2009年 04月 16日
(RNB 2009/4/13) http://ncs2.rnb.co.jp/news/detail.php?recid=12605917 中学校の歴史教科書の採択をめぐって韓国・平澤市の市民らが13日、県庁を訪れ、加戸知事に扶桑社が作る教科書を採択しないよう求めて市長からの親書を手渡しました。 県庁を訪れたのは、松山市と友好都市提携を結ぶ韓国・平澤市の市民ら20人です。今年は、中学校が4年に1度の教科書を採択する年にあたるため平澤市の市長らが加戸知事に親書を送りました。 親書を手渡した市民らは「問題のある歴史教科書を採択しないように」などと求めました。 扶桑社製の歴史教科書を巡っては、県立学校が2001年に採択した際、歴史認識に誤りがあるなどと激しい反対運動が起きた経緯があります。なお、教科書の採択は今年の夏、行われます。 2009年 02月 21日
(福島民友 2009/2/19) http://www.minyu-net.com/newspack/2009021901000329.html 政府見解と異なる歴史認識の論文を発表して更迭された田母神俊雄前航空幕僚長は19日、自民党本部で講演し、自らの正当性を重ねて主張した上で「石破茂元防衛相は『空幕長ともあろう人があんな偏った歴史観では困る』と言ったが、偏っているのはあなただと言いたい」と批判した。 講演は自民党有志でつくる「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(会長・中山成彬元文部科学相)が主催。田母神氏は、更迭されたことに関して「辞表を書かなかったのは『ごめんなさい』と言いたくなかったからだ。一部調査では6、7割が私を支持しており、もう少し頑張った方が良かったかもしれない」と強調した。 会場からは「そうだ」「興味深い話を聞いた」と同調する声が上がった。 2009年 02月 04日
「日本軍が南京を占領するに際して、 捕虜や非戦闘員を殺害する事件が起きた」 大学入試センター試験 日本史A(B) http://www.toshin.com/center/nihonshi-a_mondai_5.html 第5問 近代日本における代表的な外交官の一人であり、政治家としても活動した幣原喜重郎に関する次の文章A~Cを読み、下の問い(問1~8)に答えよ。 B 幣原が外務大臣として活躍した期間は、一時の中断をはさんで1924年から1931年までの長期にわたるが、その間の外交方針はほぼ一貫しており「幣原外交」とよばれた。軍縮条約などへの取組みなどにこうした姿勢は顕著である。しかしこのような幣原の外交方針は、対立勢力や中国における日本軍の行動(下線部e)によって妨げられることになる。最終的に1931年、陸軍が中国東北部で起こした軍事行動などによって、幣原の外交路線は挫折した。 ~中略~ 問5 下線部得eに関連して、1920年代から30年代にかけての日本軍の国外活動に関して述べた次の文Ⅰ~Ⅲについて、古いものから年代順に正しく配列したものを、下の①~⑥のうちから一つ選べ。 Ⅰ 日本軍が中国の都市南京を占領するに際して、捕虜や非戦闘員を殺害する事件が起きた。 Ⅱ 中国東北部での日本軍の活動に対して、国際連盟からリットン調査団が派遣された。 Ⅲ 関東軍参謀河本大作らが、中国軍閥の一人である張作霖を、奉天郊外において爆殺した。 ①Ⅰ-Ⅱ-Ⅲ ②Ⅰ-Ⅲ-Ⅱ ③Ⅱ-Ⅰ-Ⅲ ④Ⅱ-Ⅲ-Ⅰ ⑤Ⅲ-Ⅰ-Ⅱ ⑥Ⅲ-Ⅱ-Ⅰ ■入試画像あり http://specificasia.seesaa.net/article/113291839.html ■文部科学省大学入試室 FAX:03-6734-3392 メール:voice@mext.go.jp ■大学入試センター FAX:03-5478-1295 2008年 12月 17日
