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◆【溶けゆく日本人】人間関係の不全(6)向き合わぬ親子



 (産経 07/6/4)


 ■親指だけの“会話”

 親子の間で「気兼ね」とも言える人間関係が広がる。「愛情」や「優しさ」ゆえの気配りや、「親離れ」「子離れ」とは次元の異なる、踏み込むことを恐れる関係だ。

 「なんでそんな大事なことを親に言わないのだろうか」-。立命館大学大学院の団士郎教授(家族心理学)は学生の告白に耳を疑った。

 自身が重病であることを親にひた隠しにしているという。日常会話もあり、一見“仲の良い”普通の親子だが、手術を要するほどの病気を抱えていることを告げていない。

 理由を尋ねた。答えは「そんなことを言ったら親がパニックになるから」だった。「病気を隠すほうがよほど事態の深刻化を招くはずだが…」。団教授は首をひねる。同種の“気遣い”から、体調不良で連日のように保健室に通っていることを「親に報告しないで」と教師に懇願する中学生もいるという。「(うまくいっている親子間に)波風を立てたくないという思いなのでしょう」と団教授は語った。

 「何年も会話がない。子供が部屋の中で何をやっているかわからない」-。関東地方で対人関係の相談業務に携わる男性は、こうした告白に驚かなくなった。子供の部屋に入れない親は珍しくない。「なぜ部屋に入らないのかと問うと、『子供にもプライバシーがあるから』などと理由をつけて尻込みする」という。向き合って話せば、摩擦が生じ、お互い嫌な気分にもなる。「波風を立たせまいとする親子関係が多くなっているのだろう」-。男性はそうした答えに行き着いた。

                   ◇

 摩擦を回避するために便利な道具なのだろう。近年、「親子関係」に大きな影響を与えているのが携帯電話の存在だ。

 「昨日はお母さんが悪かった」-。神奈川県の主婦(45)は、進路について口論になったことを中学生の長男に詫(わ)びた。口からではなく、“親指”で。携帯電話からメールで送信したのだ。「電話だと、手が離せない用事をしていて迷惑をかけるかもしれない。メールだといつでも読めるだろうから気が楽」。ここでも“向き合わない”“語り合わない”方がいいだろうという親なりの配慮が垣間見える。

 今やそんな携帯メールを通じての親子のコミュニケーションが、対面会話に迫ろうとすらしている。情報通信総合研究所(東京)が昨年末、家族内で「最も利用するコミュニケーション方法」を聞いたところ、トップは「直接の会話」で24%だったが、2位以下に僅差(きんさ)で、「携帯電話で会話」(21%)、「携帯電話でメール」(20%)と続いた。

 子供に携帯電話を持たせている親を取材すると、「メールを使うことで子供との距離が以前より近くなったように感じる」(東京都の主婦)、「メールで、どこで誰と遊んでいるかすぐに把握できるようになった」(神奈川県の主婦)などの肯定的な声が返ってくる。「携帯電話を介して子供と向かい合っている」という安心感があるようだ。

 しかし、「メールは連絡を密にする効果はあるが、それは決してコミュニケーションを深める効果はない」と指摘するのは奈良女子大学の川上範夫教授(臨床心理学)。

 こんな母親の事例がある。「○○ちゃんと遊んでいる」と中学生の長女からメール着信があった。ところが夕方、街でばったり出くわした娘の横には同年代とは思えない“いまどき風”の複数の男性がいた。「メールをもらい、それで安心していた部分があった」と母親は唇をかむ。

 だが携帯電話をチェックして交友関係を把握したり、娘を問いつめようとは考えていない。理由は「娘に悪いと思うから」だ。ここでも“遠慮”が顔を出した。

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 なぜ気兼ねし合うような“不自然”な親子関係が出来上がるのだろうか。「昔に比べて、親子関係が対等になりつつある」と指摘するのは、家族心理学が専門の武蔵野大学専任講師、生田倫子さん。「縦」の関係なら踏み込める領域が、「横」のつながりになることで、関係を壊さないような遠慮が生じる。いわば友人関係の延長だ。「家族内では、ある程度のヒエラルキーがあった方が子供に安心感を与えるのだが…」と生田さん。

 現状を追認していけば、食卓をともにする親子が携帯電話を介して賑(にぎ)やかに“会話をする”、そんな寒々しい光景さえ想像できてしまう。

 立命館大学の団教授は言う。

 「聞こえのよいことを報告し合うだけの家族は『家族』とはいえない。けんかをしても、言い争っても縁が切れない、それが親子のいいところ。『語り合う』-親子はそれが大切だと思う」 (森浩)

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 【メモ】  家庭における父親と子供のコミュニケーション不足が深刻だ。

 内閣府が3月に発表した「低年齢少年の生活と意識に関する調査」(児童・生徒2143人と、その保護者2734人対象)によると、

 平日に子供の相手をしている平均時間を尋ねたところ、

 「ほとんどない」と回答した父親は23.3%にのぼり、前回(平成12年)調査時より9.2ポイント増加した。

 子供の悩みについて「知っている」と答えた父親も3.6%(母親は10.4%)にとどまるなど、父子関係が希薄化している様子がうかがえる。
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by sakura4987 | 2007-06-16 10:08

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