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◆無防備都市宣言についての反対討論①

今村原稿全文

蒼志会を代表して、上程中の[第256号西宮市平和・無防備都市条例案]に対しまして反対討論をさせて頂きます。

本条例案を審議し・結論を出すに当たり、私たち蒼志会が日本人として平和を希求し、西宮に誇りを持って議員をしていることは言うまでもないことかもしれませんが、念のためお断りをしておきます。その上での反対討論とご承知おきください。

ところで、条例制定請求者の意見陳述がおこなわれた日に参考資料として「市民ひとりひとりの平和への願いを聞いてください」という資料をいただきました。

すべてに目を通させていただきましたが、ひときわ目をひいたのが「市長も議員もしっかり勉強して」という、匿名のコメントでした。

ひとりのプロの議員として、西宮市議会がこのような言を受けることは大変残念でならないし、だからこそ、厳しく受け止めての反対討論をさせていただきたいと思います。

しっかり勉強してきたつもりですので、少々長くなりますが、整理してロジックを展開させていただくつもりですので、しばらくおつきあいください。
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まず、この条例案には法律的な瑕疵が明らかに認められます。

条例制定の直接請求ということは確かに地方自治法12条、及び74条に保証された手続きではありますが、このような問題のある条例案が平然と議会に出てきていること。

また、その審議に関してコストがかかっていることに対して、非常に遺憾にたえません。

法律的な瑕疵以外にも問題点はたくさんあります。そもそも無防備だと、平和が実現するのでしょうか。昨年のハイチ共和国での事件を紹介いたします。

2004年2月5日「ハイチ解放再建革命戦線」が北部の町ゴナイブで蜂起しました。ハイチでは1994年以降に国軍の解体が進められていたこともあり、反政府武装勢力に対し政府側は力で十分な鎮圧をすることは出来ませんでした。

挙げ句の果てにはアメリカ合衆国の介入を許し、この争乱の中で略奪や殺人が横行し、住民が多大な被害を受けたのです。

現在の国の憲法解釈では自衛のための戦力は憲法9条で指す戦力にあたらないとしておりますが、この解釈はあまりに当然の解釈といえます。自衛のための戦力すら放棄してしまったハイチは、たった数百人の反乱軍によって国家を制圧され、外国の介入を受けてしまいました。

愛する故郷と家族を守るために闘うことすら放棄するような地域にこの西宮をしてしまってよいわけはありません。

また、この条例案がもし可決されるようなことがあれば、大変に身勝手で卑劣な態度をとることになると言わざるをえません。この活動を推進している団体は、全国にこの活動を拡げていこうとしているようですが、他の市でこのような法的にも問題のある条例が制定されることはあり得ません。

それぞれの自治体当局にも議会にも一定の良識は必ずあるからです。現にこれまで議会で審議された他の自治体でも当然のように否決されています。

他の自治体が無防備地域宣言をしない中で、西宮が万が一にも無防備地域宣言をするならば、侵略者に対して「西宮は無防備だから攻めるな・他市を攻めろ」と言うようなものです。

しかし、敢えて、この場ではこういったロジックによる反論をおこないません。

常識に基づく反論は、残念ながらその常識を共有できない相手に対しては意味をなさず、現に他の自治体で、常識を以て為された反論は、彼らによって黙殺されています。

昨日の委員会の審議でも、立場の違うそれぞれの常識が延々と平行線を辿り、議論にならない議論が続けられたことを鑑みても、そういった反論をここでする意味がないということはあきらかです。

西宮が無防備地域宣言運動と呼ばれる活動のターゲットとされたことは大変遺憾であり、また、請求代表者の発言の中にもあったとおり、西宮がこのようなことで全国から注目を集めていることは、恥ずかしいことであると言わざるをえません。

良識ある議会に於いて、西宮で廃案にするのは当然として、同時に、全国的な運動を、この西宮市議会で止めるような議論をここでするべきです。

この条例案は法律的に瑕疵があるものであり、笑殺すべき案件ではありますが、全国的に広がりを見せるこの運動全体に対して警鐘を鳴らし、西宮以外にこの運動を波及させないためにも、ここでは、徹底したロジックによる反論をおこないたいと思います。

これまでの質疑などに於いて当局は、「必要ないから」といったロジックで反論している部分も多々ありますが、この条例案は「必要ない」では済まされません。

成立させてはいけないものであり、厳しく論破することが必要です。

今日おはなしさせていただくロジックは大きく分けて3点。

まず1点、

A:無防備地域宣言には有効性が低いということについて、そしてなにより、

B:この条例案を制定することはできない、ということ。

また、

C:この条例で規定した無防備地域宣言をすることはできない

ということについて、この3点に分けて、ロジックを展開します。

条例を制定すること。

この条例に基づいて無防備地域宣言をすること、その宣言によって西宮市民の安全を担保すること、そのそれぞれの問題点を詳らかにさせていただきます。
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◆A◆

