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◆【日本よ】石原慎太郎 たとえ、地球が明日滅びるとも (産経 07/6/4)



 さる5月中旬、ニューヨークでの世界大都市の首長による地球温暖化対策会議に出席した。

 この会議はロンドン市長リビングストンの提案で発足したものだが、世界の全人口の大部分を占める大都市が協力して、地球の温暖化を加速している要因CO2削減に努力すれば、それが大きな引き金となって地球の救済に繋(つな)がるだろうという趣旨で発足したものだ。

 1回目はロンドンで行われたが、その後リビングストンは東京における環境対策の実績を知り、東京の参加を呼びかけてきた。

 しかし会議は総じて、東京にとっては収穫に乏しいものでしかなかった。理由は各都市の財政力の違いや技術力の格差がありすぎて、東京から見れば生ぬるいものでしかなかった。

 それでもなお、やらぬよりやった方がはるかにましということではあるが。

 報告ではどの都市も異常気象に悩まされているということだが、しかしなお地球の危機到来、という危機感はまちまちの印象だった。

 ただ共通した問題として、それぞれの都市のそれなりの努力に対してそれぞれの国の政府の協力がいかにも乏しいという実態は、主催都市がニューヨークでありながら当のアメリカの政府は京都議定書に不参加という皮肉な事実がそれを証している。

 私は共同声明の中にアメリカ、中国、ブラジルといったこの問題の責任大国の京都議定書への批准を強く求めるべきだと建言したが、なぜかあまり賛同は得られずコミュニケは間が抜けた印象にとどまった。

 故にも私は私自身の問題意識の所以となっている個人的体験について語ったのだが、これも不思議なほど反応は鈍いものだった。

 20年近く前東京で行われた、「ブラックホールの蒸発理論」を発表した宇宙学者ホーキングの講演を聞いた時のことだ。

 筋ジストロフィという業病に侵され、すでに声が出ずに指先でコンピューターのキイを叩いての人造声で話された講演の後質問が許され、聴衆の一人が、この宇宙全体に地球のような文明を持った星が幾つほどあるのだろうかと質(ただ)したら、ホーキングは言下に「200万ほど」と答えた。

 その数に驚いた他の参加者が、ならばなぜ我々は実際にそうした星からの来訪者としての宇宙人や宇宙船を見ることがないのかと聞いたら、これまた言下に、「地球のような高度の文明を造り出した星は、そのせいで循環が狂ってしまい極めて不安定な状況をきたし、宇宙全体の時間からすればほとんど瞬間に近い速度で自滅するからだ」と答えたものだった。

 そしてその、宇宙を覆う膨大な時間帯からして瞬間に近い時間とは、地球時間にしてどれほどのものかという問いに彼は眉をひそめ、「まあ、100年ほどか」といっていた。

 先年ある出版社が国内外のさまざまな専門家に、人間の存在の舞台たる地球の寿命について質したら、大方の答えが100年弱ということだったそうな。

 私が私の初めての孫の誕生に立ち会った時、この子がやがて親となり、さらに孫を持つような頃まではたして地球は安泰だろうかとふと思ったことを今になって思い出す。

 私が以前ダイビングで訪れた南太平洋の、砂州で出来ている国キリバスは最高の標高が5メートルを切るために、温暖化で北極南極の氷が溶け始め太平洋の水位が上がり、高潮時には首都のメインストリートの割れ目から海水が吹き出すという。

 一つの国があきらかに海に沈みつつあって、やがて国全体が水没してしまう時の民族移動の行き先は、国同士の協定でオーストラリアと決まっているそうな。

 私も眺めてきたヒマラヤの氷河湖も溶け始めていて、これが溶解し瓦解すると、バングラデシュのような国は一月をまたずにほとんど全土が水浸しとなる。

 しかし人間は自らの身の周りに悪しき変化が歴然と到来せぬ限り、実は地球全体を蝕(むしば)みつつあるものについて認めようとはしない。

 大都市が都市機能運行の故の自らの責任を認めて動きだしても、国家政府という巨(おお)きな機能本体は依然動こうとはしない。

 日本における典型的な広域行政として行われた首都圏のディーゼル車の排気ガス規制は歴然とした効果を挙げ、大気の汚染は軽減したのに、肺癌(がん)の発生要因である排気ガス粉塵(ふんじん)の軽減のために国は一向に動こうとはせず、首都圏に来ればつかまって罰金もとられる車は他の大都市圏では野放しの状態でしかない。

 しかし、国家という最高権威の不作為を一体誰が咎(とが)められるというのだろうか。

 だがなお私たちはまず、各々の身の周りで悪しきものを防ぐ努力を進め重ねるしかありはしまい。

 いつだったかどこかの居酒屋で色の変わった古い色紙に記された、同世代の作家だった開高健の言葉を目にし心を打たれたことがある。調べたら東欧の詩人ゲオルグの詩の一節だった。

 「たとえ地球が明日滅びるとも、君は今日リンゴの木を植える」と。

 それを色紙に記した開高の思いが何であったのかはつまびらかでないが、彼が共感して記した人間のその志について、私はニューヨークでのスピーチに世界中から集まった仲間に改めて取りついだものだったが。
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by sakura4987 | 2007-06-16 10:06

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