2009年 06月 12日
(産経 2009/6/8) 政府機関などが定期的に公表する統計数値は、政治や行政が動く契機となる。もう10年ほども前になるが、警察庁が公表した平成10年の自殺者数は衝撃を与えた。前年の山一証券などの経営破綻(はたん)で表面化した金融危機が深まったこの年、自殺者は8400人以上も増え、3万2863人に達した。 その後、危機が収束し、景気が回復しても自殺者の目立った減少が見られず、国は対策に乗り出す。18年に自殺対策基本法を制定し、大綱をまとめた。それでも、自殺者が3万人を割ることはなく、昨年は3万2249人が自ら命を絶った。 昨年の自殺者のうち、遺書などで原因や動機が特定できる2万3490人を調べたところ、失業、就職失敗、事業不振など経済・生活問題による自殺は3割を超えた。世界経済危機の影響も大きいとみられ、今年はさらなる増加が懸念される。 警察庁の統計は、原因・動機を50項目以上に分類し、自殺者の心情をきめ細かくすくおうとする姿勢がうかがわれる。 それでも、統計には限界がある。「自殺者自身がどこまで本当の理由を遺書に認(したた)めるか」という根本的な問題はおくとしても、「就職の失敗」や「失業」に悩む人が多い中、なぜ彼らは死を選んだのかを探るには統計から踏み込まねばならない。 投身自殺が多発する和歌山県白浜町の三段壁で自殺志願者を保護し続け、自殺の際(きわ)まで追い込まれた人と数多く触れているNPO「白浜レスキューネットワーク」の藤藪庸一代表(36)は、今後、30代と60代の自殺が一段と増えるのではないか、と心配している。 「保護した30代の方から最近は目標がない、生きる意味がない、ということをよく聞く」。「職がない」「借金がきつい」など具体的な理由を語る他の世代に比べて、抽象的な話をする人が多いというのだ。 20代はアルバイト生活でも、お金があって、仲間がいれば楽しくやっていけたが、30代になると、周囲の目が厳しくなり、求人の内容も限られてくる。 「何かのきっかけで現実を突きつけられたとき、気持ちを奮い立たせるのでなく、もう自分は取り返しのつかない場所にいると考えてしまうようだ」。そして、生きる意味はないと決めつけ、あきらめてしまう。 一方、60代は家族のため、会社のためと懸命に働いた時期が終わるころだ。子は独立し、伴侶に先立たれることもある。 「すると『もう十分に生きた。自分で生きるか死ぬかを決められるのは人間だけ』といった哲学的なことを考え始める。生きるんだ、死にたくない、という感情を思想的なもので覆い、例えば病気になると、迷惑をかけられない、家族のために死ぬ、となってしまう」 なぜ、こんな考え方の人が増えているのか、性急な結論づけは避けたい。一人一人がこの問いかけに答える努力を続けなければならないものだからだ。 統計では捨象せざるを得ない、こうした思考の迷路をたどることが自殺との対峙(たいじ)には必要なのだろう。政治や行政が経済的・社会的安全網の充実を図るのはいうまでもないにせよ、「格差を生み、社会の荒廃を生んだグローバル経済が諸悪の根源」と切って捨ててみせても答えは出ない。 2009年 06月 11日
(産経 2009/6/3) http://sankei.jp.msn.com/life/body/090603/bdy0906031750004-n1.htm 厚生労働省の平成20年の人口動態統計(概数)によると、自殺者数は3万197人で、昨年に続き3万人を超えた。 年代ごとでは、50代後半(3464人)をトップに、60代前半(2959人)が続いており、60歳前後の多さが目立った。20~30代では自殺者数は少ないものの、死因としては1位だった。 都道府県別に算出した人口10万人当たりの自殺者数は、秋田が37・0人と最多で、青森34・1人、岩手33・7人と続いた。少なかったのは、岡山19・7人、愛知20・0人、香川20・1人の順だった。 2009年 05月 29日
(日経 2009/5/27) http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090527AT1G2703027052009.html 今年1―4月に全国で自殺したのは1万1236人(暫定値)で、前年同期より約500人増えたことが27日、警察庁のまとめで分かった。専門家は「昨年秋からの急激な経済の悪化が影響している。このままでは年間の自殺者数が過去最悪になる恐れもある」と指摘している。 警察庁によると、4月の自殺者数は3027人(暫定値)。うち男性が71%。昨年は4月が2854人(確定値)、1―4月が1万743人(同)だった。今年は4月まですべての月で昨年を上回っている。1―4月の都道府県別では東京の1019人が最多。埼玉や千葉などの増加が目立つ。 年間の自殺者数は昨年まで11年連続で3万人を超えている。統計を取り始めた1978年以降で最悪だったのは2003年の3万4000人余り。 2009年 05月 16日
