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◆【一筆多論】福島敏雄 ニートとは何者なのか?

 (産経 06・5・1)

 「最近の若い者は…」という大人たちのタメ息まじりの嘆きは、弥生や縄文どころか、おそらく旧石器時代までさかのぼるであろう。

 たとえば「徒然草」の吉田兼好は「若き時は、血気内に余り、心物に動きて、情欲多し」「身を誤(あやま)つ事は、若き時のしわざなり」と書いた。

 昭和の文芸評論家、小林秀雄は「青年といふものは、人間と呼ぶには決してふさはしいものではなく(中略)、一種の動物に違ひない」と断じた。

 何千年と続いている若者バッシングは、大人の側の屈折した心理を写す鏡でもある。まず挙げられるのは、若者が特権として持つ「若さ」そのものに対する嫉妬(しっと)である。

 さらに「最近の若者」と自らの若者だったころを重ね合わせ、何の検討も反省も加えずに、自らのころを理念化(理想化)してしまっているのだ。

 ここ二十年ほどのスパンでも、シラケ世代や新人類、パラサイトシングル、フリーターなどという呼称を作り上げ、批判の矢を放ち続けた。その極めつけがここ二年ほどのすさまじいニート・バッシングであろう。

 ニート(NEET)とは英語の「Not in Education、Employment or Training」の略で、「学生でもなく、働いてもいない若者」という意味である。

 このニートが急速に増えているというのだが、多くの「ニート本」のデータにはズサンなものが多い。増加の客観的な根拠も不明だ。

 昨年七月に発表された内閣府の「青少年の就労に関する研究調査」によると、十五歳から三十四歳までの無業者(学生、既婚者を除く)のうち、働きたいが求職活動を行っていない「非求職型」は平成十四年で約四十三万人、働くことを最初から放棄している「非希望型」は約四十二万人となっている。この二つを足した約八十五万人が「ニート」とされる。

 問題となるのは「純正ニート」にあたる「非希望型」だ。しかし、このタイプは十年前の平成四年で約四十一万人であり、ほぼ横バイなのである。

 「非求職型」だけが十七万人ほど増えているが、雇用情勢の悪化などが原因であることは容易に理解できる。

 以上のデータは「『ニート』って言うな!」の共著者、本田由紀氏の論文によって知ったが、「非希望型」の中には、花嫁修業中や留学準備中の若者たちも含まれている。

 だから最近のニート・バッシングは「非希望型」のコア部分に当たる「ひきこもり」層に向けられているにすぎない。だが「ひきこもり」など、すでに二、三十年ほど前から社会問題化している。今さら「ニート」という新たな意匠を持ってきて大問題化する必要などないはずである。

 夏目漱石の作品に頻繁に登場する高等遊民なども典型的なニートに当たるように、明治の文士や昭和初期のモガ・モボなど「非希望型」の若者など今も昔もどこにでもいた。それこそ旧石器時代にもいたはずである。

 ニート・バッシングには、社会的な「異物」を見つけ、それを集中的に批判せずにはおられない大人の側の屈折した心理によってもたらされた部分が大きい。度が過ぎると、マスヒステリーにいたる。

 兼好法師は前述の段で、「老いて、智(ち)の、若きにまされる事、若くして、かたちの、老いたるにまされる如(ごと)し」と説いている。外来語を輸入して、新しい装いでバッシングなどをするのはやめ、「最近の若者」のために、もっとその「智」を有効に活用すべきである。
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by sakura4987 | 2006-05-03 11:31

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