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◆急がれる東シナ海の沖縄トラフ調査  平成 16年 (2004) 7月24日[土] 産経新聞



【正論】杏林大学教授・平松茂雄 

≪一般常識での対応は無理≫

 今月七日からわが国政府がノルウェーからチャーターした資源探査船が東シナ海「日中中間線」日本側海域で石油資源探査に着手している。

 直接の目的は、中国がこの五月末から採掘施設の工事を開始した鉱区が日本の鉱区に隣接しているところから、日本側鉱区の権益確保および資源配分を中国に要求する根拠とする日本独自のデータを入手することにある。これにより中国側の石油・ガス田群の地質構造との関係が明らかになるほか、日本側大陸棚の構造が立体的により詳細になり、ボーリング可能な地点が明らかになってくる。

 ボーリングの次には採掘する段階へと発展していくことになる。日本政府がそこまで計画しているかどうかまでは定かでないが、わが国が権利を保有している大陸棚である以上、そこまで進めなければわが政府のやり方は対症療法に終わってしまう。

 わが国が当初、中国側に地質構造の資料提供を要求した際、中国政府は資料を提供することなく、共同開発を提案した。紛争海域での共同開発は一つの方策であり、一概に排除すべきではないが、中国の主張する共同開発は力で実効支配した海域での「平和解決」「共同開発」であり、一般常識や慣例で対応することには無理がある。

 それは決して筆者の偏見ではない。かつてベトナム外務省幹部は、「中国が南シナ海でやろうとしていることは、人のポケットのお金をつかんで、これで食事しようといっているようなもの」と説明したことがある。

≪中国の妨害に備えあるか≫

 他方、この大陸棚に鉱区を持つ日本側企業の立場に立てば、共同開発により半分を失っても、すべて失うよりまし-ということも考えられる。四十年近く開発を待たされ、多額の資金を投入してきた企業として当然の立場である。それ故にこそ日本政府は「中間線」の立場に立って、開発を支援する必要がある。

 その場合の支援とは、単に資源開発のための支援に留まるものではなく、万が一、中国が開発を妨害した場合どう対処するかという企業の安全を含めた支援である。中国は「中間線」を認めていないのだから、日本側大陸棚で同じ三次元探査を実施し、続いて試掘、採掘に着手する事態も考えておく必要がある。

 だが、これまでこの問題を論じる際に見落とされてきた一つの重要な問題がある。それは中国側がよりどころとしている「大陸棚自然延長論」と日本が主張する「中間線論」のどちらが正しいのか、すなわち東シナ海の大陸棚は「沖縄トラフ」で終わっているのか、それともわが国の南西諸島を越えて太平洋にまで延びているのかについての地質構造上の検証である。

 幸いなことに、この問題について琉球大学海洋学部の木村政昭教授の調査がある。海洋地質学の専門家である同教授は、これまで潜水艇で「沖縄トラフ」に十回ばかり潜航してトラフの地質構造を観察し、鉱物の標本を採取して研究を続けてこられた。

 その結果、「沖縄トラフ」の地質構造は中国大陸から延びてきている大陸棚、およびわが国の南西諸島と同じ地質構造であること、それ故、東シナ海の大陸棚は「沖縄トラフ」で終わっているのではなく、南西諸島を越えて、その東側の太平洋海域まで続いていること、すなわち日本政府の主張する「中間線論」の正しいことが実証された。

≪中国にあって日本になし≫

 「沖縄トラフ」は東シナ海大陸棚の大きな凹み・水溜りに過ぎない。木村教授は、沖縄トラフの最低五カ所でボーリングを実施すれば、その研究が完全に裏付けられると言明しておられる。ただ、それには多額の資金が必要で、文科省の科学研究費ではとても実施できない。

 木村教授は、これは国家のやる仕事であるとして、きちんとした調査研究の早期実施を希望しておられる。筆者はこのことを九六年に、ある雑誌に掲載した論文の中で紹介し、翌九七年に出版した『続中国の海洋戦略』に収録したが、政府側からは何の反応もなかった。

 二十数年来、中国の海洋戦略を研究していて痛感することは、中国は明確な国家目標を掲げ、それを実現する国家戦略を策定し、それを実現するために国家の総力を投入することができる国だということである。それに対して、わが国は国家目標もなければ、国家戦略もないから、自らが直面している事態が理解できず、何か重大な事態に遭遇しても対症療法でしか対応できない。今度もこれの繰り返しにならないことを望む。
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by sakura4987 | 2006-05-26 14:12

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