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◆【正論】拓殖大学教授・藤岡信勝 真実に背向けた集団自決判決



 (産経 2008/11/13)


 ≪■「命令説」覆す新証言≫

 沖縄戦で旧日本軍の隊長が集団自決を命じたとする2冊の本の誤った記述によって名誉を侵害された元隊長らがノーベル賞作家の大江健三郎氏と岩波書店に出版差し止めを求めた裁判の控訴審で10月31日、大阪高裁は一審判決にさらに輪をかけた大江・岩波寄りの判決を言い渡した。

 この裁判における最大の争点は隊長命令説の真偽であった。家永三郎著『太平洋戦争』には「座間味島の梅沢隊長は、老人・こどもは村の忠魂碑前で自決せよと命令し」たと書いてある。これは真実か。

 大阪地裁で一審が結審したあとの今年1月に、座間味島で宮平秀幸氏の新証言が明るみに出た。当時15歳の宮平氏は日本軍の伝令役をつとめていたが、昭和20年3月25日の夜、梅沢隊長のいる戦隊本部の壕に、集団自決用の武器弾薬を求めて村の幹部がやってきたとき、隊長からわずか2メートルのそばで村の幹部と梅沢隊長のやりとりを聞いていた。

 その新証言によれば、梅沢隊長は武器弾薬を渡さなかっただけでなく、逆に、村民に「自決するな」と「命令」し、しかもそれを受けて村長が集団自決のために忠魂碑前に集まった村民を解散させていたのである。

 控訴審で元隊長側は、宮平陳述書と大江・岩波側の批判に反論した私の意見書など大量の書証を提出して隊長命令説の誤りを論証した。

 ≪■軍人の名誉回復を遮断≫

 判決は、隊長による「直接命令」については「真実性の証明があったとはいえない」とした。隊長命令を示す証拠は何一つないのだから、これは当然である。また判決は、2冊の本の記述が原告の社会的評価を貶(おとし)めること、すなわち名誉毀損(きそん)に当たることも認めている。では、判決はなぜ出版差し止めの請求を認めなかったのだろうか。そこで用意されたのが次のような論理である。

 発刊当時はその記述に真実性が認められ、長年にわたって読み継がれてきた書籍については、新しい資料の出現によりその真実性が覆ったような場合でも、直ちにそれだけで当該記述を改めない限りその書籍の出版を継続することが違法になると解することは相当ではない。判決はこう述べた上で、不法行為の成立が例外的に認められるケースとして(1)新たな資料等により当該記述の内容が真実でないことが明白になり(2)名誉を侵害された者がその後も重大な不利益を受け続けているなどの事情がある場合、という基準を示した。

 これは一見すると妥当な基準のように見えるが、今回の裁判の現実とつきあわせてみるならば、絶対に実現しないことを見越した空論であることがわかる。

 第1に、本件こそ(1)の基準に該当するはずなのに、判決は1月の宮平証言と陳述書の間に「変遷」があると誤読し、姪(めい)の宮城晴美氏が「身内の恥」などと宮平氏を人格的に攻撃した陳述書を丸ごと鵜呑(うの)みにし、宮平証言を「明らかに虚言である」と断定している。

 村の同調圧力にさらされながらも勇気をもって証言を決意した者に対する許し難い暴言である。これほど明白なケースでも、ノーベル賞作家を勝たせるため、難癖をつけて隊長の「直接命令」が「真実でないことが明白になったとまではいえない」と判決しているのだから、(1)の基準はどうにでもなる。

 ≪■新基準は空手形に過ぎず≫

 第2に、判決は『ある神話の背景』の出版を例に元隊長の名誉は回復されたなどとして、本件には(2)の基準も当てはまらないとしている。そうすると、虚偽の記述によって過去に受けた被害、とりわけ「公務員」たる軍人の被害は救済されず、虚偽を明らかにした本が出たときはそれによってすでに重大な被害はなくなっているとみなされてしまうのだから、(2)も被害者にとっては実質的に何の意味も持たなくなる。

 要するに高裁判決の二つの基準は、実際には決して実現することのない空手形なのである。

 約300ページにわたる控訴審判決は、一審の判決を追認したばかりでなく、一審判決をさらに補強し、真実でないことがわかっても長く読み継がれた本は訂正しなくてよいという、ノーベル賞作家にこれ以上ない特権を与えたのである。長く読み継がれたからこそ訂正が必要であるのに。

 ただし、元隊長らの提訴は大きな意義があった。法廷の外の言論の世界では、隊長命令説は論破されている。裁判は教科書の記述見直しの契機ともなった。それに、裁判官はバランス感覚をもった公正な判断をする人であるという幻想の間違いが白日のもとにさらされたことも「成果」の一つに付け加えておきたい。
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by sakura4987 | 2008-11-14 16:11

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