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◆「南京映画」と情報戦略

(産経 06・4・15)

【緯度経度】ワシントン・古森義久

 南京事件に関する「ハリウッド映画」の虚報の源を探っていったら、日本の国連安保理常任理事国入りへのグローバルな反対運動に突きあたったので驚いた。だが、そんな思わぬつながりに改めて認識させられたのは日本にとっての対外的な情報戦略の重要性だった。

 発端は読売新聞一月十九日付朝刊に載った上海発の記事だった。上海紙の「文匯報」に出た南京事件ハリウッド映画製作の報道をそのまま転電していた。

 記事は「米国の有名な俳優兼監督のクリント・イーストウッドが旧日本軍の南京での中国人虐殺を米国人宣教師の目を通じて描く『南京・クリスマス・1937』という映画を、女優メリル・ストリープの出演で製作し、来年十二月の南京事件七十周年に合わせ、全世界で同時公開する」という要旨だった。

 この報道は当然、日本側の各方面に懸念を引き起こした。なにしろ全世界で人気の高いイーストウッド氏が「マディソン郡の橋」で共演した名女優のストリープさんとまたコンビを組むというのだ。

 しかも中国側とタイアップするハリウッド映画だというのだから、中国側の主張が効果的なドラマの形で世界各国へ広められることとなる。

 本紙正論コラムでも、田久保忠衛・杏林大学客員教授が「気がかりな問題がある」として、この「南京ハリウッド映画」を取り上げ、「中国の新聞や企業が後援しているとなると、日本悪者論が世界中に広がる可能性が少なくない」と論評した。作家の深田祐介氏も「米国で映画化され、世界公開されれば、どんな話でも『事実』として刷りこまれてしまう」という警報を発した。

 日本側の懸念もここまで広まると、当のハリウッドを抱えた米国駐在記者としてこちら側の取材をせねばならないと感じた。そしてクリント・イーストウッド氏に連絡をとった。本人には直接、話せなかったが、同氏の仕事を取り仕切るエージェントのレオナード・ハーシャン氏に電話で問い合わせることができた。

 すると、なんのことはない。ハーシャン氏は「イーストウッド氏が南京事件映画にかかわるというような話はまったくのウソ」と答えた。しかもよく聞いてくれたという感じで、そんな「報道」がデタラメであることを日本や中国の人たちに幅広く伝えてほしいと、こちらに要望するのだった。

 ここで改めて感じたのは、この種の日本についての国際情報は早めにチェックすることが不可欠というごく初歩の自戒だった。とくに独裁政権がマスコミを管理する中国発の日本にとってネガティブな「情報」の点検の重要性を痛感した。ちなみに文匯報は中国共産党上海市委員会の監督下にあり、この規模の地方新聞にしては異様なほど海外支局の数が多いという。

 さてさらに調べると、「南京ハリウッド映画」の情報はロサンゼルスに拠点をおく「第二次大戦アジア史保存連盟」(ALPHA)という在米中国系組織が文匯報より早い昨年十二月にプレス発表していたことがわかった。

 「ハリウッドがついに『南京・クリスマス・1937』という映画を製作することになった」という対外発表だった。イーストウッド氏らの名こそないが、情報の骨子は文匯報の記事と同じである。

 ALPHAというのは一九九八年ごろにはアイリス・チャン氏著の「レイプ・オブ・南京」を米国内で大々的に宣伝した組織だった。常に日本を攻撃する一貫性から、はっきり反日団体と呼べる。しかも中国当局が明確に関与する「世界抗日戦争史実維護連合会」という日本糾弾の組織の傘下にある。

 さらに興味深いことにALPHAの昨年十二月十日付の同じ「プレス発表」には自組織が昨春、「日本の国連安保理常任理事国入りへの試みに反対して他の団体とともに五週間足らずの間に全世界で合計四千二百万人分の反対署名を集めた」と誇らしげに記されていた。

 日本の「過去」だけでなく現在の言動にもとにかく攻撃をしかけるという反日の本質をあらわにする記述であり、組織の存在目的だといえよう。こうした組織が「南京ハリウッド映画」のプロパガンダ拡散に明らかに関与していたわけだ。

 「イーストウッド、ストリープ共演の南京虐殺ハリウッド映画」などという日本側を動揺させる虚報の背景を探っていくと、中国から米国へ、南京事件から国連常任理事国入り問題へ、政治意図に満ち満ちた黒い情報戦略を感じさせられた次第だった。日本側としても中長期の効果的かつ敏速な対応が不可欠なことを証する典型ケースだと思った。
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by sakura4987 | 2006-04-15 10:40

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