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◆内村鑑三が選んだ藤樹

 (世界日報 06・4・9)

中江藤樹記念館館長 中江 彰氏に聞く

教えを早く伝えたい 新秩序、倫理観の確立を

 なかえ・あきら 昭和28(1953)年、大阪府堺市生まれ。佛教大文学部史学科卒。同大歴史研究所研修員、滋賀県安曇川町教委技師、中江藤樹記念館長補佐などを経て、平成16年から現職。著書に『安曇川町史』『中江藤樹入門』『鑑草ものがたり』など。


 ――生誕四百年が近づいていることもあって、藤樹は再び脚光を浴びつつあるようですね。

 今でも代表的日本人だと思います。学問といえば一部の特権階級のものでしたが、藤樹先生の登場以後、すべての人にとって学問は大切だという認識が広がったのですから。しかも、ただの学者ではなく、その教えを実践したことによって高い徳を修めた。人々はその徳を慕い、その徳に感化されたわけです。

 戦後の教育は道徳や文化よりも、経済至上主義の人間の育成に重点が置かれていたと思えます。今なお、その延長線上をひた走っている。その揚げ句の果てが、人心が地に落ち、モラルが欠落した昨今の嘆かわしい社会風潮です。先生自身も当時、新しい秩序、倫理観を確立したいと望んでいました。現代に通じる話です。


 ――陽明学といえば、よく知られた「知行合一」とともに「致良知」という考えがありますが。

 「良知」は良心のことと思えばいいでしょう。王陽明は致良知を「良知を致す」とし、良心を信じて実行することを説きましたが、藤樹先生は「良知に致る」と読み替え、まず良心を磨くことを教えました。そのため、藤樹は消極的だと指摘する学者もいます。

 前者の解釈だと、大塩の乱を起こした大塩平八郎的な考え方、つまり社会の変革につながるような方向に行きやすい。藤樹先生はある意味ではそうなることを危惧(きぐ)し、まず、自分の良知をしっかり磨くことが先決だと説きました。それから自分の行いをなせと。


 ――現代は良心さえマヒしたような人間が横行しています。

 先生には次のような言葉があります。すべての人間は、金銀珠玉よりもなお優れた「明徳」という宝を賦与(ふよ)されてこの世に生を受けている。天は万物を生み育てる父母であるが、明徳は人間だけに与えられた。人間が万物の霊長と呼ばれる所以(ゆえん)は実にここにあると。

 ところが、考えられないような犯罪や不祥事が相次ぐ昨今の殺伐とした世相を見るとき、こうした現実の社会と先生の教えとのギャップは、どうして生じるのだろうかと疑問に感じることがあります。

 これに対して、先生の答えは至極明快です。つまり、私たちは日常生活の中で明徳を発揮できずにいる。「満心」と「名利の欲」によって明徳を曇らせている。暗雲のように覆う満心を取り除かねば、アクのように溜(た)まり、ついにはその人の心や言動を狂わせてしまう――というのです。

 満心とは、われこそが、という我執の心であり、そこには人を温かく思いやる心など、さらさらありません。この満心のない人間は稀(まれ)だと先生は言っています。


 ――明徳を曇らせないように、藤樹はどう指導したのですか。

 学問というものは、明徳を輝かすためにある。常に五事を正す努力によって、その人の持っている習癖が取り除かれると説いています。五事はもともと「書経(しょきょう)」にある言葉で、先生は実学としてこれを重んじました。すなわち、「視」穏やかな眼(まな)差しでその人を視(み)る、「聴」その人の話す言葉をよく聴く、「言」誠実な態度でその人に語る、「動」まごころをもってその人に応接する、「思」常に善の心を存する、の五つです。


 ――藤樹のどういうところを今の教育に生かすべきだと思いますか。

 教育の本質は、教える側の人格、徳による教化です。その理想と見本を藤樹先生に見ることができます。教育の根幹は子供に善の心を育てること。もっと人格を陶冶(とうや)する道徳教育に力を入れなければいけませんね。

 先生の教育のように、一対一の対話の中から教えが波及して、それが多くの人の心に浸透していくというスタイルが重要だと思います。目の前の一人の人間を善導できる人、それが真の教育者だということを身をもって示したのが先生です。

 それから、著書の中で「討習講論」という言葉をよく使っている。これは、一方的に相手に教えを押し付けるのではなく、議論する中で学問を深めていくというやり方です。こういう学習法を繰り返していると、ずうっと地下水のように浸透していく。こういうやり方が結局は一番効果的で早道でもあると言っています。


 ――二年後に生誕四百年の節目を迎えます。どんな計画を立てていますか。

 三百五十年祭の時には地元で式典を行い、東京の大手百貨店で藤樹展も開きました。今回もそれに匹敵するようなものにしようと、今後、中身を詰めていくつもりです。幸い、映画も大きな反響を呼んで、全国から電話や手紙で感激したとか今の日本人が忘れている一番大切なことを思い知ったなどとの感想をもらっています。とにかく、藤樹先生の教えを現代の日本人に早く伝えたい。
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by sakura4987 | 2006-04-28 16:44

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