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◆【ビューポイント】ヒューマン・イズムの再検討 (世界日報 2008/2/27)



求道者であるべき人間/近代化の夢叶えば病理社会


NPO法人修学院院長・アジア太平洋交流学会代表理事 久保田 信之


■人類の王国目指した近代思想

 オランダ、フランス、イギリスなどで準備され十七世紀に哲学史の表面に現れたいわゆる「近代思想」は、貧困と病苦をもたらす危険な自然を従順な奴隷と化して『人類の王国』が実現できるという夢を与えた一方、歴史の重圧の中で、自由が踏みにじられ「人間そのもの」が否定されていた状態からの救出、あるいは、人間性をその本来の面目にまで回復し解放すること、を最大の眼目に置いた運動を正当化したのである。

 この近代思想を一言で述べるならば人間・個人に限りない価値を置き、個人を絶対の地位に据えたという意味で「ヒューマン・イズム」と言うことができる。このヒューマン・イズムが、差別の無い平等な一人ひとりが持つ、崇高な自由意志と判断を最大のよりどころとして決断し実行する「デモクラシー」を正当化し、さらには「資本主義」を育成したのである。

 十九世紀以降、このヒューマン・イズムは「一点の曇りもない崇高な主義・主張」として広く容認されていくが、歴史の無いアメリカを筆頭に、異質な人間が競い合い、自己の正当性を強烈に主張せずには生存が危ぶまれる西欧諸国にあっては、他に比して多くの支持者・賛同者を得て浸透していったのである。

 十九世紀末に、弱肉強食の悲劇をもたらした資本主義の弱点を鋭く指摘して登場した、あのマルクス主義も、権力闘争、階級闘争を通して「人間の解放」「人間そのものの救済」を唱えたのであるから、ヒューマン・イズムの枠内にある主義主張であった。このことが、あれだけ多くの近代人を魅了したのだということができよう。

■ゴッド・イズム回帰の始まり

 判断の基準となる「絶対」を「上から下へ」「外なる権力から個人の内面に」と移行して、人間そのもの・人間性を神の座にすえた「近代のヒューマニズム」は、早くも、二十世紀に入るや、各地で激しい混乱や残酷な戦争をもたらしたのである。

 ここにいたり「人間性への限りない信頼」は脆くも崩れ、逆に「人間の罪深さと人間性の醜さ」を知らされることとなったのである。

 「近代人は自ら神になることを望んだ。しかし、皮肉なことに、決して神にはなりえない存在であることを自覚したのも近代であった」のだ。

 かくしてヒューマン・イズムはかつての輝きを失った。親子関係を無視し、親族を排除し、所属する組織をも遺棄して身軽になった近代の個人は、寂しさ、虚しさの中で不安におののき「自己存在の基盤」を失ってさ迷いはじめたのである。近代化路線に明るい未来を夢見たすべての国の人間は、価値の多様と称する価値観・人生観の混乱の中にさ迷い、カネ・物に救いを求めても癒やされない空しい毎日を送っているのである。

 この病理現象に苦しむ現代人の多くは、人間を超越した存在を判断の基準に置こうとする「ゴッド・イズム」「仏陀・イズム」への回帰、復帰を求め始めたと見ることができる。世界的規模で「近代化の再検討」あるいは「ヒューマン・イズムからゴッド・イズム」への移行が始まったのが現代であると見ることができる。

 獣とは違う「人間の本質」を形作る基本理念であり続けた「ゴッド・イズム」を懐かしく思い、さらには、『貧弱な私』を超えた『大いなる存在』を人間存在の基盤に置く安らぎを思い返したのではあるが、「人間性の擁護」だの「基本的人権の尊重」といった近代思想の洗礼を受けた現代人は、重心の移行、ゴッド・イズムへの改心に際しても、新たな大きな問題を生ぜずにはいられなかったのである。

 それは、本来、超越者であり絶対者であるはずの「ゴッド」を、信ずる対象から、人間が価値づけ、意味づけ、あらしめる対象にせずにはいられなくなっていたのである。これでは「ヒューマン・イズムからの脱却」にはならない。

■ゴッド・イズムへ至る留意点

 ところで、鋭い感性と特殊な能力を持ち、特殊な霊体験を経験した者が、「超越者・ゴッド」を彼なりに受け止め、規定し意味づけ、あらしめた事例は多数ある。しかし、それぞれが規定し意味づければ、ゴッドは多様にならざるを得ない。諸宗派の存在がこれを物語っている。かかる相対の地位にあるゴッドに帰依することは危険ですらある。

 われわれが学ぶべきことは、「貧弱な私」に打ち克ちながら、純粋に、情熱豊かに、誠実に「ゴッドを求め続けた」彼らの生き方、あるいは、考え方なのである。

 全身全霊をささげて、謙虚に真剣に、限りなくゴッドを求め続ける求道者としての彼のすべてを己の根底に位置づけ、彼を道案内にしてゴッドを求め続けることこそ、真のゴッド・イズムを体現する者の姿であるといえよう。「人間はすべからく求道者であれ!」
by sakura4987 | 2008-03-08 10:53

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