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2009年 04月 08日
(産経 2009/4/6) ■「正直は常に最上の知恵である-ということわざは、私事のみならず、公事にもあてはまる、と私は真に思う」(ジョージ・ワシントン) 220年前のきょう、米国上院は、新たな任務に就く「建国の父」、ワシントンを迎えるための式典の日時や手順について最終合意し、閉会した。こうして、初代大統領の就任式が同じ月の30日、ニューヨークで開催されることになった。 「人生につきものである有為転変のなかでも、今回ほど不安を感じることはありません」。就任演説はこんなことばではじまっている。無理もない。独立戦争で疲弊する一方で、州の権限が強すぎて国内がまとまらない。だから、「国のかたち」を定めた憲法を制定したが、うまく機能するのか。しかも、就任式から2カ月半後にはフランス革命が勃発(ぼっぱつ)し、やがて欧州は戦火に包まれる-。 独立戦争のとき、総司令官のワシントンは、不屈の魂で劣勢を覆した。大統領として国難に直面したとき、彼が選んだ「知恵」はいずれの国内党派、欧州のどの国にもくみしない不偏不党だった。言うは易(やす)い。だがこれは、必要経費以外のいっさいの報酬を辞退し、「公」に尽くし続けた彼だったからこそ可能だった。 こんなワシントンの清廉さは子供でも知っているはずなのに、米国でも歴史教育がなおざりにされていたのだろうか。最近、そう思わせるニュースが多い。 2009年 04月 04日
(朝日 2009/4/1) http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200903310115_01.html 大阪府の橋下徹知事は1日、大規模な人事異動を発令する。「ひな壇部長」と呼ばれる九つの部長ポストをほとんど入れ替え、課長級を部長に抜擢(ばってき)する「公務員の常識ではあり得ない」(府幹部)という異例の人事だ。庁内には不満と不安が渦巻くが、橋下知事は「反発がなければ改革ではない」としている。 ◇ 「部長の総入れ替え。こんな異動は過去にない」。府幹部がそう漏らす今回の人事異動は「ひな壇部長」の入れ替えが最大の特徴だ。府議会の本会議場で議員たちと向き合い、橋下知事とともに2列の壇上に並ぶ九つの「ひな壇部長」ポストは、3人が中途退職、3人が外部派遣、3人が別の部の部長に替わる。 2月下旬、知事室に呼ばれたある部長は橋下知事から「後進に道を譲っていただけませんか」と告げられた。定年の60歳までまだ数年。後任への不安もあり、「もう1年やらせてください」と頼んだが、聞き入れられなかった。 庁内で波紋を広げたのが外部法人への派遣だ。府人事室は「現場重視の人事配置」と説明するが、派遣される部長の一人は「本庁から周辺への明らかな左遷」と肩を落とす。府幹部は「今回の人事は知事に意見した人が左遷させられている」と解説する。 部長らは、橋下知事が庁内の反対論を抑えて補助金削減を進めた「大阪センチュリー交響楽団」や、橋下知事の特別顧問と府職員との間で意見対立があった関西空港の活性化策などの難題で、橋下知事と議論を戦わせた。部長の一人は「覚悟はしていた」。 橋下知事は今年1月の幹部あてメールで「公務員組織の不文律を壊す」と宣言し、「いったんひな壇に上がった部長を落とします」と予告していた。ある幹部は「意見を言う古参の部長がうっとうしかったのだろう」と見る。 「降格」とともに「公務員の常識からみたら異例」とささやかれているのが課長級職員の「飛び級昇任」(人事室)。出先機関の所長が2職級昇任し、ひな壇部長の一つに就く。府の「職員の任用に関する規則」では部長就任には2年間の次長級経験が必要と定めていたが、橋下知事は特例を定めて認めさせた。 「庁内秩序が混乱する」との忠告もあったが、「職場に非常に活気があり、よく頑張っている」と評価したという。所長は橋下知事の選挙公約でもあった「校庭の芝生化」に熱心に取り組んできたことでも知られる。所長は「自分の熱い気持ちが伝わったのかな」と話す。 「価値観の共有」を求めてきた橋下知事は1日の組織改正で「戦略本部会議」を新設。知事、副知事らが府政の基本方針を策定、数値目標を各部局に作らせ、達成度をチェックする。自分の考えを組織に浸透させ、目に見える実績を職員に求める体制だ。 橋下知事は31日、本格的に取り組んだ人事について「庁内の価値観と僕の価値観の衝突はあったが、この組織の最終責任は僕が負う。だからこそ、自分が納得する権限の行使はさせてもらう」と報道陣に意気込みを語った。 2009年 04月 02日
