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◆【やばいぞ日本】第1部 見えない敵(9)官僚自ら「柔軟な発想無理」



 (産経 07/7/24)


 「海洋国家ニッポンと言いながら、海の監視システムが十分でない。早急に整備すべきだ」。日本版国家安全保障会議(NSC)創設をめざす官邸機能強化会議のメンバーで軍事アナリストの小川和久さん(61)が、首相官邸にこんな提言メモを送ったのは先月中旬。青森県で起きた北朝鮮を脱出した一家の漂着事件から間もないころだった。


 周囲を海に囲まれた日本の海岸線の総延長はざっと3万5000キロ。米国(2万キロ)や中国(1万5000キロ)よりも長いことはあまり知られていない。


 現状は海上保安庁や自衛隊を中心に海と空から監視しているが、人員も装備も限界がある。あやしい船の侵入を常時監視する態勢づくりは積年の課題だ。


 大きな予算をかけずに国籍不明船の監視システムを作る方法はある、というのが小川さんの発想だ。(1)領海の要所にすべての船に通過を義務づけたチェックポイントを設ける(2)そこに無人の電子ブイや巡視船などを配置して船の行き先や身元を電子認証する。この方式で取りこぼした船を補完的に衛星情報などでチェックすれば監視効果が飛躍的に高まるという。


 青森県に漂着した船は全長約7・4メートル。日本上空にはこんな小舟の識別にも使える民間衛星が10個以上あり、一定の解像度のレーダーや赤外線センサーを積んだ機種もある。これらの衛星情報を活用すればいい、と小川さんはメモに記した。


 監視強化というと「巡視船を増やせ」といった話になりがちだが、役所の買い物は時間もカネもかかる。要は省庁、官民の垣根を越えて知恵と工夫を柔軟に組み合わせることだ。チェックポイントや無人ブイ、衛星情報を組み合わせた監視システムについて、海上保安庁当局者も「簡単ではないが、検討する価値はある」と関心を示す。


 「でも、無理でしょうね…」と小川さんはこぼす。縦割り行政の壁は厚く、政治は調整機能を欠いている。「役人に任せていたら、いつまでも具体策は出てこない。それが日本の『見えない敵』と言っていい」


 小川さんはトップクラスの官僚たちと議論するが、次官級の官僚が「私たちの前頭葉では柔軟な発想ができない」ともらす。内閣官房の出向者も外務省は外務省、警察庁は警察庁と出身官庁を向いた縦割りの中で動かざるを得ない。即効性のあるアイデアは出てこない構造になっている。


 船舶監視システムにしても、実現するには外務省、防衛省、警察庁、海上保安庁、法務省、水産庁と海上自衛隊、航空自衛隊など少なくとも8省庁・機関の調整をクリアしなければならない。


 「官僚がダメというのではない。官僚制度の限界を理解した上で、優秀な頭脳を国民のために生かす政治の営みが必要だ」。小川さんは日本版NSCがその有力なツールだと指摘する。だが、日本版NSC設置法案は参院選に向けた政治の荒波にのみこまれ、先の通常国会で継続審議になってしまった。


               ◆◇◆◇◆◇◆


 ■「縦割り」是正の司令塔を


 小川さんは3年前にも縦割り行政の弊害を痛感した。イラクのサマワに派遣された陸上自衛隊の活動が本格化した2004年のことだ。


 前年秋、当時の小泉純一郎首相はメソポタミア湿原の復元構想に大規模雇用創出プランを盛り込むよう外務省などに指示した。


 飯島勲首相秘書官と共同作業した小川さんは「早く実行に移してほしい」と何度も外務省に要求した。


 だが、外務省の回答は「民間人が現地に入れるようになってから、国際協力機構(JICA)に任せても事業適地の調査には1年以上かかる」というものだった。


 小川さんは「それなら自衛隊が調査をすればよい」と、外務省に承諾させた上で現地部隊に指示してもらったところ、わずか1週間で地図を添えた調査データが上がってきたという。


 だが、そこまでだった。防衛庁(当時)には政府開発援助(ODA)を実施する権限はなく、外務省の動きはそのまま止まってしまった。


 外務省側にも事情がなかったわけではない。前年秋、日本人外交官2人がテロの犠牲になった後遺症もあった。自衛隊駐屯地内に外務省サマワ出張所が設置されたが、陸自約600人に比べて外務省は5人で1チームを組み、復興支援担当は2人しかいない。駐在も1カ月交代だった。


 そこで、復興支援のための作業に自衛官を外務省職員として投入する話もあったが、なぜか立ち消えになった。


 「自衛隊に大きな顔をされたくない」という一部外務省職員の姿勢が見えるようでハラが立った、と小川さんは言う。


 これらは日本が総力を挙げて懸案に取り組むシステムが確立していないことに起因している。


 米国がNSCを設置したのは1947年。国務省、国防総省、軍などの意見や提案を横断的に検討し、直属の情報機関として米中央情報局(CIA)も設けられた。それ以来、大統領が官僚機構や専門家の頭脳を駆使して機動的に決断を下す司令塔の場として機能している。


 NSC型の政策調整機関を置いていなかった英国も最近、ブレア氏の後を継いだブラウン首相が「英国版NSCを設置する」という構想を明らかにした。


 「省庁間の権益を調整し、政治が決断を下す。それが日本版NSCに期待されたシステムだ」。強化会議の報告を受けて政府が設置法案を国会に提出したのが4月。継続審議となったために、日本版NSCの骨格ができるのは早くても来年以降になる。


 「米国に60年も後れをとっている」。小川さんの悩みは深い。
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by sakura4987 | 2007-08-01 10:40

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