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◆【土・日曜日に書く】社会部次長・井口文彦 岐路…暴対法15年の風景



 (産経 07/11/4)


 ≪摘発できない「5万丁」≫


 10月16日、拳銃犯罪の罰則を重くした銃刀法改正案が閣議決定された。暴力団抗争など「組織の行為」として拳銃を発射すれば最高3000万円の罰金を科すようにするなど、経済的な面からも発砲事件を抑え込もうというものだ。



 背景には、東京・西麻布の住吉会系幹部射殺(2月)や長崎市長射殺(4月)、東京・町田での組員射殺・立てこもり(同)、愛知の発砲立てこもり(5月)といった衝撃的な銃犯罪が続いたことがある。ただ、組織の責任追及を強めても、長崎や両立てこもり事件のような末端の暴走行為に抑止効果があるのかは疑問だ。拳銃を取り上げることこそ急務であろう。



 しかし、拳銃摘発がふるわないのだ。平成9年に1225丁だった押収量は減り続け、昨年は半数以下の458丁。裏腹に水面下での流通・蓄積量は増加の一途とみられ、「国内に潜む拳銃は5万丁」が常識化しているというのに、だ。「5万丁」に対する「458丁」はあまりに無力過ぎる。



 なぜ押収が進まないのか。原因をたどっていくと、「暴力団新法」と呼ばれ鳴り物入りで平成4年に施行された暴力団対策法に行き当たる。



 ≪マフィア化、銃需要の増大≫


 暴対法が一変させたものの象徴は、新宿・歌舞伎町の光景だろう。



 200もの組事務所がひしめいた歌舞伎町は、かつては暴力団員とそうでない者の判別が容易で、「これ以上近づいたら危険」が比較的分かりやすかった。今は逆だ。裏通りにたむろする若者や外国人を見てもスジ者なのか堅気か分からず、危険ゾーンがどこなのかも混沌(こんとん)としている。“秩序”が消えたという意味で、以前とは異質の怖さを感じるのだ。



 「暴力団がなくならないのはカネになるから。資金源を断ち切れ」。そうした認識から、暴力団であることを示威して不当な要求を強いる行為を取り締まり、資金獲得にダメージを与えて壊滅を目指した暴対法の施行以降、警察は事件摘発とともに、「用心棒代」などの要求を禁じる行政命令を3万件出し、排除を進めてきた。



 が、暴力団は組の看板を外し、一見してそれと分からないよう地下に潜った。暴対法が規制力を発揮する「指定暴力団」が、犯罪歴のある「構成員」の比率が一定以上などの組織と定義されたのを逆手に、暴力団は構成員を減らし摘発逃れを図った。逆に、外から支える「準構成員」が増えた。警察庁調べでは、昨年末現在で構成員4万1500人に対し準構成員4万3200人と、準構成員が初めて構成員を上回った。合計数は暴対法施行時からほぼ変わっていない。



 暴対法を導入した警察に、暴力団は敵意をむき出しにした。それまで事務所に毎日出入りしていた捜査員を、「令状はあるのか」と入れなくした。個別接触もせず、捜査員は情報が取れなくなった。



 用心棒代など資金源を絶たれ、中小の組は消滅した。一面で暴対法の効果は表れたが、“業界バランス”が崩れ、最大勢力・山口組(兵庫)の東京進出が加速し、東京勢力との対立状態が銃の需要を生んだ。拳銃ブローカーは「山口組のおかげで商売繁盛」と笑う。



 だが暴力団内部の格差が広がり、「食っていけない」末端組員が暴発、手元の銃で事件を起こすようになったことが、現在の拳銃犯罪の頻発につながっている。



 ≪捜査員の活動裁量を広げよ≫


 マフィア化。組織の情報統制。拳銃捜査と不可分の暴力団捜査の難航は、まさに暴対法の激烈な副作用だった。加えて見逃せないのは、暴力団との癒着を恐れる警察組織の不祥事防止優先の意識が、捜査員の捜査活動に有形無形の足かせをはめている現状だ。



 「昔はパチンコ屋でクスリを打ってる組員を見つけて脅したり、交通違反を見逃して協力者に仕立てたものだが、今はとても」。そう嘆く捜査員の何と多いことか。身内からすら、現場の捜査員は信用されなくなってしまったのだ。



 山口組は現在の組長がトップに就いてからいっそう警察敵視の姿勢を強め、捜査員の自宅、家族、ローン残高などの情報を収集しているほどだ。中枢の組事務所からは最高裁判事の自宅電話番号を記した資料も出てきたという。その情勢で警察だけが足踏みしていていいわけがない。場合によっては「第2暴対法」も検討すべきだが、今、最優先すべきは捜査力の向上で、捜査員の活動裁量を大いに認めることが肝要ではないか。



 拳銃=暴力団捜査は分水嶺に差しかかっている。捜査員のモチベーションと組織としての強さを立て直さないと、水面下の銃は取り返しのつかないところに消えてしまう。
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by sakura4987 | 2007-12-02 13:57

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