国学院大学教授・大原康男 ≪■田母神問題の陰の主役≫ 田母神前空幕長の論文問題は発生から2カ月近くになろうとするのに、まだ論争は収まりそうにない。その論点も筆者の歴史認識に対する評価や政府のとった措置の妥当性をはじめとして、文民統制の意義、自衛官の言論の自由、さらには論文応募の是非とそのタイミングからマスメディアの論調に至るまで多岐にわたっており、保守派の中でも見解が分かれるが、これまでの論議を踏まえ、遅まきながらも少しばかり私見を述べてみたい。それは今回の問題の陰の主役と言ってもいい「村山談話」についてである。 辻元清美衆院議員の質問主意書に対して11月14日に出された政府答弁書によれば、空幕長解任の理由は「先の大戦に関する政府の認識と明らかに異なる見解が述べられている」ことが「不適切である」とともに、「憲法に関連する重要な事項について不適切な形で見解を述べている」ことにあるという。 後者は、現状では自衛隊は領域警備も集団的自衛権の行使もできないとの批判に対してであろうが、集団的自衛権については麻生太郎首相も見直しを示唆しており、単なる付け足しに過ぎない。もちろん、問題は前者にあって、明言してはいないものの「先の大戦に関する政府の認識」が「村山談話」を指しているのは疑うべくもない。 ≪■定義できぬキーワード≫ 周知のように、「村山談話」は、平成7年6月9日に衆議院でなされた“終戦50年国会決議”への不満から、終戦の日にあらためて村山富市首相の談話として発表されたものであるだけに、「過去の一時期、国策を誤り」「植民地支配と侵略」「多大な損害と苦痛を与え」「痛切な反省」「心からお詫(わ)び」といった自虐一色に塗りつぶされた章句のオンパレードである。 この一面的かつ粗雑な歴史観についてここで論ずる余裕はない。何よりも強調したいのは、そうした歴史認識の具体的な内容に立ち入るまでもなく、そもそも本談話が歴代内閣によって金科玉条のように墨守されるほどの実体を有しているのかという根本的な疑念である。 ここでのキーワードの一つは「国策を誤り」であろう。「村山談話」の11年近く後に長妻昭衆院議員が出した質問主意書に対する政府答弁書(平成18年6月13日)は、驚くべきことに「お尋ねの『国策を誤り』については、個々の行為に対する評価等をめぐり様々な議論があるところ、政府として、その原因を含め、具体的に断定することは出来ないと考える」と述べ、その判断を完璧(かんぺき)に放棄してしまった。終戦60年に当たる前年の終戦の日に発表された「小泉談話」から「国策を誤り」がすっぽり抜け落ちていることと見事に符合している。 それ以上に重要なキーワードは「侵略」である。この語の定義について鈴木宗男衆院議員が提出した質問主意書に対する政府答弁書(平成18年10月6日)でも「国際法上の侵略の定義については様々な議論が行われているが、確立した定義があるとは承知しておらず、お尋ねについてお答えすることは困難である」と答弁、同じように確固とした見解が出せないことを正直に告白している。 ≪■侵略も植民地も消えた≫ ここでふと想起するのは、“終戦50年国会決議”を最も熱心に推進した加藤紘一自民党政調会長(当時)と決議案の内容について折衝したときのこと。私が「どうしても『侵略的行為』とか『植民地支配』という言葉を入れたいのならば、それらが何を意味するのかきちんと定義してほしい」と求めたところ、加藤氏は「われわれは学者じゃないから、そんなきちんとした定義は出さなくていい」と平然とうそぶいた。「村山談話」のいい加減さはここから始まっていたのだということを再認識した次第である。 このようにキーワード中のキーワードですら確かな定義ができない「村山談話」がいかに空虚なものであるか、これ以上多言を要するまでもない。そんな曖昧(あいまい)な基準で田母神論文「日本は侵略国家であったのか」を裁断できるはずがあるまい。 