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◆史実伝える側に求められる責務

2004.09.01

平成16年9月1日(水)産経新聞

◆【正論】上智大学名誉教授・渡部昇一 事実も重要ポイント欠けば大ウソに

≪衝撃的だった恩師の言葉≫

 夏休みに帰省して恩師を訪ね、いろいろお話をうかがったときのことである。どういうきっかけか忘れたが、ノモンハン事件の話になった。

 「あれは日本軍の大負けさ」と博識の先生は言われたので、私はびっくりした。昭和二十四年(一九四九年)夏のことである。その時まで私は日本軍はノモンハンで負けているとは思っていなかった。

 「ノモンハンの夏」と言われる昭和十四年(一九三九年)の夏休みは毎日、愉快な気持ちで友達と川に泳ぎに行っていた。そのころ、われわれ小学生の間で最も流行していた歌の一つは「空の勇士」であった。「恩賜(おんし)の煙草(たばこ) いただいて あすは死ぬぞと 決めた夜は…」という歌詞で、私は今でも五番ぐらいまで覚えている。なぜこの歌が子供たちに人気があったかといえば、ノモンハンで日本陸軍の単葉の戦闘機がソ連のイ15やイ16戦闘機をばったばったと落しているという報道があったからである。

 篠原弘道准尉の名前は、今の野球の名投手の名前の如く子供の間で有名であった。落した敵機を赤い星印にして機体に描く。その赤い星は三十も四十もあった。また著名な画家の絵にも、草原のいたるところで燃え上がっている敵戦車があった。シナ軍に勝つのは当たり前という感じだったが、ソ連軍に大勝している日本陸軍は感激的だった。

 それが恩師の口から「日本は大負け」と聞かされたのである。小学生のころに見た多くの画報や絵はすべて幻だったのか。その後、『人間の条件』の著者五味川純平氏の『ノモンハン』を読んだが、日本陸軍はこんなに弱かったのか、と改めてがっくりしたことを覚えている。

≪個々の事実は本当でも…≫

 それが一変したのは二、三年前の本紙の記事である。解体後のソ連から出てきた資料によると、ソ連軍の人的損害は二万五千人以上であり、日本軍のそれは一万七千四百五人だという。ソ連軍は約十倍の勢力で、押し寄せたのだから日本軍の奮戦は感激的であり、大勝利と言ってよい。

 その後に読んだ資料によると、飛行機の損害はソ連が一千六百七十三機なのに、日本はその約十分の一の百七十九機である。戦車はソ連が八百台以上を失ったが、日本はたった二十九台である。篠原准尉たちの奮戦も、草原のいたるところで燃え上がっているソ連戦車の画もウソや幻でなかったのだ。

 五味川氏の本や、日本軍の死傷者二万人と書いている教科書も、そこにはウソはないにせよ、ソ連側の損害が書いていないから、全体としては大ウソになっている。個々の事実は本当でも、重大な事実を抜くと、とんでもない大ウソになることが歴史や裁判事件にはよくある。

 たとえば少し前に、NHKの『その時歴史が動いた』という番組で、ハル・ノートを取り上げていた。さすがNHKであるから、個々の事実にはウソはない。新資料の発見の紹介も有益であった。ハル・ノートの原本を見せながらキャスターの松平定知氏が感無量と言ったのもよく分かる話である。しかし、あの番組には超重大な事実が抜けているから、大ウソ番組を日本中の視聴者に届けたことになる。

≪疑念ぬぐえぬNHK番組≫

 重大な欠落とは何か。それはハル・ノートがハル国務長官が起草したものでなく、ハリー・ホワイトという財務次官補が執筆したものだったということである。

 ホワイトはロシア移民を両親に持つ有能な経済官僚であったが、同時にNKGB(KGBの前身)の在米責任者ボリス・バイコフ大佐指揮下のソ連のスパイであった。戦後、スパイ容疑で召喚されたが、その三日後にジギタリスの大量服用で死んだ。ソ連側に暗殺されたという説も強い。いずれにせよホワイトは、ドイツに敗れかかっているソ連を救うため、日本が絶対、受け入れないと思われる条件を並べ、実質上の国交断絶文書を作ったのだった。

 ホワイトの友人には大統領特別補佐官ロークリン・カリーがいて蒋介石の顧問にオーエン・ラチモアを採用させた。二人とも共産党員である。ラチモアが蒋介石に働きかけさせたのである。NHKはこの部分も削ったのであった。ハル長官は「ハル・ノート」という呼ばれ方を嫌っていたという。

 日米開戦についての最も重要な事件の最も重要な事実を抜けば、他の事実はみな当然でも大ウソになるのだ。しかも今述べたことは今や公知のことである。NHKはなぜ隠したのだろう。
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by sakura4987 | 2006-05-13 10:30

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