まず1点目、「無防備地域宣言の有効性が低い」ということに関してご説明させていただきます。

その根拠は ひとつ、

A1:条例案の根拠とされているジュネーブ条約じたいが過去何度も破られている事実

それと、

A2:条例案の根拠が条約であること  以上の2点です。

ひとつめ、ジュネーブ条約が破られたという具体的な事例としては、

・イラク戦争でのアルグレイブ収容所における捕虜虐待

これはジュネーブ条約 第3条約 第13条違反

・ユーゴ空爆による発電所の攻撃

これはジュネーブ条約 第4条約 第53条違反

・イラク戦争時のバグダッド市内の略奪横行

これはジュネーブ条約 第4条約 第64条違反

・アフガニスタンにおける米軍の病院の爆撃

これはジュネーブ条約 第4条約 第14条、第18条違反

などがあげられます。

このように、ジュネーブ条約自体が、残念ながら何度も破られているため、ジュネーブ条約第1追加議定書を拠り所にしている本条例案は、大変嘆かわしいことではありますが、有効性が低いと言わざるをえません。

ふたつめ、根拠が条約であること、についてご説明いたします。

条約とは、ウイーン条約法条約第2条によれば「条約とは、国の間において文書の形式により締結され、国際法によって規律される国際的な合意をいう」となっています。

国の間において締結されるものであるからして、昨今世界的に広がるテロの脅威や反政府武装勢力などの国を名乗らない軍隊に対しては効力を有しないものであります。

上記、2点の根拠を以て、「無防備地域宣言が西宮を守るための有効性を担保しえない」という論拠とします。
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◆B◆

続いて「西宮市がこの条例を制定することができない」という根拠を説明します。

その根拠としては

当然、憲法に基づいて制定させている現行の法律に抵触するため、地方自治法上、条例で規定できない、ということが挙げられます。

それでは、この条例案が抵触する主な法律を挙げます。

まずは【地方自治法第1条の2】です。

国は、前項の規定の趣旨を達成するため、国においては国際社会における国家として存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な規模で若しくは全国的な視点に立つて行わなければならない施策及び事業の実施その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本として、地方公共団体との間で適切に役割を分担するとともに、地方公共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たつて、地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならない。

とあります。

→国防に関することは、明らかにこの中で述べられている「国家としての存立に関わる事務」「全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動」「全国的な規模で若しくは全国的な視点にたっておこなわなければならない施策」にあたり、地方自治体の管轄するべきものではないといえます。

また、【自衛隊法】も、法令全体が自衛隊が国の管轄にあることを前提とした法令になっており、条例案にある「戦争に関する事務」云々や、「戦闘員並びに移動兵器及び移動軍用設備の撤去」や、「固定した軍用の施設または営造物が敵対目的に使用されている」かどうかなどは、地方自治体が条例によって規定することができるものではないといえます。

次に、【国民保護法3条2】には

2 地方公共団体は、国があらかじめ定める国民の保護のための措置の実施に関する基本的な方針に基づき、武力攻撃事態等においては、自ら国民の保護のための措置を的確かつ迅速に実施し、及び当該地方公共団体の区域において関係機関が実施する国民の保護のための措置を総合的に推進する責務を有する

とあり、

→このように、地方公共団体は有事の際、国の方針に基づいて国民の保護を推進する責務を有すると規定してあります。

次に、【国民保護法3条4】

4 国、地方公共団体並びに指定公共機関及び指定地方公共機関は、国民の保護のための措置を実施するに当たっては、相互に連携協力し、その的確かつ迅速な実施に万全を期さなければならない。

とあり、

→この条文では、地方公共団体は国民の保護を実施するにあたって、国と相互に連携協力しなければならないと規定しています。

【武力事態対処法3条・5条】

3条 武力攻撃事態等への対処においては、国、地方公共団体及び指定公共機関が、国民の協力を得つつ、相互に連携協力し、万全の措置が講じられなければならない。

5条 地方公共団体は、当該地方公共団体の地域並びに当該地方公共団体の住民の生命、身体及び財産を保護する使命を有することにかんがみ、国及び他の地方公共団体その他の機関と相互に協力し、武力攻撃事態等への対処に関し、必要な措置を実施する責務を有する。

このように、

→有事法制の中核として、位置付けられている「武力事態対処法」の第3条・第5条には、当該地方公共団体は、国や他の地方公共団体・その他の機関と協力し、武力攻撃事態等への対処に関し、必要な措置を実施する責務を有する、と規定されています。

このように、

これらの国民保護法や武力事態対処法には、有事の際には、自治体は国の方針に従って、国と協力して活動する義務を負っているということが書かれています。

この条例案は、これら法律に定められた地方自治体の責務を無視したものです。

地方自治法第14条には、法令に反する条例は作っても効力を有しないと定められています。

つまり、法律に無防備地域宣言が抵触する以上、西宮市が、この条例を制定することはできません。
by sakura4987 | 2006-05-05 14:17

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