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◆太平洋から包囲される台湾


http://www.fides.dti.ne.jp/~shinwa/topics/forumhiramatsu.htm

杏林大学教授

平松茂雄

この二十年来、とくに最近の十年来、中国の軍事力は急速に成長しているが、米国が軍事介入すれば、台湾を軍事統一するだけの力はない。そこで米国が軍事介入しない状態を作ることが大前提となる。現実に中国軍の構築はその方向に向けて進められている。具体的には、①米国の軍事介入を抑制するための戦略的核戦力を構築する。②米国の軍事介入は具体的には太平洋地区にある日本の横須賀、沖縄、あるいはグアムの米軍基地から出動する空母機動部隊、原子力潜水艦、戦略爆撃機などであるから、それらの出動を阻止する。③中距離弾道ミサイルによる核威嚇で、日本の米軍に対する支援を阻止する。④大量の弾道ミサイル、巡航ミサイルによる先制攻撃で台湾の政治・軍事指揮中枢を破壊して、戦争の帰趨を決定する。これらにより、米国の軍事介入を断念させ、台湾に政治交渉の場に着かせる。これらの四点のうち、②を除いた問題については、すでに日本でも、台湾でも論じられているから、ここで屋上屋を重ねる必要はないであろう。以下では、中国が西太平洋海域で実施している海洋調査活動を中心にして論を進める。

日本と台湾に近い太平洋で軍事目的の調査活動

 調査は最初に海軍の情報収集艦が粗い調査を実施し、ついで数隻の海洋調査船が、日本政府に事前通報による許可を得て、同一海域を数ヶ所に分け、一年を三回に分け、観測点を多数設定して、潮流、水温、塩分、水深、海上気象など海洋状況に関する精緻な調査を行った。この海域には伊豆七島・硫黄島海嶺、九州・パラオ海嶺および大東海盆をはじめ、海底地形が複雑な場所があり、音波の伝播が複雑な海域である。海洋調査は、潜水艦の展開あるいは機雷の敷設に必要な海域の特性を把握する上で必要な各種情報を収集したと推定される。これらの海洋調査船による調査は、「国連海洋法条約」に基づいて「事前通報」し日本政府の許可を得て実施された。

 二〇〇四年になると、日本の最南端の領土である沖ノ鳥島周辺海域で中国の軍艦および海洋調査船が軍事目的と見られる海洋調査を始めた。無許可による調査であるところから、日本政府は活動停止を要請したが、「日本の領土である」ことを認めたものの、排他的経済水域を主張する権限はない、この海域は「公海」であると主張して調査を続けた。

 沖ノ鳥島海域の調査に続いて、さらにその南方海域の調査が遂行されることは間違いない。あるいはそれはすでに実施されているかもしれない。何故ならば、日本政府は自国が正統な権利を有する海域における中国の海洋調査についてさえ報道しないのであるから、公海における調査活動について報道することはありえないからである。

なお台湾の周辺海域、特に台湾南部海域から東部海域でも、同様の海洋調査が実施されたが、それらについて確実な情報を持っていないので、ここで取り上げない。指摘しておきたい点は、そうした台湾周辺海域での海洋調査活動が行われていた二〇〇二年十月中国海軍の最新鋭のミサイル駆逐艦旅滬級「ハルビン」号が東シナ海から日本の南西諸島海域を通って、台湾東部海岸より約一五〇カイリの海域を南下して南シナ海に入り、南シナ海で南海艦隊と合流して、総合演習を実施した。同じ時東海艦隊の小型艦艇部隊が大陸の沿海沿いに台湾海峡を南下して、南シナ海に入り、総合演習に参加した。中国海軍の水上艦艇が日本列島から台湾、フィリピンと繋がる第一列島線を越えて、太平洋に進出しつつあることを別の面からも裏付けるものであった。

目的は米海軍の対台湾支援阻止

中国が大陸から数千キロメートルも離れた海域で海洋調査を実施する目的は何か。西太平洋海域での海洋調査活動には、これまで中国大陸周辺海域で実施されてきた活動とは性格・目的において明らかに異なるところがある。それは一言で説明すれば、中国海軍が千島列島から日本列島、台湾、フィリピン、セレベス島の東側海域にいたる第一列島線を越えて、千島列島から小笠原諸島、マリアナ諸島へと南下する第二列島線内の西太平洋海域に進出することを意味する。

