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◆感情問題を外交に持ち込む不毛さ

元駐タイ大使・岡崎久彦  日中は国家関係の初心取り戻せ

≪批判を受け流すのも大国≫

 アジアカップ・サッカーの際の中国観衆の反日的言動については、日本では強い反発があった。

 中国がオリンピックのホスト国となる資格があるかどうかを問う声は頻(しき)りであり、また抗議の仕方が手ぬるいという日本政府批判もあった。

 こうした国民世論について、私としては、どうも、そこまで言わなくても良いのではないかという感を禁じ得なかった。それは私の過去の経験からくるものである。

 何年か前、ある国際会議で教科書問題が話題となったとき、私は最近の教科書の中に反米的な内容のものもあると指摘したが、私が驚いたのはその米側の反応だった。

 「アメリカの悪口など、世界中で年がら年中言われているから、気になんかしないよ」

 それも一人だけの反応でなく、米側の全員がカラカラと笑って同意していた。さすが米国民は大国民だ、日本はかなわないと感じたのはその時だった。

 もう一つ、五十年前に私が英国にいたときに、風刺ユーモア雑誌『パンチ』にクイズが出ていた。戦争直後の日本もそうだったが、戦後でまだ娯楽の乏しかった英国では、ラジオ(テレビはまだ普及していなかった)などでクイズ番組がはやっていた。そこでは、インドのネールをはじめとする途上国の指導者の名がずらりと並び、クイズはこの中で誰が「ブリティッシュ・ゴー・アウェイ」と言わなかったかというものであった。

 そして答えは「誰もいない」だった。「誰だろう?」といろいろ考えた上で、ダマされたとカラカラ笑うのが英国人のユーモアである。大戦を勝ち抜いた当時の大英帝国もまた大国だったのである。

≪理解出来ぬ靖国参拝批判≫

 サッカーの試合で日章旗が破られたかもしれないが、星条旗などは世界中で毎日のように焼かれている。ユニオン・ジャックもそうだった。アングロ・サクソンのフレム(感情的にならないこと)であるが、国家戦略論から言えば、感情問題を国際関係に持ち込まないということである。

 ひるがえって今の日中政治関係は、国交正常化以降最悪といわれる。靖国参拝の問題のために小泉総理の公式訪中もできないし、サッカーの事件は火に油を注いだ結果になった。

 どうして靖国参拝のような問題が、二国間の国際問題になり得るかそもそも分からない。何かあるとすれば、平和条約第十一条で東京裁判を受諾し、刑を執行する義務を負うというくだりだけであるが、その義務は済んでしまった。その死者の霊を弔うことは、どう考えても国内問題であって、国際条約の問題になり得ようもない。

 聞いてみると、唯一の説明は中国人の国民感情を傷つけるということのようである。それだけが理由ならば、サッカー事件で日本国民の感情が傷つけられる同じような内政干渉の権利が発生することとなる。もちろんこれは単純すぎる論理であり双方に言い分があろう。

 中国側に言わせれば、靖国の参拝は戦争という大きな歴史を背負った問題であり、しかも一国の総理自らが行った行為であり、サッカー観戦の騒ぎなどと同列に論じられないということであろう。

 日本側に言わせれば、日本の総理は日本人の死者の霊を弔っただけで、何ら中国人に直接害を与えていないが、サッカー事件は日本に対する直接の侮辱であり、またその背後には中国政府による意図的な反日教育があるのではないかということである。

 私はこの二つを並べて帳消しにしようと言っているのではない。反日教育の問題もあるが、過去の経緯の重みからいって軽重の差はある。

≪内政への不干渉は大原則≫

 ただ、国民感情の問題、つまりは感情問題を国家関係に持ち込んでギスギスさせるのはいい加減にやめてほしいと思うのである。

 国家関係の初心に立ち戻れば、国家の主権平等と内政事項不干渉は、国連憲章にも掲げられている大原則である。お互いの国の間に国民感情があるのは自然の成り行きで避け難い。しかし、それを理由とする内政干渉を差し控えるだけで、日中間のギクシャクは随分なくなると思う。

 中国は大国であり、大人の国である。日本も押しも押されもしない経済大国である。相手の国が何をしようと、なるべく外交問題などに持ち上げないで見過ごすだけの雅量を持てないだろうか。

 中国に新指導部ができた現在、あらためてこれを要望したい。



※たぶんに中国をよいしょしている文章は気になるが、しかし参考にもなる。アメリカの態度に学ぶべき点が多いように思う。下の文章の補足になるかと掲載したが、要するに、絶対的価値観に基づく前進と、達成感による自信を持てということだろう。今の日本には、この価値観もなければ、達成感もなく、自信も喪失しつつあるので、国民感情が高ぶってきている。 
by sakura4987 | 2006-06-20 14:10

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