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◆【持論時論】『国史』を現代語に訳して-作家・画家、出雲井 晶さんに聞く

「民族の物語」として歴史記す

昭和天皇は13歳で学ぶ/現行教科書の歪みは明白

神話は先祖の慈愛の祈り

 日本神話の執筆・普及活動をしている作家の出雲井晶さんが最近、昭和天皇の歴史教科書、白鳥庫吉著の『国史』を現代語に訳した。天皇の視点で書かれた「民族の物語」で、歴史教科書の在り方が繰り返し議論の的になる今の日本に一石を投じるもの。出雲井さんにその経緯と意義を伺った。

 (聞き手=フリージャーナリスト・多田則明)

 ――白鳥庫吉博士の『国史』を訳そうと思われたのは。

 『昭和天皇』を書き終えた五年前のころ、偶然、『国史』の復刻版を目にした。昭和天皇の高貴な人格は、生まれながらのものもあるだろうが、やはり周りからの帝王学の影響が大きいと思う。箕作元八(みつくりげんぱち)博士の歴史書を何度も読み、講義も受けておられる。私は西洋史は手に余るので『国史』を読んでみたが、簡単ではなかった。昭和天皇は十三歳でよくこれを勉強されたと思う。

 そこで、今の若い人にはなおさら読めないだろうと考え、『誰も教えてくれなかった日本神話』を出した講談社に現代語版を打診すると、ぜひやってほしいとなった。とても苦労したが、いい勉強になった。これが日本の本当の歴史で、いかに今の歴史教科書が歪(ゆが)んでいるかが分かる。

 ――今年は終戦六十年になる。

 もう国民の大半が戦後教育を受けているわけで、日本の歴史の本当の姿が分からなくなってしまっている。私の女学校の先生も歴史を羅列的に教えるだけだったが、平泉澄(きよし)博士の『少年日本史』などを読んで歴史が面白いと思うようになった。

 広島の女性草莽(そうもう)塾という会で話をしたことがある。すごい名前なので歴史に詳しいだろうと思うと、皆さん教科書の歴史が当たり前だと思っていたという。始まりはダーウィンの進化論で、邪馬台国の卑弥呼が魏に貢物をしたと教えられている。私が、魏志倭人伝は中国から日本を見た話で、それが正しい見方ではない、邪馬台国も倭国、卑弥呼もおとしめた言い方だと言うと、初めて聞く話だというので私の方が驚いた。多くの日本人がそうなのではないか。

 ――白鳥博士は東洋学の権威なので、日本を取り巻く東アジア情勢を非常に正確にバランスよく書かれている。

 こちこちの民族主義者には叱(しか)られそうだが、ほとんどの天皇は決して皇室中心、日本中心の考え方ではない。

 建武の中興についても、それが成功したのは鎌倉幕府がおとろえ、領地の安全に危機感を持った全国の武士が背いたからだとする。それを朝廷は理解せず、ただ皇室の権威回復のときがきたとばかり、ややもすると武士を軽んじたので最後は失敗してしまった、と決して天皇親政をよしとする書き方ではない。為政者として正確に状況を判断することの大切さを教えている。

 歴史をたどると、弓削道鏡や蘇我入鹿など私欲で権力を振るう人が出てくるが、そのたびに正す力が働いている。それがとても勉強になった。

 また『国史』は歴史教科書と違い、一貫して天皇の視点で書かれているため歴史の流れが分かり、まさに「民族の物語」として読める。教科書の場合はいろいろな見方が混ざっているので、特に受験では最後には暗記物になってしまい、歴史の面白みが分からなくなる。小学校の先生からも読んで感動したという手紙が来た。

 ――美しい日本語なので、音読すると心に染み入ってくるように感じる。

 そう読んでもらえるとありがたい。面白いのは、一つの話が終わると、「これは今から何年前のことである」という言葉があって、現在とのかかわりを確認させている。時代を経るごとにそれが近づいてくるので、確かに歴史が流れているという感じがする。その語り口は、まるで古老が先祖の歩みを若者に教えるようで、皇太子に対する帝王学の教科書としてまとめたことがうかがえる。すごい教授陣が東宮御所で教えたので、あのような立派な天皇がお出来になった。

 ――日清、日露の戦争に関しては、その原因はいずれも韓国にあったと書いてあり、正鵠(せいこく)を射ている。

 アジアとのかかわりをどう表現するかが一番難しかった。隣国の情勢は日本に深刻な影響を及ぼす。明治以降は、韓国が近代国家として発展するよう、日本はかなり投資してきた。国の舵(かじ)取りをする政治家には、とりわけ歴史をきちんと勉強してほしいと思う。

