◆高級マグロ、軒並み漁獲制限へ (世界日報 06/10/15)
先週の日本によるミナミマグロ過剰漁獲の発覚に次ぎ、最高級に位置付けられるクロマグロに対しても国際管理機関が十一日に漁獲制限の勧告を公表、世界中でマグロが乱獲されている実態が表面化しつつある。
日本だけでなく欧米、中国でも魚の消費が増えていることや養殖技術の広がりが背景にあり、今後、漁獲制限は厳格に適用され、マグロ価格がますます上昇するのは必至。乱獲のしっぺ返しは、世界最大の消費国・日本が最も大きく受けることになる。
クロマグロの主漁場である大西洋を管理する「大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)」の科学委員会は、同委が定めた地中海・東大西洋海域の年間漁獲枠三万二千トンに対し、実際には五万トンが漁獲されていると推計。
禁漁期の拡大や小型魚の漁獲制限強化により枠を一万五千トンに半減させない限り、資源回復は困難と指摘した。
同海域では、フランスやトルコ、クロアチアなどが、幼魚を捕獲していけすで脂(トロ)を付ける蓄養を行っている。ただ、巻き網で一気に大量の幼魚を捕るため、漁獲量を正確に把握するのが難しく、虚偽申告も横行。
こうしたマグロの出荷先の九割が日本向けとされ、日本商社の無秩序な買い付けもやり玉に挙がっている。
一方、ミナミマグロは日本の過剰漁獲に加え、オーストラリアの漁獲量偽装も疑われている。「みなみまぐろ保存委員会(CCSBT)」は現在、来年以降の漁獲枠と各国割り当てについて協議中だが、漁獲量が削減されるのは確実だ。
マグロの国内卸売価格は、今年に入り一時急騰。日本にとって最大のマグロ供給元である台湾に、メバチマグロ乱獲の常習犯として漁獲制限が課せられたためだ。今後ほかの魚種、海域にも制限が広がれば、さらなる値上がりは避けられそうにない情勢だ。