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◆人生訓の書「菜根譚」に学ぶ (世界日報 07/7/29)




心を支える東洋の知恵/欲望を抑える人間の生き方

メンタルヘルスカウンセラー 根本 和雄

いま心を失いつつある現代人

 大正末期から昭和の初めに駐日フランス大使を務めた詩人のポール・クローデルは昭和十八年に、パリでこう語ったという。

 “日本人は貧しい。しかし高貴だ。世界でただ一つ、どうしても生き残って欲しい民族をあげるとしたら、それは日本人だ”と。

 然るにいまや、礼節を忘れ、品格を失い、高貴の見る影もない現実は、昨今の信頼基盤の失墜の現実で明らかである。言うに及ばず、安心安全である食を、意図的に偽装する行為そのものが貪りそのものに他ならないのである。人間の欲望には限りがないが、その欲望を抑えることに人間の生き方があり、その心を支える知恵が東洋の人生訓の書『菜根譚』に秘められていると思うのである。

 東洋には、よりよい人生を生きる知恵を示した本がいくつかあり、そのひとつにこの『菜根譚』がある。この書は、中国明代に洪自誠によって書かれたもので、儒教・仏教(禅)・道教の三教を融合して人生訓、処世術を述べた心の処方箋で、実に明解且つ具体的に語られている。

 その特徴は次の三つに要約することができよう。その一つは、全編を流れる清冽な倫理観。その二は、社会の柵を離れて、自然と共にその人らしく悠々とした生き方、そして三には、本音で強に生きる処世の知恵ではないかと思うのである。

 さて、『菜根譚』にこう述べている。

 “故に古人は、貪らざるを以て宝と為すは、一世に度超する所以なり”と(前集・七八)。

 即ち「故人は、欲ばらないことを宝としたが、それで彼は世間的な柵を乗り越えることができた」というのである。

 中国の古典『老子』にも“足ることを知る者は富めり”(第三十三章)とあり、仏教でも「少欲知足」を説いているとおりである。

 また、唐の詩人・白楽天も“心足らば、身は貧に非ず”と詠っていることは実に至言という他はないのである。

機事有る者は、必ず機心あり

 数学者の藤原正彦氏は、こう述べている。

 「十六世紀なかばに来日したフランシスコ・ザビエルは、『日本は貧しいことをはずかしがらない、武士は町人より貧しいのに尊敬されている』と驚いた。武士は刀を持っていたから尊敬されていたわけではない。高い倫理道徳ゆえである。日本ほど金銭至上主義と縁遠い国はすくなくとも欧米にはなかったと思う」と。

 近ごろは、社会の倫理観が麻痺して、人々は自己の欲望に駆り立てられて“もっと、もっと”と貪欲に利益を追い求めているのではなかろうか。急速に進展する情報技術(IT)は、いつしか能率と効率が先行し、誠実・忍耐・工夫・努力・勤勉・じっと待つことなどが疎かにされている気がしてならないのである。

 ノーベル物理学賞を受けた湯川秀樹博士は、常々こう語っていたという。

 “機械有る者は必ず機事有り、機事有る者は必ず機心有り”と。

 これは『荘子』(天地篇)の言葉であり、その意味するところは「機械を使う人間は、万事を機械で処理してしまうので、心までも機械のように冷酷になってしまう」から気をつけなければならないというのである。

 つまり、割り切れない世界が存在しているということを常に忘れてはならないということではなかろうか。たとえば、「何かに跪く心」は人間性の根源に関わる感性ではないかと思うのである。

 一九三一年にオーストリアの数学者クルト・ゲーデルが「不完全性定理」というものを証明したという。不完全性定理とは、正しいか正しくないかを論理的に判定出来ない命題が存在するということをゲーデルは明らかにしたということなのである。

菜根を咬み得ば百事做すべし

 もとより『菜根譚』は、汪信民の言葉に、“人、常に菜根を咬み得ば、即ち百事做すべし”に基づくものである。言い換えれば、菜っぱや根っこのような粗末な食事を経験した人こそ人生がよく解るし、貧しい生活に耐えてこそ、真に人生の意味を味わうことができるというのである。

 そこに次のように書いてある。

 “奢る者は富みて、而も足らず。何ぞ倹なる者の、貧にして而も余り有るに如かん”と(前集・五五)。即ち「富裕な生活をする人は、いくら富裕であっても、心に満足することがない。倹約な生活をする人は、いくら貧しくともいつも心に余裕がある」という。それは、消極的な生き方ではなくして、むしろ己の欲望を制して生きるということで「克己と自制」と更には人類と自然とが「調和と共生」に生きる東洋の知恵ではないかと思うのである。

 いま、改めて人生訓の書『菜根譚』から、心を支える東洋の知恵を味わいたいと思う。
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by sakura4987 | 2007-08-01 09:56

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