◆日本の宇宙開発はインドにも対抗し得ない~JAXA・平岩主任研究員に聞く(2)
(日経BP 07/5/23)
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/matsuura/space/070523_india2/
インドの宇宙計画は、大幅な予算の伸びと計画的な人材育成によって、今後2010年代にかけて大きく伸びることになる可能性が非常に高い。
平岩氏によると、インドの優位性はそれだけではない。インドは、予算を総花的にばらまくようなことをしていない。重点分野に集中的に投資して、確実に必要な技術を国産化している。
その一方で、自国の地政学的な地位を利用して、大胆に海外からの技術導入も進めており、その投資効率は非常に高いと判断しなくてはならない。
ロケットと衛星に集中的に投資
■インドの宇宙開発のオーバービューは理解できました。それではロケットや衛星、有人宇宙開発といった個別分野ではどうなのでしょう。
平岩 これはインドと日本の2007年度予算をドルベースで比較したものです。予算額と、それが全体の中でどの程度の割合を占めているかを示しています。
日本の予算で、「etc(Reliability improvement)」には、ここに2003年11月のH-IIA6号機の打ち上げ失敗を受けての、全JAXA的な信頼性向上運動に費やす予算の104億円が計上されています。
そういった事情を考慮した上でもはっきりと分かるのは、インドは「ロケット」と「衛星」という、宇宙開発に必須の2つの要素に集中して投資を行っているということです。
インドは全予算の約40%をロケットに投資しています。一方日本は9.8%です。衛星はインドが38%、日本が41%。宇宙科学分野は、インドが8.1%で日本が7.6%となっています。
つまり、日本はインドと比べて、ロケットのような宇宙輸送システムへの投資を薄くして、その分を国際宇宙ステーションや衛星、そして信頼性向上へと分散投資しているわけです。
(以下、略)