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◆【ビューポイント】東シナ海の緊張と自衛隊 (世界日報 06/6/23)


領域脅かす中国軍の活発化 戦略価値が高まる沖縄

拓殖大学国際開発学部教授 茅原郁生


 ●≪在日米軍再編の確実な実行を≫

 去る五月三十日に、在日米軍再編に関する基本方針が閣議で決定された。

 米国は、反テロ戦争を遂行する中で朝鮮半島から中東地域にかけて紛争要因を抱える半月状の地域を「不安定な弧」として、トランスフォーメーションを進めようとしている。

 その一環として在日米軍の再編も進められ、それは普天間基地の返還に象徴されるような、日本からの要望に関わるものが多い。

 日本の防衛に不可欠な日米安保体制の抑止力を維持したままで沖縄の基地負担を軽減しようとする両面からの要請をどのように解決するかが、ポイントである。

 独力で防衛を全うできないわが国としては今次基本方針が誠意をもって確行されるよう最大限の努力が必要であることは論を待たない。

 私事ながら、筆者は防衛庁からオピニオンリーダーに委嘱されており、去る二月に沖縄の第一線で活躍中の自衛隊を視察する機会に恵まれた。

 沖縄では、陸上防衛を担当する第一混成団、防空を担当する南西航空混成団、海上防衛を担当する第五航空群等、米軍基地などの管理・調整に関わる沖縄防衛施設局及び地方連絡部などの部隊や機関が活動中である。

 今次、在日米軍再編の表舞台となる沖縄で、黙々と任務に励む自衛隊の真姿に接して改めて西日本の安全保障環境と防衛現場の厳しい実態を確認できた次第である。

 沖縄本島を中心として九州から台湾にかけた南西諸島は、地勢的に東シナ海と太平洋を画する戦略要衝である。

 この海域は、去る五月に公表された米国防総省の議会宛「中国の軍事力に関する年次報告」(レポート)が「国際回路へのアクセスが脆弱であると主張する中国にとって死活的な海洋通信ライン」と見ているように、関係国にとって極めて重要な海域となっている。


 ●≪中国軍の偵察で緊急発進倍増≫

 現に東シナ海の排他的経済水域(EEZ)の境界が日中間で画定されないまま、中国は日本が主張する中間線付近で既に海底資源開発を進めており、共同開発に関わる外交ルートでの協議は五回に及ぶが解決には至っていない。

 この海域に対しては海上自衛隊の哨戒飛行や海上保安庁の巡視船などによって監視と警戒が続けられている。

 先の米国防総省レポートによればこの海域で「昨秋、中国の海軍艦艇が係争海域でのガス田掘削・調査活動を監視していた日本の自衛隊機に武器を向けた」緊迫事態が発生している。

 日々、沖縄から飛び立つ海上自衛隊の哨戒機は我が琉球諸島から二百㌔㍍も離れない海域でこのような軍事的な緊張に直面しているのである。

 東シナ海での緊張事態は、これまでも中国の海洋調査などが反復されている。

 二〇〇二年三月にEEZ内の科学調査の実施は二カ月前に連絡するという口上書を日中間で交わしているが、このルールに違反する調査活動が反復されている。

 さらに日本側が強い警戒感を抱いた具体的な事例として、二〇〇四年秋の中国の漢級攻撃型原子力潜水艦(原潜)の領海侵犯事件がある。

 この原潜の事故はグアム島の米軍基地を偵察した帰途での行動との見方があり、中国の海洋戦略の実態が不透明なままで、西太平洋で米海軍力と衝突するような事態が懸念される。

 また中国の海洋資源開発に関連して、東シナ海のEEZ付近では海軍艦艇の行動や航空機による偵察行動が近年多発している。

 先に防衛庁が公表した資料によれば、二〇〇五年の我が航空自衛隊による不審機への緊急発進(スクランブル)は二百二十九件に増加したが、その約半分の百七件が西方空域であったという。

 これまで東シナ海を含む西方空域でのスクランブル件数は〇二年がゼロであったものが、〇三年に二件、〇四年に十三件となり、昨年にはY-8EW電子偵察機などの行動で八倍増しており、これもまた日本側に対中警戒感を抱かせている。

 官民共用で混雑する那覇空港を基地とする航空自衛隊のご苦労がしのばれる。


 ●≪地元沖縄に密着した防衛任務≫

 さらに沖縄には先の太平洋戦争時に激戦地となった不幸な後遺症があり、今日もなお工事現場などから多くの不発弾が発見されている。

 これには陸上自衛隊の不発弾処理隊が出動してこれまで約十一万七千発(五千五百九十万㌧)を処理してきた。

 半世紀を経過した危険きわまりない砲爆弾の手に汗を握る緊張と恐怖の処理作業を、隊員は一日五千二百円の危険手当で、黙々と進めている。

 また離島の多い沖縄の特性から緊急患者空輸の業務もあり、七千件もの実績を重ねているが、その中には夜間飛行間の航空事故で殉職者も出すほどの過酷な患者輸送の民生支援が続けられている。

 言うまでもなく、普天間基地移転に伴う現地調整などを担当する防衛施設局のご苦労もあり、地域の若者の自衛隊入隊などを支援する地方連絡部の活動も雇用環境が厳しい沖縄での重要な活動である。

 自衛隊の沖縄移駐は一九七二年からであって、当初は招かれざる客として引っ越しした子弟の義務教育受け入れも円滑に進まないような状況を克服して、自衛隊は今日、地元に密着して重要な防衛任務を遂行中である。

 西日本の防衛要衝だけでなくアジア地域の安全保障にとっても重要な役割を果たす沖縄は今、自衛隊によって島嶼部や海洋の国防任務がしっかりと担われている実態をもっと国民は知る必要がある。

 現在焦点となっている在日米軍の再編は、わが国の安全保障にとって極めて重要な防衛事業であって、論議が尽くされるべきである。

 その検討に当たっては、沖縄の現地で地元と一体となって防衛任務に邁進している自衛隊の実態を踏まえた、現実的な防衛論議にすべきだと強く実感した次第である。
by sakura4987 | 2006-06-23 11:15

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