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◆【正論】杏林大学客員教授・田久保忠衛 北方領土問題の原点にもどれ (産経 07/2/7)



 ■いまは日露交渉に「最も悪い時期」


 ≪「武器」を持たない交渉≫

 ゲーツ米国防長官は、プロイセンのフレデリック大王が述べた「武器を持たない交渉は、楽器を伴わない楽譜と同じだ」との表現を最近記者団に披露していたが、日本の北方領土に関する対露交渉にもあてはまるだろう。「武器」や「楽器」を自ら放棄し、失敗は認めず、「毅然とした態度で」とか「ねばり強く」交渉すべしなどと空虚な掛け声だけで腹の内を見透かされてしまった。

 1956年の日ソ共同宣言以来51年になろうとしている現在、北方領土は一ミリたりとも動かず、「政経分離」の原則はとっくの昔に崩れ、カネや技術などが滔々(とうとう)とロシアに流れていく様を見ていると、日本外交は惨憺(さんたん)たる敗北を喫したのだと断定しないわけにはいかない。

 昨年12月13日の衆議院外務委員会で麻生太郎外相は、北方四島の面積を折半する解決案を考慮しているのではないかと誤解されるような発言をした。わが子4人が拉致され、いくら相手がしたたかだろうとて、2人の返還だけで手を打とうなどと考える親はいない。麻生外相ほどの政治家が国の尊厳のかかった領土問題で、このような発言をするのは、何らかの計算があって誰かの真意を試そうとした観測気球ではないかと推察するほかない。


 ≪言葉失う政府の対露姿勢≫

 それよりはるかに恐ろしいのは、外相と質問者の前原誠司・民主党衆議院議員が意気投合したかのように、いまが北方領土問題を打開する「いい時期に来ている」との認識で一致していることである。国内で権力を強めつつあるプーチン大統領さえ説得できればロシア国内の異論は収まるとでも考えたからなのだろうか。またまた相手に擦り寄り、日本が持っている貴重な「武器」や「楽器」を巻き上げられた屈辱の歴史を繰り返すのではないかと心配になる。

 領土をどうこうする前に日本外交の目標はプーチン訪日をいかに実現するかといった手段に神経を集中し、相手の歓心を得ようとする。一昨年の訪日に際して何の見返りもなく、先方が望むトヨタ自動車の進出、世界貿易機関(WTO)加盟支持、退役原子力潜水艦の原子炉解体といったどえらいカードを自ら申し出た日本側の対応には言葉を失った。

 日露交渉の時期は「一番悪い時期に来ている」と私は考える。一つは石油と天然ガス価格の高騰によりロシアは労せずして財政が潤い、いくら経済支援の人参をぶら下げてみても先方にとってさしたる魅力ではなくなってしまったという事情がある。もう一つは「強いロシア」を旗印に掲げてきたプーチン政権の不可解なまでの排外的ナショナリズムだ。一昨年5月の対独戦勝60周年記念式典も一つの機会となり日本をナチドイツ並みに扱う言論がロシア側有力者から相次いで飛び出した。

 日露賢人会議は何をする組織か知らないが、ロシア側の座長であるルシコフ・モスクワ市長は「ソ連の対日参戦は同盟諸国の相互支援に基づく国際的義務だった」とうそぶいた。またロシアの新聞報道によると、グリズロフ下院議長は「日本が北方領土を失ったのは、近隣諸国侵略に対する処罰だ」とまで言い放っている。どういうつもりだったのか、戦勝式典に小泉純一郎首相が出席した。


 ≪コール元西独首相の才覚≫

 米国のジャーナリズムの日本批判にはこまめに反論する外務省もロシアの大物のとてつもない暴論には何故か沈黙している。さらに、与野党の政治家やロシア問題の専門家の一部は自分こそはいかにも知恵者だと言わんばかりの顔をして、ロシアの前に「落としどころ」の案を提示しておどけてみせる。交渉のチャンスはどこかを見定めようなどとの冷静さはない。

 1990年の東西両ドイツの統一にはいくつもの偶然が働いたかもしれないが、西独のコール元首相が当時のソ連と東独情勢を読んだうえで打ち出した両独マルクの等価交換が決定打となった。一気に統一の流れができる。目先のことだけにかまけていた日本にはコール首相の才覚がなかった。

 いまのロシアでは、プーチン大統領の民主主義に逆行する言動が目立ち、ジャーナリストのポリトコフスカヤ女史の暗殺、連邦保安局(FSB)元幹部、リトビネンコ氏毒殺事件などの陰惨な事件の続出に世界は疑惑の目を向けている。安倍首相も麻生外相も得意の価値観外交でロシアの外濠を埋め、国内の軽挙妄動を戒め、領土問題の原点に戻る「いい時期に来ている」と思うが、どうだろう。(たくぼ ただえ)




◆【主張】北方領土の日 妥協排し「四島」一枚岩で (産経 07/2/7)

 きょう7日は27回目の「北方領土の日」である。北方四島の日露2等分論など、戦後62年の全国の返還運動に冷水を浴びせるような妥協案が政・学界、マスコミなどで幅をきかせ始めている。この中で、安倍晋三首相と麻生太郎外相は万難を排して東京の「返還要求全国大会」に出席し、政府は「四島一括返還」の大原則で一枚岩であるとの立場を内外に強調すべきであろう。

 特に麻生外相は昨年12月の衆院外務委員会で自ら「2等分」案に言及した責任がある。全国大会での毅然(きぜん)とした発言が期待される。国民の悲願である四島全面返還に向け、「主張する外交」の骨太の戦略を示してほしい。

 小泉純一郎前首相は全国大会を過去2年連続で欠席し、「日本政府の領土返還熱は冷めた」との誤ったメッセージをロシア側に与えてしまった。

 プーチン政権は今、「四島の主権はすべてロシア側にあり、国際法で確定済みだ」と歴史をねじ曲げた高圧的な姿勢に終始している。「未曾有の石油景気で日本のカネを必要としなくなった」(ロシア筋)ほかに、対露外交でのこうした不作為もクレムリンを一段と傲慢(ごうまん)にさせている一因だ。

 不作為といえば、昨夏に歯舞海域で漁民1人が射殺されたロシア国境警備艇による日本漁船銃撃事件は半年が経過した。ロシア側の一方的裁判で「有罪」とされた船長は根室帰還後、一転「無罪」を主張しているのだ。外務省などは今後、ロシアにどんな対抗措置をとる所存なのか。まさか、このまま幕引きではあるまい。

 スターリンのソ連による終戦直後の四島不法占拠は、北朝鮮の拉致事件と同様の国家犯罪である。しかし、2等分論などの跋扈(ばっこ)や相次ぐ不作為の背景には、政府や国民の間で戦後一貫して国家主権と国益が蹂躙(じゅうりん)され続けているとの深刻な歴史認識の風化がある。これでは、常に日本の国論分断をもくろむロシアの思うつぼだろう。

 四島から追い出された旧島民約1万7300人が現在、半分以下に減った中で、返還運動の原点である根室の市民(出身者も含む)約100人が30年ぶりに6日、都心でデモを行った。民間の新たな返還運動体の旗揚げの兆しもある。ソ連崩壊からまだ15年だ。安易な妥協論を排し大原則に戻ろう。
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by sakura4987 | 2007-02-08 16:22

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