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◆【待ったなし 人口減少時代】第3部「漂流する日本らしさ」(5)

世代間の対話減り言語力低下

≪伝わらない熱意≫

 関東地方を中心に和食店を展開する「綱八」。昨年まで社長や専務とともに採用の面接試験を行う人事部長だった谷所(やどころ)健一郎(47)は、五年ほど前に出会った男子学生を今もよく覚えている。

 どんな質問にも、いかにもマニュアル本にあるような型通りの受け答え。入社への強い意志や熱意が感じられない。が、面接を終わろうとした時に返ってきた言葉だけは鮮烈だった。

 「最後に何か質問はありませんか」

 「ぼくは会社の人事の人が信じられない。面接の時はニコニコしているのに、採用はみんな断ってくる。ぼくの何が悪いんでしょうか」

 谷所は、一万人を超える就職希望者を面接してきた人事のベテランである。その彼が驚き、その経験がやがて『面接必勝法』という本を書くきっかけになった。

 「志望の動機や熱意を、きちんと言葉にできない。聞かれたことに一語か二語の単語で答えるだけ。将来どうしたいかなどについて、こちらからヒントを与えて誘導しても、どうやって答えたらいいのか分からない様子の若者が多い」

 その結果、伝わらない気持ちに、男子学生はいら立っていたのだろう。谷所は言う。

 「学生時代は基本的に、友人という横のつながりだけだが、就職すれば上司、同僚、仕事先など人間関係は複雑化する。組織に入って、人との接し方、組織内での役割の見つけ方が分からない若者も増えている。根本的なところで、コミュニケーション力が落ちている気がする」

≪「問題な日本語」急増≫

 メディア教育開発センター(東京)教授の小野博(59)らは昨年十一月、平成十六年度に入学した大学生・短大生約一万三千人に行った国語の学力テスト結果を発表した。「中学生レベル」と判定された学生は国立大で6%、私立大で20%、短大では35%にのぼった。「憂(うれ)える」の意味を「喜ぶ」と思い込んで講義内容を取り違えるなど、学生生活に支障が出るケースもあった。

 小野は「少子化で、自己推薦など試験が必要ない入学や全員入学・定員割れが増加したことが、日本語力の低下を招いている」と指摘する。高齢社会だが、核家族と単独世帯が86%(平成十二年国勢調査)を占める社会構造の影響も大きい。「若い世代は同じ世代間でしか使われない言葉を使う。祖父母をはじめ、家族との対話が少なくなったことが要因だ。そこに受験という歯止めがなくなったため、親も注意できなくなっている」

 アンケートを基に実例を数多く挙げた『問題な日本語』(大修館書店)が昨年末の出版以来、七十万部を超えるベストセラーになっているのも、こうした世相の反映だろう。

 「年配の人は『〇〇のほうをお持ちしました』といった“問題な日本語”を苦々しく思っていたと思う。そうした言葉遣いを丁寧に掘り下げたことが評価されたのではないか。若い人も自分の言葉が問題なのかどうかという視点で読んでくれているようだ」

 編者で日本学生支援機構理事長の北原保雄(68)は、ヒットの要因をそう分析する。“問題な日本語”が増えてきた要因はやはり少子化、と北原も言う。

 「コミュニケーションの機会が少なくなって、『これって良くなくなくない?』など今の若者言葉は、正確な意味よりも雰囲気が伝わればいいというものが多くなってきている。『タンゴ(単語)族』や『サンゴ(三語)族』が増え、文が短くなると使用する語彙(ごい)がどんどん少なくなる。三世代が同居していなければ、言葉の伝承もうまくいかない。教育や家庭で真剣に取り組む必要がある」

≪成人してもなお過保護≫

 面接・採用試験のベテラン、谷所は学生を通して親の世代の様変わりを感じているとも言う。

 「昔は就職先から実家に戻ってきたら、『もう一度頑張れ』と説得する親が大半だった。最近は『そんなにきついのだったら辞めればいい』『無理に就職する必要はない』という親が増えてきている」

 成人してもなお続く過保護や過干渉。二〇〇七(平成十九)年にも始まる人口減少時代を支える貴重な若年層をどう育て、何を伝えるべきかという思慮は、そこにはない。=敬称略

 (人口減少問題取材班)
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by sakura4987 | 2006-03-21 12:43

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