◆大阪市、不適切な「同和事業」5件
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20060510p101.htm
◆飛鳥会以外に4年で発注8億円
大阪市が、事実上の同和対策として、有料橋の料金所のモニター監視や、地域の清掃業務など5事業を、法人格のない市内12地域の「人権協会」に随意契約で委託していたことが分かった。
同和対策への特別措置の根拠だった地対財特法の失効(2002年3月)後、4年間の発注総額は計8億3000万円に上る。
このうち4事業は、市の外郭団体を迂回(うかい)させた再委託で、横領事件に発展した財団法人「飛鳥会」への駐車場管理業務委託と同様の「見えない同和対策」。市は「いずれも不適切だった」として、3月末にこっそり廃止していた。
5事業は▽菅原城北大橋(旭区)の通行料金徴収等業務(05年度委託額2500万円)
▽高齢者による道路、公園の清掃(同1億1600万円)
▽西成地域の街頭清掃事業(同2270万円)
▽道路花壇の植え替え事業(同800万円)
▽生活保護受給者への自立促進訓練事業(同3500万円)で、
1972~94年度に、同和対策などとしてスタートした。
同法の失効前までは、人権協会の前身である「市同和事業促進協議会」の各地区協議会が受託していた。
「料金徴収等業務」は、実際には料金徴収することはまれで、管理事務所から無人料金徴収機などを映すモニター画面をチェックし故障時に対応したり、管理事務所を清掃したりするのが仕事。市が市道路公社に委託、さらに地元人権協会に再委託し、計7人が雇用されていた。
「花壇の植え替え事業」は浪速区の街路花壇の手入れが業務で、市公園協会を通して、地元人権協会に再委託していた。
また、「高齢者による清掃」は市社会福祉協議会を通じて11地域の人権協会に、「西成地域の街頭清掃事業」は市環境事業協会から地元人権協会に再委託していた。この2事業は、法失効後、事業名や“迂回先”を変更するなどして継続していた。
一方、「自立促進訓練事業」は、生活保護受給者の自立に向け、公園に水をまくなどの活動を実施する事業で、市健康福祉局が、直接、五つの地域人権協会に委託していた。
市は、府同和建設協会所属業者を優遇した不正入札事件発覚後の昨年秋以降、各部局で把握している「不透明な同和事業」を調査し、この5事業をリストアップしていた。
人権施策を所管する市民局は「外郭団体を通した再委託は、市の内部監査では見つからず、『隠していた』と言われても仕方がない。特定団体への随意契約も市民に説明できない。市政改革の一環として、全廃を決めた」としている。