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◆「小学校における英語の必修化」


日常生活の質に影響しない英語

≪具体的目標なく「机上の空論」≫

 まず結論を述べると、「日本国内での公立小学校における英語の必修化」は必要無い、と私は考える。その理由は大きく言って四つ。第一に、授業時間確保の問題。第二に、小学生に有効な英語学習を行うための教材や教員の問題。第三に、英語を学びたければ、個々人で学ぶ方法は、学校の外に豊富にあること。そして第四に、大多数の日本人にとっては、英語が使えることによって、日常生活で得られる利益は殆ど無いことである。

 まず、第一の授業時間確保の問題だが、「ゆとり教育」の徹底で土曜日が完全休日になった上、わけのわからない「総合学習」の時間確保が優先され、国語・算数などの基礎学習に充てる授業時間数さえ少なくなっているのに、コツコツと毎日続けることが必要な外国語の学習のために、いったいどれだけの時間を充てることができるのか、疑問である。

 第二の問題については、どのレベルまでの習得を目標とするのかを、先に決めなければならないだろう。簡単な日常会話を習得するレベルなのか、「読み・書き・話す・聞く」の基礎能力をきちんと習得させるまでやるのか、さらにそれ以上、「英語で考える」ところまでのレベルを求めるのか、そうした着地点を明確にしなければ、どのような教材を使い、どのような人材(教員)を用意しなければならないのかさえ明確な議論はできないはずだ。しかし、そうした具体的な問題提起さえなされていない実情だけを見ても、現在文部科学省が提案している「英語必修化」議論が、単なる机上の空論でしかないことが分かるというものだ。

 第三に、時代を問わず日本では、「外国語学習」が趣味・教養として根強い人気があり、民間企業や個人が工夫を重ねて開発した数々の教材や教育システムが豊富にある。義務教育の中で「全員」に学習させるよりは、個々人の必要性と能力に合わせた教材や教室・教師を自分で選択させる方が効果的なのではないだろうか?

 その上で、どうしても国民全員に「平等に英語教育を」施したいという思いが為政者にあるならば、既成の教材・施設を利用するための「バウチャー(補助金・奨学金)」を一定額支給すれば済むことだと思う。

 だが、私が一番訴えたいのは、第四の部分である。日本の外で活動する場合には、現在のところ国際語として通用する英語を使いこなせることは有効ではあるが、大部分の日本人にとって、英語が使えるかどうかが日常生活の質に影響することはほとんど無いという事実を無視して、「英語の必修化」を論じることは無意味なことだ。必修化を訴える人は、いかなる根拠をもって「義務教育に必要不可欠の学習科目である」というのであろうか? 

≪日本語教育の実効性あげよ≫

 私は学生時代に日本語について学んだが、中世日本文学の研究をする際に、中世の日本に渡来してきていたポルトガル人の作った「日葡(にっぽ)辞書」が使われていることを知って驚いたものだ。中世・近世時代に日本へやって来た外国人たちの多くは、キリスト教を布教することが目的であっただろう。布教目的で世界各地へ散らばった宣教師たちの「努力」によって、多くの民族や国が、母国語の代わりにポルトガル語やスペイン語を公用語として使うようになり、それは現在にまで生き続けている。しかし、日本では日本語が他国語によって駆逐されることはなかった。「日葡辞書」を作ったポルトガル人宣教師たちも、最初はポルトガル語かラテン語で日本人を教化しようと企てていただろう。だが、そうせずに、自分たちの方が日本語を学び、日本語によって布教をした方が「効率的」であると考えたのは、日本語が「神」や「信仰」「隣人愛」などといった高等な抽象概念を理解することに不足の無い高度な言語であることを発見したからではないかと思われる。

 現代においても、日本語は感性に訴える必要のある外国文学やドラマ・映画においても、最先端の科学技術や哲学思想においても、万能の表現能力と造語力を有している。また、外国語をこなれた日本語に翻訳できる優秀な翻訳家を途切れることなく輩出しているため、日本語をすっかり捨て、外国語を使わなければ発展的な学習ができないという事態は、ここ千数百年ほどの間には生じていないはずだ。

 以上の検証から、日本の公立小学校における「英語の必修化」は、その緊急の必要性も実効性も乏しいと結論づけざるを得ない。本当は誰も真面目に考えていない英語教育にエネルギーを費やすよりは、日本語による教育の実効性を最大限に上げる方法こそ、文部科学省は真剣に考えるべきである。もしくは、外国に「日本語学校」を数多く創設し、日本語を国際語に育て上げることに知恵とエネルギーを注いだ方が、日本への留学生や質の良い移入労働者が増えて国益に適うのではないかと、私は真面目に考えている。
by sakura4987 | 2006-06-21 16:11

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