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◆【産経抄】 (産経 2009/1/1)




 「新(あらた)しき 年の初めの 初春の 今日(けふ)降る雪の いやしけ吉事(よごと)」。万葉歌人の大伴家持(おおとものやかもち)が、天平宝字3(759)年の正月の宴で詠んだ。約4500首を収めた万葉集の掉尾(とうび)を飾る歌であり、家持が世に残した最後の歌でもある。

 「いやしく」とは、ますます重なるという意味。初春に積もる雪のように、「吉(よ)き事」が重なってほしいというのだ。当時、新年に降る雪は吉兆とされていた。「吉き事なんて」とため息をつきながら、新年を迎えた人も少なくないかもしれない。

 家持も実は、めでたい気分には、到底なれなかったようだ。名家の長男として生まれ、若いころはプレーボーイとしてならし、幼なじみと結ばれる。一方で政争に巻き込まれ、出世には恵まれなかった。この歌を詠んだとき、家持は因幡(いなば)国守、明らかに左遷人事だった。

 家持といえば、「海ゆかば」の歌詞でも知られている。昭和12年に信時潔が作曲した名曲は、戦時下で愛唱されたが、戦後は封印に近い扱いを受けてきた。信時の評伝を刊行した新保祐司さんらによって、ようやく復権を果たしつつある。

 「海行かば 水漬(みづ)く屍(かばね) 山行かば 草生(くさむ)す屍 大君の辺にこそ死なめ かへりみはせじ」。家持は天皇に詠進した長歌のなかで、海であろうが、山であろうが、大君のおそばで死ぬのは本望だと、高らかに宣言した。起伏の激しい生涯でこの信念は、変わらなかったはずだ。

 万葉集の「葉」とは、「世」のことで、「万世まで伝えられるべき歌集」とする説がある。日本人は古来、言霊(ことだま)の力を借りて危機を乗り切ってきた。冒頭の歌で自らを鼓舞した家持は、少しへこたれている千数百年後の日本人にも、励ましのメッセージを送っているのかもしれない。
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by sakura4987 | 2009-01-05 13:57

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