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◆新聞週間前に「史料」検証も不十分な日経「富田メモ」報道への新聞協会賞に異議あり

 (世界日報 06/10/11)

信用を高めたのか?

 新聞週間が十月十五日から始まる。十七日には岡山市で第五十九回新聞大会が開かれ、そこで恒例の新聞協会賞が授与される。今年の“目玉”は何といっても日経の「富田メモ」(七月二十日付朝刊)だろう。

 新聞協会賞は「新聞の信用と権威を高める顕著な功績」をあげた新聞人を、編集、経営・業務、技術の三部門から選ぶもので、今年は既に五件が決まっている。むろん、「富田メモ」は編集部門で、日経の社会部・井上亨記者が受賞する。

 だが、どうも解せない。「富田メモ」はさまざまな物議を呼んでおり、これが本当に新聞の信用と権威を高めたのか、疑問が多過ぎるからだ。新聞協会は授賞に当たって、この記事の名称を「『昭和天皇、A級戦犯靖国合祀に不快感』を記した富田朝彦・元宮内庁長官の日記・手帳(富田メモ)に関する特報」としているが、果たしてそう決め付けてよいものか。

 第一に、「富田メモ」はいまだに客観的な検証がなされていないのだ。

 新聞協会賞は九月六日に発表され、それを日経は翌七日朝刊の一面で報じたが、その記事の横に「『富田メモ研究委』設置 本社」との囲みの社告を載せていた。そこにはこうあった。

 「日本経済新聞社は富田メモについて既に公共性の高い重要個所の大半を報道してきました。さらに社外の有識者を交えて残る部分も含め再点検するため『富田メモ研究委員会』を月内に設置します。歴史研究者らに参加をお願いし、来春までに見解をまとめ、日本経済新聞の紙上で報告書を公表する予定です」

「研究委」どうなった

 いまから再点検とはどういうことなのか。日経自身が「富田メモ」報道に自信をもっていない証しではないのか。いずれにしろ再点検が必要な記事が新聞協会賞では、説得力がない。

 それに社告は「富田メモ研究委員会」を月内(九月中)に設置するとしていたが、今になっても設置の知らせがない。設置したのか、それともできないでいるのか。月内に設置と大見得をきった以上、読者にきちんと説明してもらいたい。

 第二に、新聞協会賞の授賞理由に「地道な取材の成果として第一級の史料を発掘したこの特報」とあるが、当の日経と井上記者はその「発掘」の経緯についてまったく書いていないのだ。

 こんな不可解な話はない。「第一級の史料」というなら、どこに、どういう状態で保管されており、なぜ公表されたのか、といった史料にまつわる「基礎報道」が問われる。なぜなら、保管状態や公表動機によっては捏造(ねつぞう)の疑いも生じるからだ。ここをしっかり押さえてこそ「第一級の史料」の「発掘」と言える。

 ところが、日経にはそれがなかった。第一報には「日本経済新聞が入手した富田氏のメモ」とあっただけだ。七月二十日夕刊には手帳と日記の写真が掲載されており、確かに手帳と日記は存在するのだろう。だが、それだけでは「発掘」とは言い難い。

産経報道で疑問増幅

 奇妙なことに「発掘」の経緯を明らかにしたのは「富田メモ」に批判的な産経で、九月一日付一面で「昭和天皇お人柄『伝えたかった』富田夫人」と報じた。これはこの日に発売された同社発刊『正論』(十月号)に作家の上坂冬子氏が「富田メモ、夫人を訪ねて」と題して書いており、その紹介記事だった。

 だが、これには驚愕(きょうがく)することが書かれていた。上坂氏が聞いた富田夫人の話によると、メモと手帳はゴムで括(くく)られ「寝室の枕元の戸棚」に放置してあったもので、「メモについては用紙もバラバラで扱いにくかったため一度も読んだことがなかった」そうで、「内容を知らぬまま(井上記者に)渡したその束の中に、話題となったメモがあったと思われる」というのだ。

 メモと手帳はゴムで括られていた? とすれば、バラバラだったのか。本当に問題の個所に張り付けられていたのか、何とも怪しい。それに夫人の話は「内容を知らぬまま」と言いつつ、「昭和天皇お人柄を伝えたかった」と言うなど、辻褄(つじつま)があっていない。

 とまれ、不祥事続きの日経の信用は地に堕(お)ちている。そんな日経だけの手による「再点検」など誰が信じるというのか。「富田メモ」の疑問を一つも解かずに新聞協会賞だ。受ける方も授ける方もどうかしている。



●新聞協会賞

http://www.pressnet.or.jp/info/hyosho/kyokaisyo.htm


●2006年度新聞協会賞

http://www.pressnet.or.jp/info/hyosho/kyokaisyozyusyo.htm

<編集部門>

「昭和天皇、A級戦犯靖国合祀に不快感」
  を記した富田朝彦・元宮内庁長官の日記・手帳(富田メモ)に関する特報

日本経済新聞社  編集局社会部 井上 亮


≪授賞理由≫

 日本経済新聞社は、昭和天皇が昭和63年、靖国神社へのA級戦犯合祀に不快感を示していたことを、平成18年7月20日付の朝刊1面トップで特報した。

 昭和天皇の靖国神社参拝は50年11月以来途絶え、理由について公式発表は一切なかった。

 今回の特報は、A級戦犯14人が合祀されたことに昭和天皇が強い不快感を示し「だから私はあれ以来参拝していない」と、63年、当時の富田朝彦宮内庁長官に対し語っていたことを、富田氏のメモによって明らかにした。

 地道な取材の成果として第一級の史料を発掘したこの特報は、首相の靖国神社参拝問題、靖国神社のあり方そのものの議論を喚起し、政治、社会、外交など各方面へ大きな影響を与えた極めて衝撃的なスクープであり、新聞の力を再認識させる報道として高く評価され、新聞協会賞に値する。


井上 亮(いのうえ・まこと)=昭和36年4月29日生まれ。昭和61年日本経済新聞社入社、整理部、社会部、長岡支局長などを経て平成18年3月から現職。
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by sakura4987 | 2006-10-11 12:57

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