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◆【鼓動2006】露プーチン政権 チタン国家統制へ



(産経 06/5/25)

戦略資源乗っ取り、揺れるウラル


 豊富なエネルギーを政治的な武器とするロシアのプーチン政権が、今度は軍事産業などに不可欠な戦略金属チタンの国家統制に乗り出した。

 世界需要の三割以上を生産するウラル山麓(さんろく)の「チタンの里」は、国家の圧力に大きく揺れていた。

 「強国」再興という“錦の御旗”の下、超有望民間企業を国営化する政権の「乗っ取り」はエネルギー以外の分野にも拡大しており、今夏の主要国首脳会議(サンクトペテルブルク・サミット)に向け、欧米の懸念が高まるのは必至の情勢だ。


≪世界に伝えたい≫

 新たな「国営化」の標的となったのは、世界最大級のチタンメーカー、VSMPO-アビスマ(チェチュヒン社長)。

 同社はこのほど初めて、外国報道陣ら内外記者団をモスクワの東約千五百キロにある同社の二つの拠点、ベルフニャヤ・サルダとベレズニキに招待した。

 「われわれが置かれている状況をぜひとも世界に伝えたかった」(同社報道担当)からだという。

 同社は第二次大戦前、ナチス・ドイツの侵攻を警戒してモスクワ近郊からウラル地方に移転し、軍需・航空宇宙産業の要として国を支え発展してきた。

 だが、ソ連崩壊で民営化された後は、「ロシアの石油王」と呼ばれたホドルコフスキー氏(シベリアで流刑中)の手に渡ったが、市場経済の荒波の中で、「最盛時の半分以下に生産を減らし、工場の火は消える寸前にまでいった」。

 それが、技術者出身の現経営陣の下、国内需要から輸出戦略に転換したことで五年ほど前から急速に復活。現在、その製品の約75%が欧州のエアバスや米ボーイングといった世界有数の航空産業などに輸出される。


≪対米協力に影≫

 記者団が訪れたのはチタンの原材料を生産するベレズニキの工場と、ベルフニャヤ・サルダにあるチタンのインゴット鋳造、加工工場。一つの建物がサッカー場より大きい「重厚長大」産業を象徴するかのような巨大工場群だ。

 だが、世界最大級の圧縮機や巨大な炉が稼働する工場の担当者らが繰り返し強調したのは、「品質管理」と「技術」を高める努力だった。

 「技術と品質が伴わなければ、彼ら(ボーイングやエアバス)は買ってくれない。ボーイングと協力することで、さらに技術力と品質を高め、競争力をつけたい」。

 そう胸を張った技師に「国営化」について尋ねると、「ここまでに工場を復活させたのは、われわれ自身の力であり、国ではない。国家には、仕事の邪魔をしないでほしい」と、顔を曇らせた。

 技師らは「国営化」によって輸出を中心にした経営方針が大きく変わり、品質と技術力を高めるための米ボーイングとの協力関係にも影がさすのではないかと不安を抱いているのだ。


≪新冷戦への準備?≫

 チェチュヒン社長ら個人株主二人が株式の六割強を保有する同社に強い関心を示しているのが、ロシアの兵器輸出の九割を牛耳る国営武器輸出公社ロスオボロンエクスポルト。同公社のシェメゾフ社長は、プーチン大統領と同じ旧ソ連国家保安委員会(KGB)出身者で、大統領と同時期に東独で勤務していた。

 プーチン政権は、同公社を通じて過半数の株式取得を目指して「交渉」を重ねているというが、チェチュヒン社長は、政権側から圧力がかかっていることを認めた。

 プーチン大統領は、二〇〇六年の年次教書演説で「強い軍があれば、外圧を跳ね返せる」と述べ、近代的な軍事力を強化するよう関連機関に号令をかけた。

 原潜やミサイル、戦闘機のエンジンなど近代兵器の製造には、高価で良質なチタンが大量に必要となる。石油や天然ガスなどエネルギー、航空宇宙産業を整理し、その原料価格や供給優先度などを国家の統制下に置くことは、「戦略的に重要」というわけだ。

 「政権は米国をライバル視し始めた。(今回の国営化が)新たな冷戦の準備でないことをただ祈るだけだ」。工場で知り合った技師は、こうつぶやいた。

                   ◇

 ■アビスマ社・チェチュヒン社長「我々が頼んだことではない」

 チタンメーカー、VSMPO-アビスマのチェチュヒン社長(73)との一問一答は次の通り。

 --国営化に賛成か

 「国はソ連崩壊でチタン産業からいったんは手を引いた。しかし、軍事や原発など戦略的な産業の発展のために必要となり、再びわれわれに関心を持ち始めたのだろう。国が一部株式を保有することは、投資を増やし、産業の発展につながり歓迎できる。年内の妥結に向けて交渉中だ」

 --国営化への不安は

 「恐れてはいない。ただ、国営化はわれわれが頼んだことではない。国際企業としての責務もある。だが、もし、新しい株主がめちゃくちゃなことをすれば、優秀な技師は去るだろう。彼らにはどこでも働ける能力がある」

 --税務当局など国からの圧力はないのか

 「税務当局からの圧力を恐れていては、ロシアでは仕事はできない。すでに、中位の圧力は感じている」

 --米ボーイング社との関係は?

 「ボーイングは、リスクを伴う合弁会社を立ち上げるか否かを検討している。航空機の最も重要な部品加工技術を習得するうえで、重要な協力となるだろう」

                   ◇

 【露政権による最近の国家統制の動き】

2006年

  5月 国営武器輸出公社が世界最大級のチタン会社買収計画を公表。

  5月 プーチン大統領が税関幹部を大量解任しKGB時代の腹心を監督役に任命。

  2月 大統領が国営企業「統一航空機製造会社」の設立を命じる大統領令に署名。

 05年

 10月 国営武器輸出公社が露自動車最大手アフトバスを買収。

  9月 国営天然ガス独占企業体ガスプロムが露石油大手シブネフチを買収。

 04年

 12月 国営石油ロスネフチが石油最大手だったユコスの中核子会社を買収。

                   ◇

【用語解説】チタン

 銀灰色の光沢をもつ金属。鋼鉄と同等の強度を持ちながら軽量で金属疲労を起こしにくく耐熱、耐食性に優れるため、軍需品のほか、航空宇宙、自動車などに多用される。

 日本では時計やメガネ、装飾品、医療用品などに使われる。

 原材料は世界各地で産出するが、精錬、加工に高度な技術が必要とされる。航空機需要の高まりを受け、価格は上昇傾向。日本でも生産される。旧ソ連は東西冷戦下で、米軍のチタン利用を妨害するため、世界中の市場での買い占めを試みたが失敗した。
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by sakura4987 | 2006-05-25 17:22

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