中国海軍の潜水艦が第一列島線を越えて、第二列島線内の海域にまで出てきたことはこれまでにもあるが、現在そしてこれから進展する事態は一言で説明すれば、中国軍が遠くない将来実行を計画している「台湾の軍事統一」に備えて、日本および台湾に近い西太平洋海域に、潜水艦を展開し、機雷を敷設するための調査活動であると推定される。一九九〇年代中葉以降東シナ海「日中中間線」の日本側海域で実施された海洋調査は主としてエアガンを使用しての海底地質調査、具体的には石油資源探査であった。太平洋海域での調査は軍事目的であるところに、重要な差異がある。従って当然のことながら調査方法も異なっている。(但し東シナ海においても、特に沖縄本島と宮古島との間の海域で、潜水艦航行のための海洋調査と推定される調査活動が実施されたことを付言しておく)

中国は一方でこの海域に核ミサイル搭載型原子力潜水艦を展開して、米国を核攻撃すると威嚇して米国の軍事介入を抑制するとともに、他方でこの海域に在来型潜水艦および魚雷発射型原子力潜水艦を展開し、あるいは機雷を敷設して、日本の横須賀あるいはグアム島にある米軍基地から出動する空母機動部隊、原子力潜水艦を西太平洋海域で阻止することを意図している。中国は先般のアフガニスタン戦争やイラク戦争におけるように、空母艦載機あるいは艦艇・原子力潜水艦から発射される巡航ミサイルによる中国の指揮中枢および主要軍事施設への攻撃と見ている。

なお中国は原子力潜水艦から水中発射でき、米国のアラスカから西海岸地区に到達できる射程八〇〇〇キロメートルの大陸間弾道ミサイル(SLBM)「巨浪2」号、およびそれを搭載する「094」型原子力潜水艦を開発しており、米国国防総省報告は一〇一〇年までに配備されると見ている。

沖ノ鳥島は米国海軍の原子力潜水艦が常時展開態勢にあるグアム島まで約六〇〇マイル(一〇〇〇キロメートル)の位置にある。近年来米国は全面的な戦略転換を図っており、グアム島に戦略爆撃機および空母機動部隊が配備されると報じられている。中国にとって台湾侵攻ばかりでなく、将来における太平洋進出に備える上でも重要な海域である。

なお日本およびグアムの米軍基地に対して、中国は、核弾頭、通常弾頭のいずれも搭載可能な中距離弾道ミサイル「東風21」を配備している。「東風21」について、国防総省の中国の軍事力に関する報告をはじめ、米軍は近年とくに強い関心を示している。

このようにわが国および台湾に近い太平洋海域での海洋調査活動が進展するとともに、中国海軍の潜水艦が展開されることになる。早くも二〇〇四年十一月十二日、中国海軍の「明級」在来型攻撃潜水艦がわが国の鹿児島県佐多岬沖合いの大隈海峡を浮上して国旗を掲揚して通過した。太平洋から東シナ海に抜けたところから、わが国の太平洋海域で潜行して活動したことが分かる。何を目的として活動したかについて諸説があったが、旧式で、しかも浮上した船体には赤錆がついており、整備の不十分であることが明瞭なところから、戦闘訓練というよりは、それまでの海洋調査船による調査を検証したと考えられる。この見方が間違っていなければ、それほど遠くない将来、性能の優れた潜水艦がこれらの海域に出動することが予想される。なお中国外交部は記者会見で、「正常な海上訓練である」と説明した。

第一列島線と第二列島線に囲まれた西太平洋海域は、第二次大戦後米国海軍が支配してきた。ところがこの数年来中国海軍が進出することを意図している。中国海軍は遠からず米国海軍および日本の海上自衛隊と同じこの海域で軍事訓練・演習を実施することになる。中国海軍の西太平洋進出により、好むと好まざるとに関わりなく、米国・日本・中国の海軍力が競い合うことになる。

そして中国海軍の潜水艦がこの海域にまで進出してくることは、日本にとっては、いずれ太平洋ルートのシーレーンの安全にも関わってくる。わが国は南シナ海ルートのシーレーンばかりでなく、太平洋ルートのシーレーンにも配慮せざるをえなくなる。

