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◆【持論時論】「コムスン」生んだフェミニズム



         /ジャーナリスト 千葉展正氏に聞く

 (世界日報 07/7/14)


 家族介護の思想なき介護保険法

 国民毒した「介護は権利」/厚労省の見通しもずさん

 フェミニストの狙い 次は「育児の社会化」

 近づく少子高齢化社会の中で、お年寄りの世話、介護をどうするか。

 介護保険制度は、お年寄りがさらに年老いた親を看(み)る「老・老介護」、また介護疲れによる殺人などの悲劇を避けようとして導入された、と一般的に宣伝されてきた。

 しかし、評論家・千葉展正氏は、事件を起こした「コムスン」を生んだのはフェミニズムである、と指摘する。

(原稿は、本人の希望で旧かなを使用)


 ――「コムスン」を生んだのはフェミニズムである、と分析されています。その理由から伺いたい。


 介護保険法が成立したのは、自社さ連立政権の橋本内閣の時です。

 フェミニズム勢力が政府部内で影響力を持ち始めたころで、男女共同参画社会基本法も橋本内閣の時に交はされた三党合意の産物なんですね。

 「介護の社会化」――これがフェミニストたちのスローガンでした。介護保険法制化運動の中心にゐたのが樋口恵子氏で、彼女はこんなことを言つてゐます。

 「介護は女性、とくに長男の嫁に一極集中し、その立場にある女性は経済的自立も住民参加も不可能であった。一九七五年の国際婦人年をへて、八五年の女子差別撤廃条約の批准に向けて男女の固定的性別役割分業の見直しが唱えられる中で、嫁・女性の役割がむしろ強化されていた」。

 嫁が亭主の親の介護に酷使され、家父長制の犠牲になつてゐるのは女、といふステレオタイプなフェミニズム理論です。


 ――家族間介護がフェミニズムの重大なテーマになっているのはなぜか。


 フェミニストにとつて、家族は解体すべき対象でしかありません。家族が家族に対して無償で何かするといふことが彼女たちは許せない。

 女は老人介護に酷使されてゐる、介護を外注化しろ、といふ話になる。さうした状況を、介護サービス業者たちはビジネスチャンスと考へたわけです。

 事業者らは、「外注化された介護市場は何兆円」とそろばんをはじいた。事業者は要介護老人を自分たちの利益の源泉としか見ていません。

 グッドウィル・グループの折口雅博会長がコムスンを買収したのは、介護保険法が成立した平成九年なんですね。介護保険法が存在しなかつたら、折口氏は老人介護事業などに参入してゐなかつたはずです。


 ――厚生労働省が「介護保険制度を導入すると国民医療費の負担も減らすことができるんですよ」と説明したのはウソだった、とお書きになっている。厚労省が国民をだましたということなのか。


 厚生労働省は平成八年に、平成三十七年(二〇二五年)における社会保障給付と負担の見通しを発表してゐます。

 そのシミュレーションによると、現行制度のままだと医療費は平成三十七年には百七兆円となる。

 介護保険制度を創設した場合、医療費は九十六兆円となり、介護保険制度は医療費を十一兆円抑制する効果があるといふ予測でした。

 ところが実際は、介護保険制度の導入後も医療費など全く抑制されてゐません。

 国民医療費は介護保険がスタートした平成十二年度は三十兆一千億円でした。

 それが平成十七年には三十二兆四千億円と五年間で二兆三千億円も増加してゐるのです。国民医療費のほぼ三分の一が老人医療費です。


 ――介護保険費の方はどうなっているのか。


 介護保険の総費用は、介護保険制度がスタートした平成十二年度は三兆六千億円だつたものが、現在では七兆円を上回り、数年後には十兆円を突破すると見込まれてゐます。

 つまり、国民医療費は介護保険の導入後も増え続け、老人医療費と同規模の介護保険費が新たに生まれたことになります。今の厚労省には介護保険費を抑制する気などさらさらありません。

 介護保険費は近い将来、国民医療費と同規模に膨らむ可能性もあります。介護保険がスタートしてしまへば、あとは野となれ山となれ。厚労省官僚たちの心中はそんなところだつたと思ひます。

 国民をだますといふより、見通しの立て方から何から、ことごとくいいかげんなんですね、厚生労働省といふ役所は。年金問題と全く一緒です。


 ――コムスンの事件の背景には、介護保険制度の悪用があったわけだが、システムそれ自体に問題はなかったのか。


 今はコムスンだけが突出して悪いといふのではなく、コムスンと同じやうな不正は大なり小なりどこの業者もやつてゐるんです。

 介護保険のシステム自体が、業者を不正に誘惑するやうにできてゐる。介護保険制度は、医療保険制度への反省から出発したはずでした。

 医療保険制度の最大の欠陥は、医療機関が医療費の内訳を患者に開示せずにブラックボックスで処理できるところにあります。周知のやうに、このシステムを利用して医者たちは甘い汁を吸つてきました。