 昭和天皇は戦争にならないように最大限の努力をされたが、そのことを国民はあまり知らない。私は日本の歴史教科書から消されたのは、神話や古代史だけかと思っていたが、近現代史も見事に消されている。古代史から教えてきて、近現代になると教える時間がなくなる。それに入試に出ないからと勉強しないこともあって見事に知らない。最近は、六十年前まで大変な戦争があったことも知らない人が増えているらしい。

 ――今、皇位の継承をめぐって議論があるが。

 皇位が途絶えそうなことは何度かあった。武烈天皇に皇子がいなかったので、越前にいた応神天皇の六代目の皇孫を天皇に迎えたのが継体天皇。その前に、仲哀天皇の五代目の皇孫が丹波にいたので迎えに行ったが、その皇子は迎えのものものしさに恐れをなして姿を隠してしまった。

 白鳥博士は、「世に知られなかった王子をお迎えし、天皇の御位を継いでいただき、心を一つにして皇室の安泰をはかった多くの臣下たちの功績と、それを支えた国民の心情は、そのどちらも尊いものです」と書いている。昔は天皇の周りでお守りする人たちも、歴史を知って仕えていたが、今は官僚が職務としてやっているだけのように思える。

 今は開かれた皇室にする傾向が強いが、ファッションと同じように見られるのはどうか。皇太子の発言が波紋を起こしたりすることについては、私は「もう一度菊のカーテンを降ろせばいい」と言っている。

 また、女性天皇容認の風潮が強いようだが、やはり、女性天皇というのは難しいと思う。かつて何人かの女性天皇はいたが、いずれも男性天皇までの中継ぎで、百二十五代はすべて男系だった。それが、愛子様が天皇になると、女系に移ってしまう。神武天皇以来、一貫して男系で継承されてきたというのは、やはり何か深い意味があるからで、それを今の考えで変えてしまうのはどうかと思う。

 ――昭和天皇の美徳とは。

 一番は無私、次いですべての人類の幸せを願われる慈愛。昭和天皇は、神話の神髄を淡々と、戦前も戦後も全く変わらずに歩まれたお方だと思う。一番感動するのは、昭和二十年八月十五日の敗戦から、占領下での復興の道のり。二十一年の歌会始で、「ふりつもる み雪にたへて いろかへぬ 松ぞををしき 人もかくあれ」と詠(うた)われた。覚めた目で占領政策を見通され、良いところは学んでも悪いところに染まるなと、それとなしに語っておられる。そのご心境がすごく素晴らしい。

 先の敗戦は、日本の歴史始まって以来の最大の国難だったが、昭和天皇がおられたからこそ乗り越えることができた。その意味では日本民族は幸運だと言える。

 昭和天皇は中学生のころ、倫理の杉浦重剛(じゅうごう)先生に、「天皇の徳とは」と聞かれ、「日月私照(ししょう)なし」(日や月のように、どんな人も同じように照らす)と答えておられる。その徳を持ち続けられた。そして戦後、全国をご巡幸され、それが日本人を励まし、奇跡的な復興につながった。

 ――GHQ(連合国軍総司令部)は危険だからやめさせようとしたが、そんなことは一切起きなかった。

 昭和天皇のご事績をたどると知らないことばかりだった。毎日、泣きながら書いて、平成八年に五百ページの『昭和天皇』(日本教文社)を出した。そしてご生誕百年記念の十三年に、短く読みやすくした『昭和天皇』を産経新聞社から出した。昭和天皇の御心を見習えば私たちも幸せになることを分かってもらえたらと思う。

 ――戦後、聖なるものの価値がおとしめられた結果、生きる意味、命の尊さが失われている。

 古代のご先祖は、目に見えない大いなるものが、自然にも人々の内にもあることを知っていた。そこに目を向けて暮らすと幸せになるということを、子孫に「幸せの道しるべ」として語り伝えたのが日本の神話で、先祖の慈愛の祈りともいえる。それを分かってほしいとの思いで、私は神話の本を書き、普及に努めている。

 いずもい・あき 北海道生まれ。作家、日本画家。日本文芸大賞女流文学奨励賞、文部大臣表彰など受賞。勲四等瑞宝章。日本画家として日仏現代美術展、パリ・ル・サロン展など入選多数。内閣総理大臣賞など受賞。「日本の神話」伝承会会長。著書は『花かげの詩』『春の皇后』『昭和天皇』『誰も教えてくれなかった日本神話』『日本神話の知恵』など多数。
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by sakura4987 | 2006-03-21 12:39

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