公約として掲げるのがよい。それが日本の新たな大戦略を切望する国民の期待に応える道であり、自民党の危機を救う道でもある。
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by sakura4987 | 2009-06-12 11:59

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