(毎日 2009/3/29) http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090329ddm002010158000c.html 「首相は、ドス黒いまでの孤独に耐えられないとだめだ」 28日、高知市内で開かれた高校生・大学生主催のシンポジウムに出席した麻生太郎首相は、大学生から「批判されて心が折れそうになったことはあるか」と質問され、そう答えた。さらに「首相の条件は先見性や統率力などいろいろあるが、行政の頭や会社の社長を含めて絶対に孤独。孤独に耐えられるだけの体力、精神力が必要」と力説した。 首相の権力の源泉、衆院解散時期ひとつをとっても、与党内には思惑が渦巻く。いつ踏み切るかに頭を悩ませ、孤独に耐える姿を理解してほしかったようだ。 2009年 02月 25日
(産経 2009/2/24) 漢字の読み間違いや前言撤回、そして中川前財務相辞任でのちぐはぐな対応など、麻生首相の指導者としての資質が問われている。確かにこれだけでも問題だが、宰相の要諦(ようてい)である大局観にも批判が噴出しだした。 「日本経済は米欧に比べて傷が浅い」 この認識が指導者として危機感に欠けるというのだ。なるほど、世界的不況の反映で昨年10~12月期の国内総生産(GDP)が年率で2桁(けた)マイナスと、米欧に比べても大幅に落ち込んだような局面で語るべき言葉ではない。 だが、小欄はこの認識が必ずしも間違っていると思わない。今も米欧のような金融危機が発生しているわけではないからだ。問題は、なのになぜ実体経済の悪化がひどいかである。 その最大の原因は多くの識者の分析通り、輸出の大幅減少にある。それが設備投資、雇用、個人消費に影響し総崩れになっている。つまり、経営者や消費者のマインドがいかに急速に冷え込んだかである。 これについて首相は先の国会答弁で「合成の誤謬(ごびゅう)」なる専門用語を使って説明した。個々の企業や消費者の身を削る行動自体は正しくても、経済全体ではマイナス作用を加速させるという意味だが、この認識も間違っていない。 では、何がそうしたマインドを醸成したのか。輸出減だけでなく首相の大局認識がここで問題になる。昨年秋ごろから、首相はことさら「100年に1度の危機」との認識を喧伝(けんでん)し続け、それを盾に定額給付金をはじめとしたばらまき政策を次々と策定してきた。 危機の震源地米国では「100年に1度」でも、当時の日本は文字通り「欧米に比べて傷が浅い」状況だった。それなのに一国の指導者があれだけ列島中で不安感をあおれば、健康な人まで病気になってしまう。 大局認識のズレを指摘せざるを得ない。いや、それを承知の上で選挙目当てにばらまき政策を正当化するキャッチコピーとして「100年に1度」を使ったのだとしたら、それこそ首相がよく口にする矜恃(きょうじ)が問われよう。 過ぎたことだが、昨秋に「傷は浅い」と国民を元気づけ、真っ先に金融資本市場対策などを徹底していたら展開は随分違ったろう。指導者の大局観は国を左右するのである。=おわり 2009年 02月 21日
(産経 2009/2/21) ■わしは張良(ちょうりょう)、蕭何(しょうか)、韓信(かんしん)の三人をよく用いることができた。これが天下を取った所以(ゆえん)だ (漢の高祖、劉邦(りゅうほう)) 紀元前202年の「二月甲午(こうご)の日」といえばきょうにあたるという。諸侯からの推挙を三度(みたび)辞退していた漢王、劉邦がついに皇帝の位についた。以後、約2世紀続く王朝「前漢」の誕生である。のちに贈られた「高祖」とは「至高のみかど」という意味だ。劉邦は農家の出身。心が広く、情け深い一方で、酒色を好んだ。酔いつぶれるといつも、その背中に竜がうかんだ、という伝説もある。 冒頭のことばは司馬遷(しばせん)の『史記』(平凡社)にみえる。張良は「千里の外から勝利もたらす」という智謀(ちぼう)の人、蕭何は民政の達人、韓信は「百戦百勝」の軍師である。前後の発言を補うと、それぞれの能力で自分は3人に及ばないが、家臣として彼らを登用する才によって天下の主となったのだ-と劉邦は言っている。 それでは“先駆者”はなぜ失敗したのか。秦の始皇帝は「天下を取ることと、すでに取った天下を守ること」の区別がつかず、劉邦と覇を競い、一時は最も天下に近かった猛将、項羽(こうう)は「すべてを天命に帰し、みずからの非と過ちを覚らず」-と『史記』にある。為政者は、もって瞑(めい)す…おっと間違えた、これでは「心安らかに往生する」という意味になってしまう。肝に銘ずべし、であろう。 < 前のページ次のページ >
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