興味深いのは「国策を誤り」を削った「小泉談話」が出される直前、平成17年8月2日の“終戦60年国会決議”では、50年決議にあった「侵略的行為」や「植民地支配」という文言がきれいに消えていることだ。これら一連の事実は10年の間に何らかの変化が生じ、「村山談話」が必ずしも固定的な「政府見解」ではなくなっていることを示唆しているのではないか。 何をおいてもこのような代物を担ぎ続けることの愚かさを広く訴え、歴史観を含めてあらゆる面から「村山談話」を検証し直す論議を巻き起こすことが肝要であろう。 2008年 09月 18日
(朝鮮日報 2008/9/12) http://www.chosunonline.com/article/20080912000061 「左寄り」の教科書『韓国近・現代史』が再び問題となっている。韓国近・現代史を教える学校の半数が採択している金星出版社の教科書がまさしくそれだ。この教科書は光復(日本の植民地支配からの解放)直後の米軍政について、「日章旗(日の丸)の代わりに掲げられたのは太極旗(韓国の国旗)ではなかった。日章旗が掲げられていたその場にあったのは星条旗(米国の国旗)だった」と記載している。 日本による植民地支配から韓国を解放した米国も、あるいは実際に植民地支配を行った日本も、自主独立を妨げる占領軍という点では同じという主張だ。左派の決まり文句である「外勢論」を学生たちに間接的に注入しているのだ。この本の初版に登場する米軍に関する記述167か所のうち、164か所が米軍を批判・非難する内容だ。 大韓民国建国の基礎となった5・10制憲議会選挙については、「統一政府樹立を願う国民的熱望や複数の政治勢力が激しく反対する中、南韓(韓国)だけの単独政府を樹立するために行われた」と説明している。48の政党が参加し、投票率が95.5%に達した選挙が国民の意向に反していたというのだ。一方、金日成(キム・イルソン)主席については「社会主義国家建設という理念的名分を持ち、大衆の支持を得ていた」と記述している。 韓国戦争(朝鮮戦争)中に起こった民間人虐殺については、「戦争が起こった直後、南韓では報道連盟員たちに対する大規模な処刑が行われ、慶尚南道居昌や忠清北道永同の老斤里など、複数の場所で住民が敵として追いやられ死に至った。後退する北朝鮮軍も大田周辺で多くの住民を殺害した」と説明している。韓国軍については細かく具体的に説明しながら、人民軍による虐殺は「大田周辺」という表現でごまかしているのだ。 この教科書の初版では韓国のセマウル運動について、「朴正熙(パク・チョンヒ)政権が大衆の支持を基盤に長期政権を正当化するための手段だった」とし、北朝鮮の千里馬運動については「大衆の情熱を引き出すために行われ、社会主義経済建設に当たって大きな役割を果たした」と説明している。 2003年に最初に出版されたこの教科書は、「親北反米」という非難が起こったことで翌年に内容が一部修正されたが、基本的な性格は変わらなかった。われわれの子どもたちにこのような教科書を通じて近・現代史が教えられてきたというのだから、子どもたちの頭の中に大韓民国がどのような姿に映るかは想像に難くない。 市や道の教育長協議会は、高校で使われる韓国近・現代史に関する6種類の教科書のうち、比較的バランスの取れた見方で執筆されたものが現場で教材として採択されるよう努力してきた。学校運営委員会総連合会もソウル市教育庁と協力し、学校で「現代史を正しく知る」ための特別講義を行う予定だ。こうした取り組みは非常に望ましいことだ。 しかし時代錯誤的な左翼偏向の歴史教育を正そうとする動きは、「日本による統治のおかげでわが民族の経済成長が実現し、近代文明を学ぶことができた」という、また別の偏向へと流れている点を警戒しなければならない。大韓民国の国民を育てる韓国近・現代史教育は、健全な常識を持った国民が受け入れることのできる、バランスの取れた歴史教科書でなければならない。 2008年 04月 29日
