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◆万能細胞とバチカン 科学に問う生命の根源



 (朝日 08/1/13)

 http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY200801130045.html


 宗教と科学は対極にあると思われがち。しかし、例えばカトリック教会は科学の進歩に敏感だ。警戒するばかりではない。京都大学の山中伸弥教授らが昨秋、人の皮膚から万能細胞を作るのに成功した時は、ただちに歓迎のコメントを出した。その背景は奥深い。

 バチカン(ローマ法王庁)生命アカデミーのスグレッチャ会長は今回の成功を「歴史的な成果」とたたえた。同アカデミーは生命倫理についての指針を示す機関だ。米国司教協議会も歓迎の声明を出した。

 万能細胞については胚(はい)性幹(ES)細胞の研究もある。バチカンは、こちらには猛反対している。この違いはなにか。

 万能細胞の研究は科学と宗教がまじわる領域で、「人間としての生命はいつ始まるのか」という問題にかかわる。細胞分裂がある程度進んだ胚の段階か、体の形が見えるころか――。

 バチカンの立場は「受精の瞬間から人間」。フェミニズム運動で中絶擁護論が広まっていた74年、堕胎に関する宣言で確認している。体外受精などの「応用問題」が次々と現れても出発点は同じだ。

 故ヨハネ・パウロ2世は95年の文書「いのちの福音」で「神は(中略)小さな形のない胚芽であるときに人間を見つめ、そのような人間のうちにすでに将来の成長した姿を認めるかたです」と述べている。受精卵を壊して作るES細胞を認めないのは当然なのだ。

 こうした主張はカトリック信者が多い欧州で影響力をもつ。欧州議会は89年、「遺伝子操作の倫理的・法的問題に関する決議」の中で「接合子もまた、保護が必要であり、恣意(しい)的な実験の対象にしてはならない」と強く警告している。接合子とは受精直後の状態のことだ。

 このような流れを受けてドイツで90年に、イタリアでは04年に胚の保護を定めた法律が成立した。「倫理問題」という言葉の響きは、欧州の国々と日本ではかなり違う。日本は受精から14日以内の胚に限り、厳しい条件付きながら使用を認めている。国の指針では胚を「人の生命の萌芽(ほうが)」と微妙な表現で呼ぶ。

 カトリックの生命倫理に詳しい富山大学の秋葉悦子教授(刑法)は「欧州ではキリスト教の立場を踏まえて、生命倫理をめぐる議論がなされる。そこにどれだけの葛藤(かっとう)があることか。日本では参照する原則がはっきりしない。人間とは何かという問題にかかわる以上、根源にさかのぼって考える必要がある」と指摘する。

 〈万能細胞〉 ふつうの細胞は特定の組織になることが決まっているが、万能細胞は「命令」しだいでさまざまな細胞に分化し得る。その一つ、ES細胞は作る過程で受精卵を壊すことになるが、山中教授らが成功したiPS細胞(人工多能性幹細胞)はその必要がない。臓器などを再生する医療へ道を開くと期待されている。
by sakura4987 | 2008-01-30 16:16

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