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◆【野口裕之の安全保障読本】「文民統制崩壊」逆の悪夢



 (産経 2008/12/8)


 ≪■軍人の政治的発言≫

 航空幕僚長(当時)が「日本は侵略国家であったのか」と題した論稿を発表し、更迭された。だが、多くの民主国家では「しかるべき立場の軍人」だからこそ、ある程度の「政治的発言」を行っている。

 セドニー米国防次官補代理は11月8日、在日米軍再編に伴う在沖縄海兵隊のグアム移転について急遽(きゅうきょ)、声明を発表した。

 「日本政府は一貫して沖縄・普天間基地移設は2014年までに完了すると述べており(セットで実施される)海兵隊移転も(14年までに)完了できる」

 実はこれ、在日米軍も統括する太平洋軍のキーティング司令官の発言に対する訂正だった。キーティング提督は3日前の講演で、06年の外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)で合意した14年までには完了できず、15年も難しいかもしれないとの見方に言及。移転経費も、当初見込みの総額102億ドル(約9900億円)より増えると語っていた。

 確かに、日本側の取り組みの遅れで、当初目標の実現は困難との観測が米政府内では強まっている。

 とはいえ、提督のフライングは明らか。しかも、民主党政権への交代で可能性が浮上している軍事予算削減への牽制(けんせい)-と見る関係者も多い。幕僚長と同じ大将である提督が、太平洋軍司令官として「政治・外交上の国家間合意」と異なる発言をしたということになる。だが、発言が米議会で大きく問題視されたり、懲戒処分が検討されたりしてはいない。

 「政治的発言」というより「歴史認識」を論じた幕僚長を取り巻く日本の騒動を見ると、軍首脳の発言に対する、野党やメディアの感性が米国とは相当違う。

 米国では、軍首脳が作戦や指揮・統率分野で大統領との意見が合わず更迭された例はあるが、思想信条での更迭はほとんどない。もっとも、人種差別発言は厳正・迅速に処分される。

 一方、韓国軍の制服組トップ、合同参謀本部議長の金泰栄大将はまだ議長内定段階で、国会において「北朝鮮が小型核兵器を開発、韓国を攻撃する場合、いかに対処するか」との議員の質問にこう公言している。

 「最も重要なのは敵(北朝鮮)が核(兵器)配置している可能性のある場所を確認し、攻撃することだ。立案している」

 韓国メディアでは、発言の趣旨について軍関係者が「北朝鮮の核兵器を韓国で炸裂(さくれつ)させないためには、発射前の先制攻撃が必要」というものだと解説している。わが国でも度々答弁している政府見解に近い。見解は「誘導弾攻撃等を防御するのに、ほかに手段がない限り、基地をたたくことは自衛の範囲」というものだ。憲法の認める個別的自衛権であり、国際法上も「攻勢防御・先制攻撃」として認知されている。

 一方で、韓国メディアは「ブッシュ・ドクトリンと似た概念で、当局が明らかにするのは初めて」「予防的レベルの先制攻撃」とも説明する。ならず者国家の大量破壊兵器保有は使用可能性が高く、自衛権発動要件になる-としたドクトリンの「先制行動」や、現在差し迫った脅威ではないが、放置すれば将来脅威をもたらす相手を攻撃する「予防攻撃」と、「攻勢防御・先制攻撃」を混同した懸念はある。しかし、先制行動は国際法上賛否が分かれ、予防攻撃は違反とされている。

 ≪■憂う対象にズレ≫

 攻勢防御・先制攻撃は日本の公人が語っても問題なく、まして北朝鮮と対峙(たいじ)する韓国公人による明言は「初めて」ではない。逆に予防攻撃は論外。従って、先制行動を示唆した可能性も高い。それでも、過剰反応したのは北朝鮮だけである。

 日本のメディアと野党は文民統制によほど自信がないのか、空幕長問題が「文民統制崩壊」前夜のごとく騒いでいる。そうかもしれない、と時に感じる。ただし、自衛隊の暴走ではない。「出撃せよ」と命じたのに「出撃できません」という逆パターンの悪夢。まさか、とは思う。ただ、武器使用への制約など「軍事的非常識」への不満は、自衛官の間にマグマのようにたまっている。

 憂う対象がズレている。
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by sakura4987 | 2008-12-08 10:36

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