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◆【正論】帝京大学教授・志方俊之 安保輸出管理は省庁横断の体制で

産経平成18年2月27日 産経新聞

「機器」のほか「技術」にも監視を

≪発覚した不正輸出の連鎖≫

 さる一月二十三日、静岡県磐田市の大手メーカーが、軍事目的で転用可能な「小型無人ヘリコプター」を、直接中国に不正輸出しようとした容疑で、福岡・静岡両県警の合同捜査本部および名古屋税関の捜査を受けた。

 また二月十三日には、川崎市にある大手の精密機器メーカーが、核開発に必須なウラン濃縮用遠心分離機の管理に転用できる精密な「三次元測定器」を、中国とタイに不正輸出した容疑で警視庁公安部の捜索を受けた。

 さらに、同月十七日、東京都荒川区および文京区の貿易会社が、生物兵器の生産に転用可能な「凍結乾燥機」を、台湾経由で北朝鮮に不正輸出した容疑で、山口・島根両県警の捜索を受けた。

 これらは、いずれも民用の機器だが、そのままの形で軍事用に転用できることから、輸出する際には経済産業省に届け出て、大臣の許可を受ける義務がある。

 捜査中で詳細は不明だが、これまでの捜査だけでも「小型無人ヘリコプター」の場合には、輸出先が中国の軍部に関連していることを承知した上での取引とされている。

 「三次元測定器」の場合には、性能を実際より低く申告して、規制の網をすり抜けようとした虚偽申告の疑いもある。

 「凍結乾燥機」は、前者と同様に、大量破壊兵器への転用の恐れがあるとして、外国為替法の「キャッチオール規制」が適用され、輸出許可申請が厳しく義務付けられている機器である。この輸出を取り扱ったのは、北朝鮮と直接関係のある企業とされており、不正輸出は既に明らかである。

≪警戒感も危機意識も欠如≫

 ここで、安全保障輸出管理にかかわる不正輸出がいかにわが国の国益を損なうものか明確にしておきたい。

 まず、小型無人ヘリコプターは現在自衛隊がイラクのサマワで自隊警戒のため「遠隔操縦観測システム(FFOS)」として運用しているもので、単なる模型ヘリコプターではない。

 無人機と追随・発進・統制装置からなるトータルなシステムで、大量破壊兵器の拡散に関するものではないが、わが国の武器輸出三原則に照らせば、外国為替法および外国貿易法に基づいて当然、経済産業大臣の許可を必要とするものである。

 「三次元測定器」と「凍結乾燥機」の場合は明らかに違法であり、大量破壊兵器の拡散を防ごうと努力している国際社会の一員として、信頼を損なう責務違反である。このような輸出は、法令を知らなかったとしても、その責任を免れるものではない。一流企業の経営陣が、安全保障輸出管理にかかわる一連の規制を「知らなかった」「教えていなかった」「該当しないと考えていた」では済まない。

 このようなあきれたことが行われる原因の第一は、利益のみを追求する経営陣の拝金主義。第二は、企業内の「コンプライアンス(法令順守)・プログラム」の杜撰(ずさん)さ。第三は、国益を損なうことに対する警戒感や危機感の欠如だ。

 第四は、不正輸出を監視する国側の体制の不備だ。

 しかし、一日に何千何万件となる、わが国からの輸出品目の監視を、国だけで行うことは無理がある。

 専門知識を持った正規な要員も不足しているし、委嘱している安全保障貿易管理調査員の数も少ない。人員の増強は急務である。

≪頭隠して尻隠さずの現状≫

 若年定年制を敷いている自衛隊の幹部退職者の中には、この調査員に適した者が多いので、彼らを大量に再就職させる方策も一案だ。

 さらに注意すべきことがある。安全保障輸出管理の対象は、必ずしも「機器」だけではなく、これに関連する「技術」もある。

 わが国には、多くの外国人留学生が、宇宙開発分野や電子通信分野で学んでいる。学問の自由という聖域だから、学んだことを母国へ持ち帰ることに何の規制もない。

 しかし、留学生が帰国後、その国の軍事分野に職を得て、通常兵器や大量破壊兵器の開発に携わらないという保証はない。わが国の大学で行われている宇宙技術の研究は、平和目的のものであるから、留学生が学ぶことは規制の対象とならない。

 米国では、留学生を受け付けない研究テーマを指定して、研究を委託した省庁が、微妙な技術の流出を厳重に規制している。

 安全保障輸出管理は、経産省だけではなく文科省など、省庁を横断した監視体制を構築しなければ、「頭隠して尻隠さず」となる。(しかた としゆき)
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by sakura4987 | 2006-02-27 08:50

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