(時事 2009/5/14) http://www.jiji.com/jc/zc?key=%bc%ab%bb%a6&k=200905/2009051400219 2008年の自殺者3万2249人のうち、30代が前年比1.7%増の4850人で、統計の残る1978年以降最多となったことが14日、警察庁のまとめで分かった。20代も過去5番目に多かった。 学生が11.3%増となり、職業別で増加が目立ったほか、「生活苦」「失業」など不況の影響がみられる原因・動機も大幅に増えた。 08年の自殺者は前年より844人(2.6%)減ったが、11年連続で3万人を超えた。 年齢別では、最多が50代の6363人(9.7%減)。続いて60代の5735人(0.4%増)、40代の4970人(2.5%減)、30代の4850人、70代の3697人(5.4%減)、20代の3438人(3.9%増)、80歳以上の2361人(5.1%減)、19歳以下の611人(11.5%増)の順だった。 職業別では、主婦や年金生活者など無職者が1万8279人(3.7%減)で最多。次いで被雇用者8997人(1.7%減)、自営業・家族従業者3206人(2.2%減)、学生・生徒972人と続いた。 Tags:#データ・世論調査など
2009年 04月 29日
(スポニチ 2009/4/27) http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20090427063.html 警察庁は27日、今年3月に国内で自殺した人は男性2234人、女性826人の計3060人だったと発表した。前年同月と比べ121人の増加。 今年1―3月では計8198人となり、前年同期より309人多く、今年も3万人超のペースとなっている。 自殺防止活動に役立てるため、警察庁は今年から毎月の自殺者数の公表を始めた。今月には例年より早く昨年一年間の総数を月別データとともに発表しており、原因や動機などの詳細は5月をめどにまとめる。 警察庁によると、今年3月の都道府県別では東京が266人で最多。次いで大阪200人、埼玉175人の順。最も少なかったのは鳥取で14人。次いで高知22人、徳島、佐賀が23人の順だった。 Tags:#データ・世論調査など
2009年 04月 23日
(産経 2009/4/14) http://sankei.jp.msn.com/life/body/090414/bdy0904140340000-n1.htm ■政治家もうつ病に理解深めよ ≪政治家もかかる病気だ≫ 自民党幹部が大分市で行われた党の県連大会で、「うつ病で休業している先生はたくさんいる。国会議員には一人もいない。そんなに気が弱かったら務まらない」と発言したそうだ。 この発言は精神科医として看過できない。日本の自殺は年間3万3000人。先進国では自殺率はトップである。さらに44歳までの成人の死因の1位でもある。欧米の調査では、その7、8割がうつ病がからんでいるとされる。 もちろん、精神科にかかっていてもうつ病で自殺する人はいるが、助けられる命はかなりの数に上るはずだ。 そして、うつ病というのは、気が弱いからかかる病気ではない。それまで活躍していた政治家や経営者をも襲う誰もがなり得る病である。もしそのような偏見のために精神科の門を叩(たた)けない人がいるなら、むしろその誤解を解くのが為政者の役割ともいえる。 ただ、怒っていても始まらないことにも気づいた。 一般の人より情報が豊富なはずの政治家でさえ、この病気を正しく理解していないのであれば、むしろ彼らにそれを理解してもらうことのほうが、自殺する人を減らせるし、国益にもかなうはずだからだ。 ≪隠すことでリスク高める≫ 自殺予防に最も有効とされるのは、地域の人たちに精神疾患に対する正しい知識を提供し、その偏見を取り除くこと、そして、援助を求めることへの抵抗を減らすとともに、どこに援助を求めたらよいかを伝える啓蒙(けいもう)活動、自殺予防教育とされる。 実際、この対策でフィンランドは、現在の日本の自殺率より高い状況であったのを改善し、3割以上も自殺者数を減らすことに成功した。 新潟県の旧東頸城郡では、メンタルヘルスに対する正しい知識を提供するとともに、高齢者のうつ病を早期に、集中的に治療するなどの対策を行ったところ、約10年の間に高齢者の自殺率がなんと7割以上も減った。 国会議員にうつ病が一人もいないという発言を前述したが、実は、うつ病というのは、かなりありふれた病気である。 アメリカの統計では、生涯のうちにかかる率は男性で5~12%、女性では10~25%におよび、WHOの推計では現時点でうつ病になっている人は3%に上る。 実際に、涙目になったり、空虚感、体重減少、不眠、疲れやすさ、思考力や集中力の減退などの症状のうち5つ以上が2週間以上続けば、うつ病と診断される。 テレビの記者会見で涙目になっていた上に、体重減少や不眠を報道されるなど診断基準にあてはまると思える政治家は最近でも複数いた。おそらく、同様の状態に現時点で陥っている政治家もいるだろう。現実に、過去には、何人も自殺した政治家がいた。 