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804251700_05.html 沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」をめぐる「教科書検定意見の撤回を求める4・24全国集会」の実行委員会が二十五日午前、文部科学省を訪ね、軍強制記述の回復や検定制度の段階的廃止などを求める渡海紀三朗文科相あての要請書を提出した。応対した布村幸彦審議官は「検定意見は今でも正しいと思っている。撤回するつもりはない」と答えたという。 実行委によると、布村審議官は「元戦隊長らの陳述書は検定の根拠ではなく契機にしただけ」とした上で、大阪地裁判決で否定された点も「再検討する必要はない」と述べたという。 実行委の石山久男さんは「こちらの主張に答えていない」と批判した。 2008年 02月 13日
東京新聞社説 2008年2月10日 実在から非実在へ、聖徳太子像が大きく書き換えられようとしています。戦後歴史学がたどりついた成果とも、真実追究の学問がもつ非情さともいえるでしょうか。 聖徳太子を知らない日本人はまずいません。教科書風にいえば、六世紀末から七世紀前半の飛鳥時代、日本の伝統精神に仏教や儒教の外来思想を身につけ、日本の国力と文化を飛躍的に高め世界の先進国入りさせていった皇太子です。 「和を以て貴しと為す」との教えや貧しい者への優しい眼差(まなざ)し、太子の言葉とされる「世間虚仮(せけんこけ)唯仏是真(ゆいぶつぜしん)」の無常観などは、いまも人の心にしみて揺さぶります。 常識になった非実在 もっとも、一時に八人の訴えを聞いて誤りなく裁いたことから、八耳皇子(やつみみのみこ)と呼ばれたとの伝承や生まれたときから言葉を話し高僧の悟りに達していたとの伝説、その未来予知能力や中国の高僧の生まれ変わりで、最澄は玄孫などの輪廻(りんね)転生の説話などには訝(いぶか)しさを感じさせるものではありました。 誇張や粉飾があったにしても、実在と非実在では話の次元が全く違ってしまいます。ところが、積み重ねられた近代の実証的歴史学の結論は「聖徳太子はいなかった」で、どうやら決定的らしいのです。 聖徳太子の実在に最後のとどめを刺したとされるのが、大山誠一中部大学教授の一九九六年からの「長屋王家木簡と金石文」「聖徳太子の誕生」「聖徳太子と日本人」などの一連の著書と論文、それに同教授グループの二〇〇三年の研究書「聖徳太子の真実」でした。 日本書紀に政治意図 それらによると、聖徳太子研究で最も重視すべきは、日本書紀が太子作として内容を記す「十七条憲法」と「三経義疏(さんぎょうのぎしょ)」。数多くの伝承や資料のうち太子の偉大さを示す業績といえば、この二つに限られるからだそうです。 このうち十七条憲法については、既に江戸後期の考証学者が太子作ではないと断定し、戦前に津田左右吉博士が内容、文体、使用言語から書紀編集者たちの創作などと結論、早大を追われたのは有名です。 三経義疏は仏教の注釈書で太子自筆とされる法華義疏も現存しますが、これらも敦煌学権威の藤枝晃京大教授によって六世紀の中国製であることが論証されてしまったのです。 世に知られた法隆寺の釈迦(しゃか)三尊像や薬師如来像、中宮寺の天寿(てんじゅ)国〓帳(こくしゅうちょう)も、その光背の銘文研究や使用されている暦の検証から太子の時代より後世の作であることが明らかになってきました。 国語・国文学、美術・建築史、宗教史からも実在は次々に否定され、史実として認められるのは、用明天皇の実子または親族に厩戸(うまやど)王が実在し、斑鳩宮に居住して斑鳩寺(法隆寺)を建てたことぐらい。聖徳太子が日本書紀によって創作され、後世に捏造(ねつぞう)が加えられたとの結論が学界の大勢になりました。 