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◆ロシアの“誤解”助長する朝日報道

2004.08.06
■【正論】青山学院大学教授・袴田茂樹 

理論的にもあり得ぬ2島返還論

平成16年8月6日(金)産経新聞

≪「日本は政策転換」と歓迎≫

 五月下旬から七月末まで二カ月余りロシアと中央アジアに滞在した。ロシアでは会見した多くの政治家や専門家が口をそろえて、昨年一月に小泉首相とプーチン大統領が合意した「日露行動計画」を高く評価した。その理由を尋ねると、これまた口をそろえて、日本が平和条約問題を後回しにして、経済協力を日露関係の中心に置くように政策転換をしたからだと言う。

 イラク問題など中東紛争が日本の危機感を強め、エネルギー戦略から日本が対露政策を転換し、平和条約問題を棚上げしたというのが、多くのロシア人の理解であった。昨年は、そのような誤解を与えるアプローチを日本政府が行ったのも事実である。

 私は、日本の基本的な立場は、経済・文化交流の発展と平和条約問題の解決を並行して推進するという包括的なもので、後者が日露関係改善のための重要課題であることに変わりはなく、政策転換をしたというのは誤解だと説明した。

 今年二月に、中曽根元首相や枝村元駐露大使など日本の有識者も、ロシア国内でのこの誤解について重大な問題だと指摘し、日本政府の対露政策を懸念するアピールを出した。川口外相など日本外務省関係者も、最近はこの誤解を正す努力を続けている。誤解を与えた政策を正すのは当然のことである。

≪素直に事実書かぬ不思議≫

 七月末に帰国して驚いた。というのは、この問題に関連してわが国の大新聞が事実を歪曲(わいきょく)した報道をしているのを知ったからだ。それは七月十八日付の『朝日新聞』に掲載された「対ロシア『領土』前面に」と題する記事で、次のように述べられている。

 --政府がまとめた対ロシア外交の新しい「対処方針」が明らかになった。北方領土問題に偏らず包括的に両国関係を発展させるという従来の方針を実質的に転換し、領土問題を改めて交渉の中心に据える。(中略)「2島先行方式」による段階的解決策はとらず、4島が日本に帰属することを一括して確認することを目指す。

 この記事では、あたかもこれまでは包括的に両国関係を発展させるという方針が貫かれていたが、最近偏った政策に戻ったかのごとく述べられている。しかし実際には、経済協力を重点にし平和条約問題は棚上げしたという誤解をロシア側に与えるアプローチを日本政府はしていたわけで、包括的な関係発展という基本政策から逸脱していたのだ。また、この政策転換の背景として、次のようにも述べられている。

 --「ロシア側に『日本は領土問題を棚上げし、経済関係を重視するようになった』と誤解された」という懸念が、日本側関係者の間に広がっている。

 この懸念については、日本側関係者のものとしてカッコつきで述べられている。通常、カッコつきということは、それが事実であるか否かには責任をもたない、という含意がある。

 しかしこのような誤解がロシアに広がっていたことは、朝日新聞も現地の特派員が調べればすぐにもわかることで、新聞としてはこのような屈折した姑息な表現でなく、まず素直にその事実を報道すべきであろう。

≪条約は戦後処理終了の意≫

 さらに朝日は、「2島先行方式」について、次のような解説を付している。

 --56年の日ソ共同宣言が平和条約締結後の歯舞、色丹の日本への引き渡しを約束している点に着目して、「まず2島を返還させ、残る国後、択捉は継続協議にする」という段階的な解決を目指す方式。

 二〇〇〇年に来日した際、プーチン大統領は日ソ共同宣言の有効性を認めた。したがってわが国には、「まず二島をとりあえず返還させ、残りは継続協議にすればよいではないか」という一見もっともな意見がある。

 しかし、この宣言を基礎にまず二島を返還させるためには、平和条約を締結する必要があるが、平和条約締結後に残りの二島の継続協議を行うのは無意味である。平和条約は戦後処理が終わったことを示すものだからだ。

 つまり二島先行方式は理論的にもあり得ない。この記事はこの辺の問題に全く触れないまま、「ロシア側の反対もあり立ち消えになった」と二島先行返還論を説明している。実際には、理論的にも実践的にもナンセンスだから日本政府もこれを否定しているのである。

 このような読者に誤解を与える記事が大新聞に掲載されるのは残念なことである。(はかまだ しげき)
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by sakura4987 | 2006-05-13 10:41

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