◆【学力低下、学級崩壊、悩む先生… 真犯人はこいつだ】(25) (産経 06/5/22)
教師は「術」を習う機会がない TOSS(教育技術法則化運動)代表・向山洋一
前回書いた、新任教師のほとんどは大学で授業のやり方を学んでこなかったというのは本当のことだ。教育界の常識である。
教師には「学」と「術」が必要だ。医師も同じだという。先日会った外科医は「外科は特に『術』が必要だ」と言っていた。
教師は大学で「学」について学ぶが「術」についてはほとんど習わない。外科医になる学生が「虫垂炎」という病気について習うが「対処の仕方」「手術の仕方」をほとんど習わないのと同じである。
もしも新任の外科医が、医師免許をとったその日から手術を自分一人でやれと言われたら途方に暮れるだろう。だから研修医の制度がある。
しかし、教育界には新人が「術」を習得する制度がないのである。
「授業の仕方」「クラスの仕組みの作り方」「子供たちの統率の仕方」を全くといっていいほど習わないで教壇に立っているのである。
始業式のその日からクラスを任され、「仕組み作り」「授業」などを実行する。当然うまくいくはずがない。新任教師のクラスの大半は学級崩壊が生じるのだ。
新任教師の味方になるべく私たちTOSSがこの春、全国で開いたセミナーのアンケートには「このような授業のやり方、クラスの作り方を初めて知りました」と書かれていた。