太子像が創作・捏造となると、誰が何のために、その源となった日本書紀とは何かが、古代社会解明の焦点になるのは必然。そのいずれにも重大な役割を果たしたのが持統天皇側近の藤原不比等というのが大山教授の説くところ。長屋王や唐留学帰りの僧・道慈が関与、多くの渡来人が動員されたというのです。 日本書紀は養老四(七二〇)年完成の最古の正史で、その編纂(へんさん)過程に律令(りつりょう)体制の中央集権国家が形成されました。隋・唐の統一と東アジアの大動乱、それによる大化の改新や壬申の乱を経て、古代社会の「倭(わ)の大王」は「日本の天皇」へ変わったとされます。 大変革の時代の日本書紀の任務は誕生した天皇の歴史的正統性と権威の構築です。それが、高天原-天孫降臨-神武天皇-現天皇と連なる万世一系の思想と論理、中国皇帝にも比肩できる聖天子・聖徳太子の権威の創作、書紀は政治的意図が込められた歴史書でした。 大山教授の指摘や論考は、歴史学者として踏み込んだものですが、隋書倭国伝との比較などから「用明、崇峻、推古の三人は大王(天皇)でなかったのではないか」「大王位にあったのは蘇我馬子」などの考も示しています。「日本書紀の虚構を指摘するだけでは歴史学に値せず、真実を提示する責任」(「日本書紀の構想」)からで、日本書紀との対決と挑戦が期待されます。 千年を超えた執念 日本書紀が展開した思想と論理は千三百年の現実を生き現代に引き継がれました。憲法と皇室典範は「皇位は世襲」で「皇統に属する男系の男子がこれを継承する」と定めています。 しかし、万世一系は子孫を皇位にと願う持統天皇のあくなき執念と藤原不比等の構想によって成り、その父系原理も日本古来のものとはいえないようです。建国記念の日に永遠であるかのような日本の原理の由来と未来を探ってみるのも。 2007年 12月 29日
国を憂い、われとわが身を甘やかすの記 2007/12/27 15:40 http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/434281/ 沖縄戦の集団自決をめぐる高校日本史教科書検定問題で、教科書検定審議会は昨日、教科書会社6社8冊の訂正申請結果を発表しました。検定審は結局、旧日本軍による「強制」の記述を一定程度認める判断を下しました。沖縄・宜野湾市で11万人を集めたという県民大会(実際の参加者は約2万人前後)や、沖縄の地元紙をはじめとするマスコミ各社の圧力に屈した形で、このこと自体、検定制度を歪めるひどい決定だと思いますが、それを報じる在京の新聞各社の報道にも強い違和感を覚えました。 各社の主見出しを拾ってみると、以下のようでした。産経を除く全紙が、今回の訂正申請によって初めて軍関与が復活したかのように書いていますね。 ・産経 〝再検定〟で軍強制復活 ・東京 軍関与の記述復活 ・朝日 「軍の関与」復活 ・毎日 「日本軍関与」が復活 ・読売 集団自決「軍の関与」記述 ・日経 「軍の関与」認める でも、各紙のこの見出しの付け方は適当でしょうか。私には違うように思えます。と言うのは、今年3月の教科書検定でついた意見は「軍が(集団自決を)命令したかどうかは明らかといえない」というもので、軍関与の記述は検定後もそのまま残っていたからです。例えば、検定後の教科書記述は次のようでした。 ・「日本軍のくばった手榴弾で集団自害と殺し合いがおこった」(実教出版) ・「日本軍に壕から追い出されたり、自決した住民もいた」(山川出版) ・「『集団自決』においこまれたり、日本軍がスパイ容疑で虐殺した一般住民もあった」(東京書籍) ・「集団自決のほか、スパイ容疑や、作戦の妨げになるなどの理由で日本軍によって殺された人もいた」(第一学習社) ・「追いつめられて『集団自決』した人や、戦闘の邪魔になるとかスパイ容疑を理由に殺害された人も多く」(三省堂) 繰り返しますが、これは3月の検定パス後の表記です。