◆金メダルにも淡々
平成16年9月 2日(木)産経新聞
アテネでのオリンピックが終わり日本も静けさを取り戻したことだろう。何しろ、東京五輪とタイ、十六個の金メダルを勝ち取ったというのだから、海外にあっても祖国の熱狂ぶりが目に浮かぶようだ。
それにくらべてこの国はどうだろう。今年の五輪も金メダル三十五個、相変わらずのスポーツ大国ぶりだが、日本のようにメディアで大々的に報じられるということはない。独占放映権を獲得した局は別として、新聞のスポーツ欄でも一応特集は組むものの、トップ記事は、やはりフットボールであり、大リーグであり、バスケットボールだ。自国選手が金メダルに輝いたからといって新聞の一面トップを飾ることはない。
似たようなケースはノーベル賞だ。日本で受賞者が出ると文句なく一面トップ、金メダル以上のニュースだが、米国ではそういうことはない。
毎年のように受賞者があり、これまでに二百七十人以上を数える米国と、十二人の日本との違いといえばそれまでだが、そういう理屈だけでは説明できない何かがあるような気がする。
米国の友人は「モザイク国家でヒトさまより自分という米国と、民族がほぼ単一で他人のことでも自分のように喜ぶ国との違いですよ」とこともなげに言うが、さてどうだろう。