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◆鏡を通してわかる宝もの



      【君に伝えたい、日本。】脳科学者(理学博士)茂木健一郎

 (産経 2008/9/26)


 鏡の中のイメージが「自分」だとわかる動物は限られている。その中でも、鏡を常用するのは人間だけである。

 国のあり方を考える上でも、鏡が要る。文化を異にする他国と向き合うことが、鏡となることが多い。自分の姿は、案外見えないものである。私の場合、2年間留学していた英国での体験が、何よりの「鏡」となった。

 例えば、「憲法」の問題である。英国は、「非成文憲法」の国で、具体的な条文はない、ということは知識としては知っていた。英国に滞在する中で、「コモン・センス」(常識)と「慣習」を判断の拠り所(よりどころ)とする英国流のやり方の奥深さを実感した。

 英国のやり方は徹底している。たとえば、「首相」の地位についても、慣習が積み上げられてきたに過ぎない。「首相」という職の明文規定は長らくなく、「財務第一卿」が職名であった。

 英国の哲学は、人間の判断をあらかじめ明文のルールで縛っておくことはできないというもので、最近の脳科学や認知科学の知見とも一致する。コンピューターと異なり、人間はプログラムで動くのではない。状況に応じて柔軟に対応できるようにしておかないと、不都合が生じる。

 英国という「鏡」を通して見ると、日本もかつては同じように「慣習」を大切にする国だったことが見えてくる。源頼朝が鎌倉幕府を開く際に依拠した「征夷大将軍」という職位。時の一番の実力者だから「何をしてもいい」というわけではない。坂上田村麻呂に溯(さかのぼ)る古い地位を援用した点に、歴史の連続性を重視する精神が感じられる。

 以来、江戸幕府15代将軍徳川慶喜に至るまで、700年近くにわたり同じ制度が継続した。世界的に見ても特筆すべき、日本の歴史の大切な一面である。

 成文憲法のない英国では、1215年制定の「マグナ・カルタ」など幾つかの文章が憲法の「法源」とされている。

 英国流に日本を見れば、「和を以て貴しとなす」で始まる聖徳太子の「十七条憲法」(604年)が、未(いま)だに有効な「憲法」の法源だと言うこともできる。そうなると、「マグナ・カルタ」よりも600年以上も古い。

 「鏡」を通して初めてわかる宝ものが、日本の中にはまだまだ埋まっているのではないか。自分の姿を深く見つめる必要がありそうだ。

                    ◇

【プロフィル】茂木健一郎

 もぎ・けんいちろう 昭和37年東京都生まれ。60年東京大学理学部、62年同大学法学部卒。平成4年同大学院理学系研究科物理学専攻課程修了(理学博士)。現在ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。17年「脳と仮想」で第4回小林秀雄賞受賞。
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by sakura4987 | 2008-09-29 15:01

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