これが集団自決やその他の悲劇について、軍の関与を否定しているようには思えません。ちなみに、政府は10月2日の閣議で、「検定決定後の記述については、集団自決について旧日本軍の関与が一切なかったとする記述はない」とする答弁書を決定しています。検定は最初から、軍命令があったと断言できないとしているだけで、何らかの軍の関与があった可能性は全く否定していないのです。それなのに、ようやく軍関与が復活したかのように書くのはマスコミのミスリードではないでしょうか。 この問題では、当初から政治家の発言もあいまいでトンチンカンでした。9月29日の沖縄県民大会の後、民主党の小沢代表は「集団自決は軍が全く関与していないことはありえない」、公明党の太田代表は「集団自決に日本軍の関与があったことは否定できない」とそれぞれ述べていました。問題の所在が全く分かっていないか、マスコミ報道に合わせているのか、その両方なのか。 今朝の産経の「詳説・戦後 沖縄の言論」という特集記事にも書いたことですが、11月に甲南大や熊本大、佐賀大などの学生有志が沖縄で実施した対面式のアンケート調査(723人回答)では、興味深い結果が出ています。それによると、県民大会に「参加した」または「参加したかった」と答えた人にその理由を聞くと、最も多かった回答は「集団自決を伝えたい」の48.1%で、教科書検定によって集団自決の記述そのものが抹消されると勘違いしている人が多かったということです。 これはマスコミが誘導した「誤解」ではないでしょうか。私は特集記事で、沖縄で90数%のシェアを誇る地元紙、沖縄タイムスと琉球新報の報道ぶりに疑問を示したのですが、在京紙も本日の見出しを見る限り、同じであったようです。また、主見出しのほかに、袖見出しをみると、「『強制』は否定」(日経)、「『強制』は認めず」(読売、毎日、東京)、「『軍が強制』の表現は回避」(朝日)…とありましたが、これもどうでしょうか。 例えば、三省堂は承認された再申請で「最近では、集団自決について、日本軍によってひきおこされた『強制集団死』とする見方が出されている」と書いていますが、これは実質的に「強制説」を認めたものではないでしょうか。このほか、強制をにおわす表現では「日本軍は住民の投降を許さず」(第一学習社)、「日本軍の関与によって集団自決に追い込まれた人もいる」(三省堂)、「強制的な状況のもとで、住民は、集団自害と殺し合いに追い込まれた」(実教出版)などがあります。これは産経の見出しのように、検定審が実質的に強制説を受け入れたととる方が素直だと思います。 住民の集団自決が起きた慶良間列島・渡嘉敷島で、赤松嘉次守備隊長の副官代理を務めていた知念朝睦氏(85)は私に、「読谷では、日本軍がいなくても集団自決は起きた。自決命令なんてとても出せるものではない。これは実際に戦争をした人にしか分からない。戦争の実態を知らない人がそういうことを言う」と語っていましたが…。 多くのマスコミは、3月に「日本軍に強いられた」と書いた教科書に検定意見がついたときには、「軍関与が削除された」と書き立てた経緯があります。それと整合性をとるため、今回は「関与が復活」と書いているのかもしれませんが、こうして不正確なマスコミ論調が束になると事実なんて片隅に押しやってしまうのだろうなとも感じます。また、それに安易に迎合して機嫌をとろうとする政治家や、役所が多く存在し、ますますマスコミとマスコミを利用して自己の主張を広めたい勢力を増長させていくのでしょう。 慰安婦問題が論争の的になっていたときには、「従軍慰安婦という言葉は戦後の作家による造語で、戦前・戦中にはなかった」との当然の事実を踏まえた指摘が、左派勢力やマスコミによって「従軍慰安婦(の存在自体)を否定する人たち」とすり替えられてレッテルを張られ、またそのレッテルを信じ込む「自分では良心的だと信じている人々」がたくさんいるのを目の当たりにしました。どうしもそれを連想してしまいます。なんだかなあ。 2007年 12月 29日