 一方、ブラックボックスの存在は、患者の側からも、一回の診療によつてどれだけのお金が動いてゐるのかといふ意識を失はせた。

 老人は散歩代はりに病院に通ひ、病院の待合室は老人のサロンと化した。国民は医療はタダと思ひ込んでしまつたんですね。

 医療保険制度が抱へるこの根源的欠陥をそのまま引き継いだのが介護保険制度なんです。介護保険システムでも、介護費用の明細が利用者の目に触れることはありません。

 介護保険報酬は、利用者を通さずに「レセプト方式」で国から業者に直接支払はれる。この「レセプト方式」は医療保険を完全に踏襲したものです。


 ――厚生労働省は事業者と一緒になって「介護サービスを利用しよう」と呼び掛けてきた。これに問題はなかったか。


 「介護はサービス」といふ宣伝がどれほど国民を毒してきたか分かりません。介護制度の財源を保険にしてしまつたので、国民に保険料を払つてもらはなければならない。

 それで「介護はサービス」「介護サービスは国民の権利」と宣伝を始めたのです。

 コムスンの折口氏も「日本の介護制度が保険方式を採用したことで、権利意識が生まれた」と言つてゐます。

 突貫工事で介護保険制度をつくつたために、厚労省官僚は「保険負担だけあつてサービスなし」と国民から批判を浴びるのを非常に恐れた。

 だからコムスンのやうな事業者の全国展開を大歓迎したんです。その代はり、大規模事業者の多少の不正には目をつぶつてきた。この甘やかしがコムスンを助長させたのです。


 ――男女共同参画社会基本法もそうだが一度、成立してしまうとなかなか修正や廃棄が難しいものだが、この介護保険制度については、今度、どのようにしていけばよいと考えるか。


 現行の介護保険制度は、厚生労働省の老人保健福祉審議会がわずか一年審議しただけで、導入を決めたものです。

 さまざまな意見の対立があつたにもかかはらず、厚生労働省が反対意見を封殺して見切り発車してしまつたんですね。介護保険制度は遠からず破綻(はたん)するでせう。

 国民的議論も合意もないまま強行された介護保険法は廃止すべきだと思ひます。

 医療保険と公的介護保険は抜本的に見直す必要がある。社会福祉には、すべて税金で賄ふ北欧型と、国家保障は最低限に抑へ基本的に民間保険で賄ふアメリカ型があります。

 北欧型は高福祉高負担で、収入の半分は税金で持つていかれる。アメリカ型は、低所得層はメディケアと呼ばれる最低基準高齢者医療保険と税金によつて保障するものです。

 ちなみに、日本の介護保険制度はドイツの介護保険制度に倣つたと言はれますが、似て非なるものと言へます。

 私は、日本の医療・介護システムは、どちらかといふとアメリカ型を志向した方がいいと思ふ。公的保険は最低限の保障に回し、手厚い看護・介護を受けたい人は民間医療保険や民間介護保険に加入すればいいんです。

 ただ、北欧型にせよアメリカ型にせよ、家族介護といふ思想は完全に欠落してゐる。アメリカ型を志向しつつも、医療・福祉システムの中に家族介護をきちんと位置付ける必要があります。


 ――ドイツの介護保険制度では、家族が現金給付を選択することもできる。そのような選択肢についてはどう考えるか。


 ドイツの介護保険制度は欠陥だらけのシステムで、国民から苦情が殺到してゐると言はれます。家族への給付金が家族間の紛争を引き起こしてゐる面もあるやうです。

 ドイツの介護保険は、介護を完璧(かんぺき)にカバーするといふのではなく、基礎的な保障をするといふ位置付けなんです。

 家族への現金支給が、わが国の家族介護の習慣になじむかといふと、さう単純に言ひ切れないやうに思ひます。

 フェミニストの中には、家族介護への現金給付に賛成してゐる人も実は少なくない。家族介護も、お金をもらつてやる分にはオーケーといふわけです。

 物分かりがいいみたいですが、違ふんですね。家族介護の有償化が一度制度化されてしまへば、タダで老人の世話をするなんてバカみたいといふ話になってくる。

 そこがフェミニストたちの狙ひ目なんですね。


 ――出産、育児、教育、そして介護から葬式まで人生の中の多くがアウトソーシング(外注)に依存する社会の問題点をどうみるか。


 フェミニストたちは、「介護の社会化」の次に、「育児の社会化」に目標を定めてゐます。

 子供を保育園に預けるとかそんなレベルの話ではなく、「育児労働」をすべて国家が面倒を見ようといふ発想です。

 「育児労働」をすべてコストに換算する。「お金をもらへないなら子供を育てない」と女性たちを煽るのです。

 「社会全体で子供を育てる」といふキャッチフレーズにひそむ底意を見過ごしてはなりません。


 ちば・てんせい 評論家・コラムニスト。昭和27(1952)年、北海道生まれ。中央大学法学部卒。同52年、共同通信社に入社。経済部記者などを経て平成8年に退社。

 フェミニズム問題・家族問題・教育問題をテーマに執筆活動を展開。著書に『男と女の戦争―反フェミニズム入門―』、共著に『夫婦別姓大論破!』。

 フェミニズムを斬るホームページ「反フェミニズムサイト」を主宰。
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by sakura4987 | 2007-07-14 10:53

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