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◆【正論】 自国の領海で銃撃受ける理不尽さ (産経 06/9/12)



ノンフィクション作家 上坂冬子

 ■新政権は北方四島返還に本腰を

 ≪起訴されるべきはロシア≫

 小泉純一郎首相が平成16年9月2日、日本の首相として初めて洋上からの北方領土視察のため海へ繰り出したとき、私はひそかに願い続けていたことがある。

 故意でも偶然でもいいから、船が日露の中間ラインを越えますようにと。もし越えたら、ロシアは日本の首相を逮捕するかどうか。当時は、それを口にしたとたん、人々はどっと笑ったが、冗談ではなかったことになる。

 今回、北方領土で起きた日本漁船に対する銃撃拿捕(だほ)事件は、外務省の原田親仁欧州局長が即座に「わが国固有の領土である北方四島のわが国領海で、ロシア側から銃撃を受けた」と駐日ロシア臨時代理大使に抗議した言葉で言い尽くされている。

 にもかかわらずロシアは、銃撃で死亡した乗組員の遺体を返した後、一方的に船長を起訴した。ロシア側の殺人罪を裁くのが先決ではないか。

 そもそも北方四島は151年前から日本の領土で、両国ともそれを認めて条約を締結しており、反故(ほご)にした事実などない。だがスターリン率いる軍隊は、これを無視して敗戦日本に攻め込んできたのである。

 かくて敗戦の日から20日後に北方四島はロシアに占領され、在住の日本人は1人残らず島から追い出されて今日に至っている。いわば四島はスターリンに“拉致”され、61年間占領され続けてきた地域なのだ。

 事件の後、ロシア領であるかのようにされている貝殻島の灯台が何度もテレビに映し出されたが、あの灯台は昭和12年に日本が点灯し、国有財産として登録してある。


 ≪無策の国に愛国心持てず≫

 漁民は日露の中間ラインを越えて射殺されたといわれるが、中間ラインとは根室半島と貝殻島の中間にロシア側が勝手に引いた線で、国境ではない。根室側からわずか2キロ足らずのところだ。

 現在、四島に日本人は1人も在住できず、ロシア人1万4000人ほどが住んでいる。この不自然な状況の解決のために、15年前から工夫を凝らして往来の方法を考えた。

 日露ともに自国領だと主張している以上、互いに外国旅行に必要なビザ(入国査証)を申し入れる気になれない。

 そこで期間を切ってビザなしでの交流を始め、かつて島に住んでいた日本人は、この期間に墓参を行い、島に住むロシア人は日本に観光に来ることになった。10月にはビザなしのロシア人を、鳥取県が受け入れる予定だ。

 ともあれ、世界でもまれな地域で、危惧(きぐ)されていた問題がついに起きたのである。昔なら戦争に突入していただろう。

 問題のポイントは漁民が中間ラインを越えたかどうかではない。まして密漁などという表現はもってのほかで、すべてはスターリンの無法に始まっている。

 解決への道は民主ロシアがスターリンの暴挙を“実績”と認めるのか、それとも暴挙を一新して先進国の態度をとるかどうかの一点にかかっているというのに、日本は一向に事件の核心に迫れずにいる。

 やがて憲法や教育基本法の見直しによって愛国心論議が始まるだろう。だが今回の事件で日本の無策を目の当たりにした国民に、愛国心を持てというほうが無理だ。

 実は9月6、7日に、北方領土対策協会主催の北方領土ゼミナールが全国の大学生40人を招いて根室市で開かれた。

 拓殖大学客員教授の佐瀬昌盛氏、外務省の川上恭一郎ロシア課長補佐が四島をめぐる日露の歴史と交渉について講演したが、学生の熱意は驚くばかりで、身じろぎもせず聞き入っていた。講師のバックのガラス越しに船長が拘置されている国後島がはっきり見えたせいか。


 ≪旧島民の声に言葉返せず≫

 大学生もさることながら、私は久しぶりに再会した旧島民の声にも圧倒された。

 「日本政府はいつになったら本腰を入れるのか。かつては再選によってプーチン大統領の地位が安定するまで待てといい、今は時期的に石油資源の開発などで大盤石のプーチンを相手にすると、日本として不利だから待てと言う。

 なぜ、今回の事件をテコにして、従来の弱腰の打開に取り組まないのか」。まったく同感で返す言葉もない。

 安倍晋三官房長官の父上の安倍晋太郎元外相は、早くから北方領土問題の解決に熱意を抱き、グロムイコ外相との会談を繰り返している。令息の晋三秘書は当時の詳細を正確に把握しているはずだ。

 もし安倍新首相が誕生したなら、父上の遺志を継ぐのではないか。旧島民のみならず、愛国心の持ち方に逡巡(しゅんじゅん)している日本人としては、そこに期待をかけるしかない。
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by sakura4987 | 2006-09-15 17:53

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