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◆「埋蔵金騒動」の顛末



          論説副委員長・岩崎慶市

 (産経 2009/1/17)


 ◆政権交代期の財政悪化

 米国のある経済学者の研究によると、決まって政権交代期には財政が悪化するのだという。大統領選で有権者の歓心を買うために、減税などの積極財政策に乗り出すからだ。

 今回は金融危機への対応が重なったこともあるが、ブッシュ共和党政権も対国内総生産(GDP)比で戦後最悪の財政赤字を残す。負の遺産を引き継ぐオバマ民主党政権の財政出動は格段に膨らむから財政はとめどなく悪化する。

 日本にも同じことが言えそうだ。総選挙対策と米国発金融危機による急速な景気悪化が重なっているからで、それは来年度予算案を含む一連の景気・雇用対策を見るとよく分かる。

 一連の対策では赤字国債を発行しないとした麻生太郎政権は、確かにその発行を税収不足分にとどめた。しかし、これは表面上の話であり、実質的には発行するのと同じなのだ。いわゆる「埋蔵金」の流用がそれを意味する。

 「埋蔵金」とは財政投融資特別会計の運用益積立金を指すが、例の定額給付金などを盛り込んだ今年度第2次補正予算で4兆円超、来年度予算でも基礎年金国庫負担2分の1引き上げの財源2・3兆円や政策減税などを賄う。その額ざっと10兆円に上る。

 ◆禁じ手が残したツケ

 この積立金は総資産の5%を原資である財投債安定償還のための金利変動準備金とし、それを上回る剰余金は国債残高の圧縮に充てるよう法律で定めている。それが根底から崩れたのである。

 つまり、2・6兆円の剰余金だけでは足りずに2次補正の段階で準備金10兆円の一部に手をつける。来年度予算分を入れると、準備金は6・5兆円に減少し、法定の準備率を大きく下回る。

 何と法改正までしてこの禁じ手を使う。しかも、消費税引き上げを「3年後」に先送りしたから、再来年度も基礎年金国庫負担などに流用されるだろう。そして「埋蔵金」は底を突いていく。

 まさに自民党内“上げ潮派”の「増税より埋蔵金を使え」という主張が実現するわけで、“埋蔵金騒動”にも終止符が打たれる。これで彼らは満足かもしれないが、そのツケは大きい。

 財政に対する市場の信認低下はもちろん、財政健全化の道程を一層険しくするからだ。それは中長期的に大きく響いてくる。

 基礎的財政収支は国債関連の収支を除いたものだから、2011年度黒字化という政府目標に直接は関係ない。だが、2010年代半ばからの対GDP比の債務残高引き下げというもう一つの目標への影響が大きいのだ。

 指摘したように、国債残高圧縮に充てるべき財源を流用してしまったわけで、その分は圧縮できない。だから赤字国債を発行したのと同じになるのである。

 これに加えて来年度予算は急速な景気悪化による税収不足を大量の赤字国債で埋めるから、国債残高はGDPの1・1倍となる。2011年度の黒字化が先の内閣府試算でほぼ困難になっただけでなく、債務残高GDP比引き下げも大増税がないとできまい。

 ◆米びつ空っぽの皮肉

 こうして麻生現政権は「埋蔵金」という米びつを空っぽにし、かつ膨大な負の遺産を残すことになる。次期政権がどうなるか知らないが、仮に優勢が伝えられる民主党が政権を取ったとしたら、これ以上の皮肉はない。

 「埋蔵金騒動」の顛末(てんまつ)がそれを物語る。そもそもこの騒動は財政規律派である与謝野馨経済財政担当相が会長を務めていた自民党財政改革研究会が一昨年、報告書の中で「霞が関埋蔵金伝説」という言葉を使ったのが発端だ。

 財投特会などの特別会計に隠れている多額の財源を自由に使えば、消費税引き上げの必要はないという民主党の主張に、そんな話は「埋蔵金伝説の類(たぐ)いだ」と反論したのである。

 実際、特別会計は小泉純一郎政権下の改革で透明化が図られ、財投特会の剰余金は20兆円以上が国債残高の圧縮に使われてきた。つまり、隠された財源としての「埋蔵金」はなかったのである。

 ところが、すぐさま反応したのは民主党と同じような主張を展開していた自民党内の“上げ潮派”で、「(埋蔵金は)あるある探検隊」まで発足させ、党内を二分する騒動に発展したわけだ。

 当の民主党はだんまりを決め込んだが、結局は「埋蔵金」が麻生政権に先食いされて空っぽになるという現実を突きつけられる。それは消費税を引き上げないという論理も崩すことになろう。

 しかも、残される負の遺産は膨大だ。米民主党と同様に政権を狙うなら、これに対応する明確な税財政政策を示さねばなるまい。
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by sakura4987 | 2009-01-18 15:31

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