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◆【一筆多論】五十嵐徹 NHKは本当に必要か?

 (産経 06・5・8)

 相次ぐ職員の不祥事、それに伴う受信料不払い世帯の急増に端を発したNHK改革問題は、政府・自民党内での議論が大詰めを迎えている。

 その先導役となりそうなのは、竹中平蔵総務相の私的諮問機関「通信・放送の在り方に関する懇談会」(座長・松原聡東洋大学教授)が五月中に取りまとめる予定の「検討結果」の報告だ。

 竹中氏は、この検討結果を六月に小泉内閣が打ち出す「骨太の方針」に盛り込む意向をすでに明らかにしており、次期内閣にも拘束力を持つ改革の方向性として引き継がせたい考えのようだ。

 しかし、一月の議論スタート当初に竹中氏らが大見えを切っていた「通信と放送の融合促進を前提とした大胆な改革」の方向性は、次第に影をひそめつつあるようにも見える。

 NHKの経営形態についても、松原座長は当初、「(民営化も)議論の対象外とはしない」と述べ、抜本的な見直しの議論を行う考えを示していたが、小泉首相の「現在の特殊法人のままで」との一言で、最初から議論の枠組みが決められた格好だ。

 懇談会の議論は非公開で行われているため、その内容は断片的にしか窺(うかが)えないが、五月の報告は形骸(けいがい)化している「経営委員会」の権限拡大などNHKのガバナンス(統治能力)強化など常識的な提言に止(とど)まるのでは、との観測も出始めているほどだ。

 しかし、NHK改革を論じる上で、経営形態の議論は避けて通れない問題だ。例えば、現在の受信料収入を基盤とする公共放送としての在り方も、三割が未払いという現状では、「制度としてすでに破綻(はたん)している」(宮内義彦オリックス会長)との指摘もむべなるかなだ。松原座長自身も、現在の受信料制度の限界を認めた上で「選択肢はいろいろある」とは述べているが、具体的な議論の方向性は依然浮かび上がってこないのが実情である。

 NHK民営化の是非はともかく、それがいかなる形であれ絶対反対なのは民放である。分割したにせよ新たな巨大民放の参入は、テレビ広告市場というパイの分け前を相対的に大きく減少させるのは確実で、経営基盤を揺るがす死活的脅威となるからだ。

 また、番組の制作や編成面でも大きな影響を被るのは必至だ。民放が収益面で費用対効果の低い報道や教育番組より、バラエティー系番組優先の編成でこられたのも、NHKあってこそ-という側面は否定できない。

 すべてが民放という状況になれば、そうした利益優先の視聴率至上主義への風当たりは、さらに強まるのは間違いない。民営化も困るが、NHKがなくなるのはもっと困る、というのが民放側にとっても本音なのである。

 NHKが今年一月の「新生プラン」発表に先駆けて行った世論調査によれば、「NHKだからできる放送サービス」として多かった回答は、「災害・緊急報道」「教養・福祉番組」「ドラマ・ドキュメンタリー」「ニュース・大型企画番組」の順であった。問題は、これを公共放送に対する国民の期待の表れと見るのか、民放をはじめとする放送事業者全体に対する番組作りへの不満ととらえるのかである。

 電波という限られた公共財を利用する放送事業は、公共放送であれ商業放送であれ、高い公共性を求められていることに変わりはない。現在のNHK・民放という「二元体制」が日本の放送事業の発展にとって本当に必要なのかどうか、根本から考え直すべきときが来ているようにも思う。
by sakura4987 | 2006-05-08 11:49

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