◆京都第3初級チャリティコンサート (朝鮮新報 06/5/20)
≪日本人士ら 民族教育の保障アピール≫
「ガンバレ! 京都朝鮮第3初級学校フレンドシップコンサート in 同志社」が14日、同志社大学寒梅館(京都市)で行われた。
前原誠司衆議院議員(民主党)、新井進府議、小林昭朗市議、市教育委員会、同志社大学をはじめとする大学関係者ら日本人士らと西陣、左京、山科地域の同胞ら1300余人が観覧した。
2004年12月の第1回コンサートに継いで行われた同コンサートは、同志社大学の板垣竜太講師が受け持つゼミ生をはじめとする日本の大学生有志と総聯支部を中心に企画、準備、共催された。
同胞らとともに参観した多くの日本人士、在日外国人らは、今なお続く制度的差別、困難を余儀なくされている民族教育の現状に理解を示し、チャリティー形式のイベントに協賛。
多文化共生、異文化交流のきっかけとして日本の新聞にも報道、掲載されるなど内外に大きくアピールした。
≪深い取材、友好の里程標≫
京都第3初級をはじめ京都府下のウリハッキョ生徒、日本の大学生などのほかにも多国籍の出演者で彩られた文化公演では、前回の倍にあたる18団体23演目が披露された。
また、日本の大学生、留学同の学生が制作した民族教育に関するドキュメンタリー映画上映とパネル展示、京都第3初級幼稚班による朝鮮の伝統茶道など多岐にわたる催し物に、この日訪れた観覧者らは終始大きな関心を示していた。
約10日間、30余時間の撮影で25分にまとめられたドキュメンタリー映画のナレーションを務めた板垣ゼミ生、奥田朋史さん(4回生)は、当初「朝鮮学校に対する偏見はどこかにあったかもしれない」
しかし、撮影過程で生徒らと触れ合ううちに視点が変わった。無邪気で明るい子どもたちの姿、差別により民族教育が保障されていない現状を映像としておさめた。
「民族教育が大変だということだけを描いても意味がない。日本人に問題提起するような内容で制作したつもり。いろいろと考えてほしかった」。
≪ウリハッキョの「過去、現在、未来」に関するパネル展示 ≫
ドキュメンタリー映画とともに日本の大学生らが京都第3初級の「過去、現在、未来」に関し、深い取材を重ねたパネル展示には300余人の観覧者が訪れた。
板垣ゼミ生が中心となり同志社大院生、龍谷大院生、京都大生約15人で計画、作成、ビデオ班の情報も共有し取材した。
責任者の佐藤大さん(京都大学5回生)は「朝鮮学校の歴史状況をふまえ現在の教員、生徒らをはじめ学校の姿をありのままに描写できたと思う。
また、取材を通して直に交流できたことで関係者の学校に寄せる熱い思いを肌で感じ、パネルの表現につなげることができた。
今後、パネル展を広げ朝鮮学校を知り、交流を深めようという日本人の輪をさらに大きくしたい」と語っていた。
アボジ会の李南洪会長とともに共同実行委員長を務めた板垣竜太講師は朝鮮近現代社会史について研究している。
今回、話を聞き、自身の受け持つ「朝鮮研究入門」ゼミ生らと「手伝うだけの形ではなく、企画段階から携わりたかった」。
板垣さんらは、ゼミの一環としてコンサートの準備に取り組み昨年12月、京都第3初級を訪問、「いろいろと感じた」。
板垣さんはコンサート観覧者の多さに涙が流れたという。
「感無量、ありがたい。元気な子どもの陰には、民族教育を守るために走り回る学父母らの姿がある。そのことを日本社会は知らない。風通しを良くすべき」だと語る。
≪「民族教育、守られるべき」≫
日頃から、民族教育は守られるべきだと話している前原誠司議員は、在日同胞への嫌がらせが減ったことは良いことだと語り、「在日朝鮮人と国の問題を一緒にしてはならない」(同席した京都府本部の金学福委員長)と述べていたという。
女性同盟山科支部の柴松枝委員長(非専従)が4月から京都第3初級幼稚班を指導し、この日発表された朝鮮の伝統茶道。
観覧した女性同盟京都府本部の孫永姫顧問(74)は、「民族の情緒、風習、伝統を幼い頃から教えることがどれほど重要であるのか、あらためて知った。今日、子どもたちのたくましい姿に京都第3教員らの熱意と苦労を垣間見た」と感想を述べていた。
メインコンサートの台本を作成し、板垣さんの熱意に心打たれたという、李南洪共同実行委員長は語る。
「今年で結成3期目となるアボジ会は、学校運営の一助になればと学校行事などで広告を募っている。今回のコンサートでも実にたくさんの人たちから協賛金が集まった。
今日のコンサート成功はとりわけ、日常的に地域同胞との密接な関係を築いている総聯西陣、左京支部の委員長らが実質的に準備を進めてきたおかげだ」。