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◆【正論】京都大学教授・西村和雄 日本の再生には先ず公教育充実を


 (産経 06/9/2)

京都大学教授・西村和雄氏(撮影・大塚聡彦)


 ■求められる論理的思考力の向上

 ≪少子化対策としても重要≫

 最近、フランスに住む知人が一時帰国した。11歳と8歳の子供がいて、3年前にフランス人の夫と離婚したとのこと。生活は楽ではないが、大学で日本語を教えていて若干の収入があり、高校まで授業料がタダなので、やっていけるそうだ。日本にいる両親が高齢化しているので帰国したいが、日本の高い教育費を考えるとあきらめざるを得ないとのことであった。

 私が仲間と、3つの私大卒業生を対象に2001年時点で調査したときには、希望する数の子供を持てない理由の第1が「教育費の高さ」、2位が「生活費の高さ」、3位が「仕事との両立の難しさ」であった。教育費がかさむのは、低下した公的教育を家庭で補わざるを得ないからだ。公教育の充実は重要な少子化対策なのである。

 小沢一郎民主党代表は5月17日の党首討論で、「親の子殺しから子の親殺しに始まって、信じられないような事件ばかり続出している」と教育行政の責任を指摘した。

 子供の非行や犯罪の原因については家庭の問題も指摘されるが、それで教育行政が免責されるわけではない。1967年から続いてきた中学校における内申書重視が、現在では絶対評価の名の下に、教科の成績を子供の態度まで加味して決める制度になっていて、子供たちの心に計り知れない悪影響を与えてきた。教員が子供の「意欲・関心・態度」などを点数化する評価制度は廃止すべきだろう。

 また、子供たちの倫理観や、家族、地域、国家に対する帰属意識を醸成してゆくには、20人程度の少人数学級で、家庭とも連携することが不可欠であろう。

 自民党の安倍晋三官房長官が、首相直属の「教育改革推進会議」を設けることを総裁選の公約とする意向を固めた(8月13日読売新聞)。公的な教育を充実させることで、日本の将来に希望をもたらしてほしいと思う。

 ≪脱論理招いたゆとり教育≫

 「ゆとり教育」が社会的格差を生んでいることは、8月7日付の本欄でも述べた。イギリスでは欧州連合(EU)拡大とともに、旧東欧諸国の基礎学力と労働倫理に優れた労働者が大量流入し、イギリス人の若者の失業が増加している。日本でも今後、同じことが起きるであろう。

 現行の指導要領で学んだ大学生が入学し始め、大学の現場から学生の読解力、文章表現などの大幅な低下を指摘する声が届いている。

 子供の犯罪、読解力の低下、ニートの増加、一般的倫理観の欠如など、すべてに共通するのは論理的思考力の低下である。親を殺せば、この先の自分の生活が立たなくなること、将来、仕事をしてゆく上では、学力か技術を身につけなければならないことなど、論理的に考えていればわかるはずのことである。

 実は、日本の子供たちの読解力の欠如は、単に国語力によるものではない。ゆとり教育の下で、すべての教科の内容が脱論理的に変化したことの累積的な影響が読解力を低下させているのである。

 たとえば、中学の英語では会話しか教わらない。その結果、多くの中学卒業生が、主語、述語、目的語、すなわち昔であれば中学で習っていた文型を読み取れない。したがって、今の高校の英文解釈の参考書では、文型を通じて文章構造を読み取るものに人気がある。中学では会話文だけでなく、もっと論理的な文章を学ぶ必要があろう。

 国語でも、主語と述語、修飾語、そして文章の構造を読むことができなくなっている。国語の時間を増やすにしても、もっと論理的に文章を読む訓練が必要である。

 ≪教材の改善だけでも変化≫

 教科書が簡素になり過ぎて、読む価値がなくなっていることも、さらに読解力を低下させている原因である。

 子供の自学自習が可能な小学算数の教材『学ぼう算数』(数研出版)を使用した都下の公立小学校がある。

 6月8日に発表された都の学力テストの結果では、前年度に市で21校中20位であった同校の順位が今年は5位に上がり、特に、『学ぼう算数』を主として使ったクラスの平均点は、都でトップの文京区(330点)をさらに20点も上回るものであった。これは算数だけでなく国語、理科、社会を含めた結果である。

 平均点が上がった最大の要因は、学習が遅れた子供たちの成績を都の平均よりも高い水準まで引き上げたことにある。カリキュラムと教科書が改善されれば読解力も回復する例であり、初等教育で今、最も大きな問題となっている学力の二極化も防げるという良い例ではないだろうか。(にしむら かずお)
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by sakura4987 | 2006-09-04 12:34

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