 東シナ海、南シナ海、台湾海峡は中国の「内海」になる

中国では二〇〇二年十二月に、国務院国家海洋局から「全国海洋効能区画」が公表され、続いて海軍測量部隊が周辺海域の測量調査を完了したことが明らかにされた。中国は周辺の黄海、東シナ海、南シナ海を「中国の海」と主張している。翌〇三年には、それらの海域所在する無人島の管理を強化し開発・利用することを目的とした「無人島管理規定」が国家海洋局・国務院内政部・中国軍総参謀部から連名で公表された。さらに国家海洋局は「全国海洋経済発展計画要綱」を公表した。「中国の海」の開発・利用はこれから加速化され本格化する。中国海軍の西太平洋進出は、それを受けて「中国の海」を守る重要な国家目標をもって実施されていることを意味する。そうなると黄海、東シナ海、南シナ海、そして台湾海峡は「中国の海」、つまり中国の「内海」となる。因みにその翌〇四年三月中国の民間団体が尖閣諸島に上陸して国旗を掲揚した出来事が起きたが、この団体は「無人島の民間への開放」に呼応して実施された出来事であると考えられる。

中国海軍の潜水艦が太平洋に進出するには、二つのルートがある。一つは、東シナ海から沖縄本島と宮古島の間の海域(「宮古海峡」)を通るルートであり、もう一つは、南シナ海から台湾とフィリピンの間のバシー海峡を通るルートである。どちらの海域もが、特に「宮古海峡」は幅員が狭く水深が浅いから探査されやすいが、バシー海峡は水深が二〇〇〇~五〇〇〇キロメートールと深く、潜水艦の迅速な攻撃、隠蔽・潜伏に良好な空間である。

その脈絡で、海南島は重要な位置を占めている。海南島から真っ直ぐに東に進み、台湾とフィリピンの間のバシー海峡を通れば太平洋であるが、他方海南島は南シナ海の入り口に位置している。そして何よりも海南島は、中国海軍の潜水艦基地であり、南シナ海は中国海軍にとって潜水艦の訓練場である。海南島の東南海域には西沙諸島があり、その主島である永興島に中国は一九八八年ころまでに二六〇〇メートルの本格的な滑走路を建設した。海南島から永興島にかけての海域は中国軍の「聖域」であり、シーレーンを挟んで南にはミスチーフ環礁(美済礁)があり、ここに中国は漁船の避難所と称する海軍基地を建設した。これらの軍事施設で中国軍は南シナ海海域、そしてインド洋からマラッカ海峡を通って南シナ海に入り、バシー海峡を抜けて太平洋にでるシーレーンを抑えることを意図している。

 台湾は日本の生命線

米国は兵器売却により台湾の防衛能力を一定の段階に高めることに努めると同時に、グアム島の原子力潜水艦を増強し、航空母艦を配備し、あるいは戦略爆撃機を新たに配備することにより、東アジアの戦略態勢を立て直し、強化し、中国の軍事力増強に対処しようとしている。

 台湾で初めての総統選挙で李登輝総統が選出された九六年三月に、それを妨害する目的で中国が台湾に近い海域で軍事演習を実施した時、米海軍の航空母艦が出動した。現在中国が日本および台湾に近い海域で実施している海洋調査活動は、そのような事態を繰り返さないこと、すなわち米国の中国に対する攻撃を航空母艦からの艦載機と巡航ミサイルと見ており、そのためには米海軍空母機動艦隊が台湾近海に近づかないように、その外側の海域に潜水艦を展開し、あるいは機雷を敷設することを意図している。(下図「南シナ海要図」を参照)

台湾の軍事力向上が必要であることはいうまでもないが、台湾は日本の隣国であるばかりか、日本のシーレーンの重要な場所に位置する。台湾問題は日本にとって他人事ではない。中国は台湾の軍事統一を断行する時には、「台湾問題はわが国の内政である」と、日本の世論に働きかけてくることは間違いない。「台湾問題」の行方は今後の米中関係、日米関係、日中関係によって左右されるが、何よりも磐石な日米関係が大前提であり、そのためには米空母機動部隊が必要な時に、米空母機動部隊を支援できる対潜水艦能力、機雷戦能力などの「攻勢的防禦能力」を海上自衛隊が持つだけでなく、それ以上にそれを実行する決意が日本政府には必要である。
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by sakura4987 | 2006-08-31 09:23

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