◆中国 15日に向け「愛国」一色 北京では「南京大虐殺」特別展も
「南京大虐殺」を回顧する大規模な特別展示会が十日、北京市の中国国
家博物館で開幕した。日本が降伏した八月十五日に向けたキャンペーンの
一環で、共産党機関紙、人民日報も十日付から抗日戦の歴史的意義をたた
える論文の掲載を始めた。初日は「共産党の指導で侵略者日本を打破した」
との論文。「愛国主義教育の強化」を背景に「愛国とは愛党」をキーワー
ドにしたキャンペーンが一気に加速し始めたといえる。
「犠牲者三十万人」との文字を大きく掲げた北京での特別展示会の期間
は二十日間で、入場料は無料。展示物の八割以上が初公開とされ、「六百
余の虐殺関連の写真と七百五十三点の文物・史料」と宣伝している。
南京市の「南京大虐殺記念館」は昨年三月の無料開放後、一日の入場者
は延べ一万五千人に上るとされている。
著名な「愛国主義教育基地」である北京郊外の「抗日戦争記念館」は、
盧溝橋事件にちなみ七月七日に再オープンしたが、入場者は一日一万人を
数えるという。
いずれの記念館もその主題は、屈辱の歴史を忘れずに「愛国主義の伝統
を軸に党のもとに結集し強い中国を打ちたてよう」との趣旨が基調であり、
政府系メディアがその趣旨を伝えている。
十日付人民日報は一面の社告で「抗日戦争勝利六十周年」にちなみ特別
欄を新設し連載すると伝えた。初日は「共産党の指導力」に重点を置いた
長文の論文で、編集者の「生き生きとした抗日戦争の歴史が愛国主義教育
を推進する」とのコメントを別途掲載、キャンペーンの焦点が「愛国主義
教育」の推進と明確に位置づけている。
中央テレビでも中国共産党の指導で抗日運動を繰り広げた八路軍のドラ
マを始めているが、軍機関紙、解放軍報(二日付)も抗日戦争の歴史を題
材に「愛国主義教育の強化」を強調し、「共産党のもとに結集し富強国家
を建設しよう」と訴える曹剛川国防相の長文の論文を掲載、党への求心力
を「抗日の偉大な歴史」に求める姿勢を鮮明にした。論文では、党の指導
のもとで愛国主義を常に高める必要性を強調している。