(産経 07/12/18) ■「複合的な背景」…検定審“灰色”見解 沖縄戦集団自決をめぐる高校日本史の教科書検定で、教科書会社が軍強制の記述復活を求めた訂正申請の可否を決める作業が年内決着へ向けて大詰めを迎えている。文部科学省は4日、教科書会社に「複合的な背景によって住民が集団自決に追い込まれた」とする教科書検定審議会の見解を伝え、再考を促した。識者からは「軍の直接的な命令は確認できていない」と検定意見堅持への評価が相次ぐ一方、軍強制のニュアンスを否定していないことなどを疑問視している。 ≪軍関与の例適切?≫ 検定審の日本史小委員会が示した見解について、ある委員は「審議会として主体的に考え方を表そうとした。『軍強制ばかり書くな』という趣旨だ」と話す。 だが、藤岡信勝拓殖大教授は「『生きて虜囚(りょしゅう)の辱(はずかしめ)を受けず』といった戦陣訓や手榴弾(しゅりゅうだん)の配布を書かせることで、軍強制のイメージが出て事実上認めたことになる」と憤る。 軍関与の主な例として「手榴弾の配布」「壕の追い出し」を挙げたことへの批判もある。 現代史家の秦郁彦氏は当初の検定意見を堅持したことを評価しつつも、「集団自決の際に使われた主な武器はナタやカマなどだ。手榴弾は攻撃用の武器であり、自決に流用された例は少ない」と指摘。さらに「軍がいる場所が主戦場で危険だったため、『心を鬼にして追い出した』という軍側の証言もある」と善意の追い出しがあった事例にも留意すべきだとする。 ≪自決の概念否定?≫ 検定審の見解が「自決に追い込まれた」との視点を強調。自らの意思で自決したニュアンスが盛り込まれていないことを疑問視する声もある。 沖縄戦に参加した皆本義博・元陸軍海上挺進(ていしん)第3戦隊中隊長は「戦後の風潮は旧日本軍イコール悪となっているが、当時の国民感情は『一億総特攻。竹やりでも戦う』だった。潔く自決した当時の沖縄県民の純朴で崇高な精神を侮辱している」と話す。 中村粲獨協大名誉教授は「沖縄県民は捕虜になるより自決するという『皇民道徳』をストレートに実践した。大変痛ましい悲劇ではあるが、ユダヤ人は(対ローマ反乱の拠点となった)マサダの自決を誇りにしている」と述べ、否定的側面だけでとらえることに懸念を示している。 検定審議会のある委員は「自らの意思で死んだという視点を排除するものではない」と強調するが、検定審の見解に沿えば「集団自決」より「(強制)集団死」の表記の方が適切ともなりかねない。 ≪「書かせる」検定?≫ 教科書検定は、学習指導要領に沿わない記述でなければ、誤った記載に修正を求めるというのが原則だ。検定審や文科省が記述の欠陥を指摘する場合、「こう書け」と具体的に指示はせず、認めない理由や背景を示すのみにとどめている。 文科省では「教科書会社に現段階での検定審の考え方を伝えただけであり『指針』ではない」と強調する。だが、検定審の見解は「…教科書記述が望ましい」として、「指針」と受け取られてもやむを得ない表現だ。 藤岡教授は「文科省主導で多様な背景を記述させようとしており、『書かせる検定』に近い。検定意見撤回派と堅持派の双方を納得させようとしたのだろうが、いずれの陣営にも不満が残る」と指摘。さらに「教科書は確実な事実だけ書けばよい。パンドラの箱を開けてしまったのではないか」と話している。 ◇ ■沖縄戦集団自決、検定審の見解(要旨) 集団自決は、住民が戦闘に巻き込まれるという異常な状況下で起こった。背景には当時の教育訓練や感情の植え付けなど複雑なものがある。 平成18年度検定で許容された記述に示される「軍による手榴弾の配布」や「壕の追い出し」など軍の「関与」はその主要なものととらえられる。