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◆【ワールドスコープ】攻撃されるABC教育・新エイズ戦争

アフリカで効果上げる純潔教育
現実拒む米エリートメディア
議会査察機関の報告を断片的に報道

 二〇〇三年からブッシュ米政権が推し進める国際人道支援「エイズ支援緊急計画」。その主眼は、コンドームに頼った対症療法ではなく、ABC(未婚者の純潔・夫婦間の貞節・コンドームの適正使用)教育を徹底させることにより、HIV(エイズウイルス)感染を根本的に断絶させようとするもの。アフリカ諸国で効果が上がっている。しかし、この四月、議会の査察機関が同計画に対し、見直しを求める報告を出したことで、エリートメディアが反対の攻勢を掛け始めている。(ニューヨーク・内藤 毅)

 一九九〇年代後半からHIVの爆発的な感染で苦しむアフリカ諸国。特に、南アフリカなどの南部地域は、いまだに人口の一割以上がエイズウイルスに侵されているといわれ、いびつな社会構造をさらに難しいものにしている。しかし、二〇〇〇年初頭、アフリカ中部のウガンダで実施されたABC教育は順調に効果を上げ、国連エイズ合同計画の担当者(当時)でさえも認めることとなった。

 ウガンダの成功を受け、他のアフリカ諸国―ケニアやマラウイ、エチオピアやジンバブエでウガンダ型のABC教育が政府主導で開始。各国は米国の支援の下、エイズ撲滅に向けた動きが高まっている。英ガーディアン紙二月三日付によると、このうちのジンバブエでもABC教育が性交渉開始年齢の引き上げに成功。HIV感染予防に効果を上げている。

 同紙が報じたのは、ロンドン大学の研究によるものだ。九八年当時と比べ、二〇〇三年では十五歳から二十四歳までの女性でHIV陽性の結果が49%、十七歳から二十九歳までの男性でも23%が減少している。

 同大学は、「はっきりした理由はよく分からない」としながらも、ジンバブエ政府によるABC教育に原因がある可能性も認めている。これは、九八年当時、十七歳から十九歳までの男性で性交渉を体験したのが45%だったのに比べ、〇三年では27%に減少。また、十五歳から十七歳の女性では21%から9%に下がっていることなどからも明らかだ。

 一方、ルワンダでは、九八年に人口の13%に当たる三十七万人がHIVに感染していたのが、ABC教育を始めてから二〇〇〇年には11%、〇二年には9%と年々減少。〇五年には3%台にとどまるとみられている。しかし、米国のリベラルメディアはこの数字に異議を唱える。

 ワシントン・ポスト紙の最近の報道によると、国連エイズ合同計画が発足した九八年から二〇〇〇年代初め、同計画が発表した世界各国のHIV感染者数は過大に多く見積もられていたと指摘している。かねてニューヨーク・タイムズ系列のボストン・グローブ紙などがこの問題に焦点を当てていたが、どういうわけか、その他のエリートメディアはこの報道を一年以上にわたって無視してきた。

 しかし、先月六日になって、同ポスト紙が世界各国、特にアフリカ東部・西部でのHIV推定感染者数に大幅な水増しがあると報じ始めた。これによると、二〇〇〇年のアフリカ諸国でのHIV感染者は、二千五百万人だったが、〇四年では四百四十万人と推定を減らしている。また、ルワンダも含まれており、同国民のHIV感染確率に関する国連発表は九八年で13%だが、実際は3%だったと伝えている。

 ポスト紙の説明によると、サンプルの統計が都市部の女性だけ、しかも産婦人科医の診断を受けた妊婦のみに限られていたため、正確な数字が割り出せなかったという。同紙は、ルワンダの保健省高官による「われわれが割り出した過去の数値を信頼することはできない」との証言を引き出している。そして、記事の最後に、国連や米国からの援助を引き出すため、アフリカ諸国が恣意(しい)的に数字を操作した可能性もあると暗ににおわせている。

 保守系のメディア監視団体「アキュラシー・イン・メディア」は、ポスト紙が焦点を当てるべきは、国連の重要機関が一定期間、不確かで意図的とも取れる数字を野放しにしていたことと指摘。新たな国連の不祥事として追及すべきだったとしているが、記事を執筆した記者はそうせず、ルワンダで効果を上げているとされるウガンダ型のABC教育に疑問を呈する。確かに何も知らない読者が読めば、「ABC教育は根拠がなかった」となるわけで、ポスト紙はこれが狙いだったとも受け取れないこともない。

 この記事と並行して、四月上旬、米連邦議会の査察部門「政府説明責任局(GAO)」は、ブッシュ政権のエイズ支援緊急計画がABC教育に固執し過ぎるため、二十の調査国のうち十七カ国で不都合が出てきていると報告している。ある国では母子間のHIV感染を食い止める治療プログラムさえも資金が回らない状態にあるともいう。

 しかし、同報告は、それでも純潔教育自体の価値を見いだし、米政府・議会が少々柔軟な姿勢に転じるならば、米国のHIV感染予防政策は成功すると結論付けている。しかし、ワシントン・ポスト紙を含む米国のエリート・メディアは、GAOがABC教育にクレームを付けたことばかりを取り上げ、その効力、特に純潔教育の意義を否定しようとする節がある。

 このほか、これらのメディアはローマ・カトリックの大司教だったカルロ・マリア・マルティーニ枢機卿によるエイズ予防に向けたコンドーム使用を認める発言を基に「バチカン(ローマ法王庁)もコンドーム使用を認める動きがある」と紹介。しかし、同枢機卿はバチカン内でもリベラル派に属し、保守派の法王ベネディクト十六世とは立脚点が全く異なる。さらに、コンドーム容認発言自体にしても、HIV感染者の配偶者を持つ既婚者に限定しており、メディアの意図するところとは全く違う。

 一方、英国の健康誌「ランセット」が最近、地球規模でのHIV感染がすでにピークを過ぎたと解説したことを受け、ボストン・グローブ紙は三月三十日の記事で国連エイズ合同計画のジェームズ・シェルトン博士とのインタビューを紹介している。同博士は、この現象を幾つかの要因に分けて紹介しているが、この中には、売春婦に対するセーフセックス教育のほか、ウガンダなどでのABC教育など効果を上げているとはっきり言い切っている。

 現在、米国では保守系キリスト教が推し進める純潔教育の延長線上にABC教育があるとリベラル勢力はみている。しかし、伝統的な保守思想に嫌悪を抱き、ABC教育が成功を収めている現実を見ようとしないエリートメディアはリベラル勢力のお先棒を担いでいると見られても仕方がないだろう。
by sakura4987 | 2006-05-03 11:24

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