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■【『大ロシア』紀行】(3)トヨタの進出 「カイゼン」に魅せられた

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 まさかロシア人の口からトヨタの経営思想の核心、「カイゼン」という言葉を聞くとは思わなかった。場所がその進出先サンクトペテルブルクだったとはいえ、である。
 現地で四つのトヨタ店と二つのレクサス店を運営するディーラー、「アクセリカール」。ピカピカのトヨタ車がずらり展示された店舗を奥に進むと、従業員のロッカー室に「お客さま五カ条」なる社訓が掲げられ、二階社長室の書架にはトヨタ式経営に関するロシア語の翻訳本が並んでいる。

 「『カイゼン』は素晴らしい思想。私自身、本を読んで学び従業員に伝えてきた」と、社長のセルゲイ・ジャチェンコ(40)は感慨深げに語る。欧州などにはかなり前から日系企業を通じて浸透しトヨタによって品質管理・コスト削減の哲学にまで昇華された「カイゼン」が今、ロシアにも伝播(でんぱ)しつつあるのだった。

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 スーパーや家電量販店に外国製品があふれ消費文化花開く最大の都、モスクワを前回、描いた。市内を走る外車の数もめっきり増えていた。トヨタが日本の自動車メーカーとして初めて現地生産工場の建設に踏み切った第二の都市、サンクトペテルブルクも、同じ外車急増という現象が覆う。

 「一昨年はトヨタとレクサスを計四千台、昨年は五千八百台売り、今年の年初は在庫が二十三台しかないスッカラカンの状態で迎えた。トヨタが車さえくれれば、確実にもっと売れる」と、ジャチェンコは豪語した。

 だが、ジャチェンコにとり、ここに至る道のりは決して平坦(へいたん)ではなく、トヨタ車販売は「カイゼン」に魅せられた男の一種の賭けでもあった。

 それまで扱っていたスウェーデンのボルボ車が売れ行き不振に陥り、世界のメーカーを研究した結果、一九九七年にトヨタにたどり着く。当時、トヨタ車の販売台数は全土で約二千五百台、知られている車種もカリーナとランドクルーザーくらいだった。現在と違い公式ディーラーの立場も認められず、振り出しは、販売よりも修理などを主体とする「サービス・センター」としてだった。

 それでも、「トヨタの人々がわれわれの意見を聞く姿、成功するための『カイゼン』努力を目にして以来、トヨタを信じて仕事をしてきた…。二〇〇一年に売れたのは二百台に過ぎなかったが、幸せだった」と述懐する。

 〇一年、トヨタはロシア市場の潜在力を重視して現地法人設立を決め、ジャチェンコも公式ディーラーとして事業拡張に乗り出す。その後はディーラー数、販売台数ともに急激な上昇カーブを描き、昨年はレクサスを含めて六万六千台と、新車販売では外国メーカーの中で二位につけた。トヨタの工場進出決定の背景にも販売の好調がある。

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 売れる外車は何もトヨタに限らない。外車全体の新車販売台数は〇二年以降、五倍近くに膨らんで、昨年は中古車も含む外車の販売台数は国産車のそれを上回った。ロシア市場は外国勢の草刈り場と化しつつあるのだ。そしてそこでの現地生産という面でもトヨタは新参組に属すことになる。

 〇二年から現地生産されているフォード車と英高級四駆、ランドローバーを扱う「アフトパサージュ社」(モスクワ)のセルゲイ・チトフ(39)は今年はフォード車を前年の二・五倍、ランドローバーを三倍以上売るとの強気の見通しを明かす。

 「フォードは現地生産で優れたモデルを投入したことに加えて、早い時期にサービス網をロシア全土に張り巡らした。トヨタよりもはるかに短時間でのサービスが可能だ」と、チトフはトヨタへの牽制(けんせい)も忘れない。

 主たる標的はむろん、「すたれた国産車」(チトフ)である。「国産車は取り返しがつかないほど時代遅れになり、国産メーカーには新味ある突破口が見えない。われわれは(小型車)ジグリのような国産車のパイを喜んで食っていくだろう」

 そう威勢良くまくし立てた後に、聞いてもいないのに、「でも国を愛する者としてはとても悲しい。国産車の発展も願っているんだ」と、複雑な感情もポツリ漏らした。

 自動車販売の主戦場の一つであるのに、サンクトペテルブルクにはなぜかタクシーがほとんどない。人々は道端で手を上げて車を止めて、いちいち料金交渉をする。白タクである。だが、止まってくれるのは磨き抜かれた外車ではなく、「すたれた国産車」ばかりだ。

 だから、「このまま外車が増え続ければ、ペテルブルクからタクシーがなくなってしまう」と、アネクドート(小話)にして語られてしまう。

 だが、こんな冗談すら言えないほどに、外車に“占領”されてしまった街がロシアにはある。

 =敬称略

 (遠藤良介)

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【用語解説】外国自動車メーカーの進出状況

 トヨタの現地工場(第1期)は来年末の操業開始を予定、当面は年間2万台の「カムリ」をロシア国内向けに出荷する。その後、欧州市場も視野に、年産20万台体制を築く計画だ。

 米フォードは2002年、サンクトペテルブルクに新工場を立ち上げ、独フォルクスワーゲンもモスクワ郊外での工場建設を発表。米GMや仏ルノー、韓国の現代自動車などはロシア国産メーカーとの合弁で現地組み立てを行い、主に低価格モデルを投入する戦略。日産自動車もサンクトペテルブルクでの工場建設を発表した。
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by sakura4987 | 2006-05-03 11:34

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