ただ、それぞれの集団自決について、直接的な軍の命令に基づいて行われたということは、現時点では確認できていない。一方、住民側から見れば、当時のさまざまな背景や要因によって集団自決せざるを得ない状況に追い込まれたとも考えられる。 集団自決の背景・要因について、過度に単純化した表現で記述することは、生徒の理解が十分にならない恐れがある。沖縄の戦時体制、さらに戦争末期の限定的な状況下で、複合的な背景、要因によって住民が集団自決に追い込まれていったととらえる視点に基づく教科書記述が望ましい。 ◇ 【用語解説】沖縄戦集団自決問題 今年3月末に公表された高校日本史教科書検定で、文部科学省が「日本軍が自決を強いた」などと軍命令が読み取れる記述に検定意見をつけたことで、軍強制の記述が削除・修正された。これに沖縄県側が反発。9月末の県民大会開催を受けて、渡海紀三朗文科相は訂正申請に応じる考えを示した。教科書会社6社は11月上旬、計8冊で軍強制を盛り込む記述訂正を申請。教科書検定審議会で審議している。 2007年 12月 29日
(AFP 07/12/28) http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2330204/2479329 ロシアでウラジーミル・プーチン大統領を称賛しスターリンの独裁体制を 正当化する新しい歴史教科書の試験採択が決まり、論議を巻き起こしている。 27日の露日刊紙「コメルサント」が伝えた。 ■出版の動機は海外の「嫌ロシア的傾向」 賛否両論の渦中にある同教科書の編集者、Alexander Fili ppo氏は同紙に対し「海外の反ロシア的な傾向に対する回答だ」と応じた。 同氏は「近隣諸国のロシア史に関する本を分析した結果、これらの国々が 巧みに『嫌ロシア教育』を行っているとの結論に達した。ロシア人が諸悪の 根源として描写されている事実への返答が必要だった」と述べている。 新たに採択された近代史教科書の題名は『ロシア史1945-2007年』。 連邦全体での採択は保留されたが、5管区の学校で試験採用される。 ■スターリンを評価、エリツィンを批判 この教科書は今年初めに出版された親プーチン派の歴史家、Pavel Danilin氏による要覧に基づき製作された。同教科書の執筆陣にも 加わった同氏は、政権寄りのコンサルタント機関「Foundation for Effective Policy(FEP、効果的政策のため の財団)」の研究員で、スターリンについて「有能だ」と評価していること で知られるが、同氏は「われわれはスターリンの粛清を正当化する意図はな いし、歴史の全ページにおいて彼に汚名を着せる意図もない」と述べている。 コメルサント紙によると、同教科書は「スターリンやブレジネフの時代を 評価しており、全体主義や抑圧体制が正当化されている」という。一方、旧 ソ連崩壊後、故ボリス・エリツィン元大統領が新生ロシアの初代大統領を務 めた1990年代は「危機の時代」として描かれているという。 またソ連崩壊後の民主化を逆行させたと批判の多いプーチン大統領就任後 の施政については、「効率的」と評価している。特に、プーチン政権下にお ける反政府派実業家、ミハイル・ホドルコフスキー石油大手ユコス元社長の 逮捕・投獄や、2004年の地方首長直接選挙の廃止などが肯定的に記述さ れているという。 議論の的となっているこの歴史教科書は、これまでに1000部が発行さ れ使用が決まった学校に直接送付された。別の日刊紙Nezavisima ya Gazetaによると、採択した学校では2008年の全学期を通じ てこの教科書を使用するという。同教科書は、書店では販売されていない。 < 前のページ次のページ >
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