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◆早急に「現代の人質」対策を (産経-正論 06/12/28)



聖学院大学大学院教授・真野輝彦

 ■対外純債権の保有リスクに備えよ


 ≪■外貨建て資産は「人質」≫

 国際情勢が緊迫化する時に対外圧力の1つの有力カードが「外貨建て対外債権債務」の凍結である。

 現に米国は北朝鮮の銀行預金を凍結しているし、過去にもイランなどの米ドル資産凍結の例は数え切れないほどある。このように外貨建て対外債権の保有は「現代版人質」なのである。

 私の記憶に最も強く残っているのは、1950年6月に勃発(ぼっぱつ)した朝鮮動乱の際に、米国が中国の米ドル資産に「外貨資産凍結令」を適用、実施したケースである。鴨緑江を渡って北朝鮮を支持したことに対する報復措置である。

 このリスクを回避するため、中国は外貨準備を英ポンドに切り替えたのだが、当時の英ポンド相場は低落が続き、毎年外貨準備の評価損を計上することになった。

 この問題を迂回(うかい)する方法はないかという中国周恩来首相の要請が、私が勤務していた為替専門銀行、東京銀行にあり、為替課長としてこの課題に参画することになった。

 その結果1972年8月に「日中円元決済協定」が締結された。米ドルを使用しない一種のオープン勘定方式の貿易決済協定であったが、この協定が日中貿易を拡大させ、国交回復に貢献したのである。

 ちなみに、この時の中国元相場は135・84円であった。最近元相場は強含みに推移し15円近辺に上昇しているが、当時との比較で中国元の対円価値は約9分の1に減価している。


 ≪■日本の外貨保有リスク≫

 残念なことにこの外貨保有リスクの管理が最も欠けているのが日本である。

 政府が保有する巨額の外貨準備に加え、民間部門の対外資産・負債の差額は1兆5317億ドル(2005年度末)と他の国に比較してずば抜けて大きいにもかかわらず、官民のリスク意識は極めて低い。

 中国の外貨準備が1兆ドルに達し、日本を越えたことはジャーナリズムで大きく取り上げられているが、中国は対外借入、海外からの直接投資など、増大する対外資産に見合う債務も並行して増えているため、純資産は2875億ドルと日本の5分の1にすぎない。

 これが円元決済当時の中国と現状との違いである。対外資産を凍結されれば、中国は対抗して国内の外国資産を凍結することが可能になっている。

 その中国も米ドル資産のユーロなどへの分散化が伝えられている。米ドル下落リスクの回避と米国への人質減らしであることはいうまでもない。

 巨大な経常赤字を計上する米国は、対外資産10兆ドル、債務12・7兆ドル、ネット2・7兆ドルの債務超過であり、英国も3710億ドルの債務超過である。日本と戦後の復興を競ったドイツの純資産は2692億ドルに過ぎない(05年末)。


 ≪■日本の3つの対応策≫

 日本のこのリスクを回避する方策は3つある。

 ●第1は、日本への資金流入を増加させ、対外債務を増やすことである。そのためには日本経済を海外投資者に魅力あるものにしなければならない。

 一層の規制緩和と公的部門改革が急務である。最近続々と報じられる官製談合は公的部門の無駄が大きいことの証しである。

 ●第2は、輸出の圧縮と輸入の増加である。資源小国である日本がせっかく手に入れた生産資源を国内で使う余地は、空港、道路、住宅の質向上などまだまだ大きいことはいまさら言うまでもない。

 注目された道路特定財源問題は、揮発油税の全額一般財源化は見送られたものの、52年間歳出を固定化させていた特定財源の枠組み改革の第一歩として評価したい。

 しかし今後策定される中期計画に、財政削減のため、真に必要な道路建設へと絞り込むことが課題である。個人や企業の対外購買力を増加させる「強い円」政策が有効手段であることは言うまでもない。

 ●第3は、貿易・投資の円建て化である。貿易や資金取引が円建て化すれば相手国の円建て債権は、預金や国債保有などの形で、日本国内に留まることになる。

 この方法で外貨建て資産を圧縮すると同時に、日本が手にする外国からの人質を時に増加させることができることになる。

 これらの対応策を実現するためには、グローバル化の進展による世界的構造変化を再認識し、それに対応して日本人の意識を変えることが不可欠である。換言すれば「輸出は善、輸入は悪」との戦後の途上国的意識の転換が必要なのである。

 小泉内閣は民間部門の構造改革を実現させた第1幕であり、安倍内閣による「戦後の総決算」という第2幕が始まったばかりなのである。
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by sakura4987 | 2006-12-28 19:38

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