しかし、自民党幹部の発言を聞く限り、自分がうつ病だと告白している政治家はいないということなのだろう。うつ病とわかっていて、隠さないといけないと思っているなら、政界にはまだまだうつ病に対する偏見が強く残っていることを意味する。 逆に、こういう状態になっても単なるストレスだなどと思って、医者にかからないとすれば、これは自殺やうつ病に対する知識の不足を意味する。ここで、無理をすることで、自殺のリスクが高まるなど、本人のメンタルヘルスにはさまざまな悪影響がある。 ≪復活したノルウェー首相≫ それだけでなく、うつ病になると、ものの見方が悲観的になったり、いろいろな可能性が想定できなくなったりする。また思考力や集中力も衰える。このような形で判断力に影響を与えるとされるから、病気のまま政治家を続けるのは、好ましいことではない。 もちろん、病気が治れば、普段通りの判断や思考ができるのであるから、むしろうつ病である期間は、休養していたほうが誤った判断をしなくてすむのである。 だから、堂々とうつ病を告白して、休養してもらったほうが国益にかなうのだ。 10年ほど前に、ノルウェーのボンデビック首相(当時)がうつ病を告白して、首相職を1カ月ほど休職したことがある。これが、素直に認められて、復職をした際には、喝采(かっさい)をもって受け入れられたそうだ。 ひいてはこのことが、国民のうつ病に対する偏見を大幅に緩和したとされる。うつ病は治る病気であり、治れば、以前どおりのすばらしい能力を発揮できることを国民に示したからだ。 ノルウェーも以前は自殺の多い国だったが、現在の自殺率は日本の半分程度となっている。政治家自身が、うつ病について正しい知識をもち、堂々と告白できるくらいに偏見を捨てることが、自らのメンタルヘルスや判断力に好影響をもたらすだけでなく、国民のメンタルヘルスを守り、自殺を減らすのだ。 政治家に、正しい自殺予防教育を受ける機会を設けることを切に望みたい。 2009年 04月 08日
(ロイター 2009/4/7) http://news.nifty.com/cs/item/detail/reuters-JAPAN-373690/1.htm 自殺を図る若い男性の多くは、8歳の時点で重度の情緒的問題が現れることが、6日発表されたフィンランドの研究で明らかになった。自殺を図る女性の多くは、問題が出てくるのは思春期以降だという。 研究を指揮したフィンランドのトゥルク大学病院のAndre Sourander医師は「青年期や成人早期に真剣に自殺を図る人でも、男性と女性では異なる過程をたどることが分かった」と結論付けている。 医学誌「Archives of General Psychiatry」に掲載された同研究は、1981年に生まれた5302人を対象に追跡調査。男性27人と女性27人が24歳までに自殺を図り、そのうち男性13人と女性2人が実際に亡くなったいう。 研究グループは、女性は服毒による自殺を試みることが多いが、男性はより致死性の高い方法で自殺を図る傾向があるとしている。 また自殺を図る人々がたどる過程として、男性の78%は8歳の時に、破壊的な気質や、攻撃性、他者への残酷さなど、教師や親にも分かる問題を示すという。 一方で、女性にはこのような傾向が見られず、情緒的問題が出てくるのは思春期以降だった。 研究グループは、効果的な方法で兆候を示す子どもたちを見つけ出して治療し、自殺率を下げるようにすべきだとしている。 Tags:#データ・世論調査など
2009年 03月 29日
(産経 2009/3/22) http://sankei.jp.msn.com/world/korea/090322/kor0903221300002-n1.htm 韓国の芸能人の自殺が相次いでいる。韓国で若者に爆発的な人気を博しているドラマ「花より男子(だんご)」(韓国版)に出演中の女性タレント、チャン・ジャヨン(享年26)さんが今月7日に自殺した。12日には、演歌歌手のイ・チャンヨンさん(享年42)が事業失敗を悲観して自殺したと伝えられた。韓国では実は、芸能界に限らず、10年あまり前の「IMF経済危機」のころから自殺者急増しており、政府や民間団体などがさまざまな自殺予防対策に乗り出している。 韓国では昨年10月、国民的女優、崔真実さん(享年39)が自殺し、その直後にチャン・チェウォンさん(享年26)、キム・ジフさん(享年23)といったタレントが相次いで自殺した。後追いとみられる一般の韓国人の自殺も続き、社会問題にもなった。 韓国統計庁によると、2007年の韓国の自殺者は1万2174人で、世界的に自殺者に占める男性の割合は高いが、韓国も全自殺者の約6割を男性が占めた。自殺率(人口10万人当たりの自殺者数)は24・8人とアジアの中では日本と並んで高い。 自殺の手段でいちばん多いのが首つりで、全体の4割強を占めた。続いて農薬、投身などの順となった。 韓国人の死因の順位をみると、(1)がん(2)脳血管疾患(3)心臓疾患(4)自殺(5)糖尿病(6)交通事故-などの順となり、自殺が韓国人の死因4位となった。 自殺者数の推移をみると、1992年は3533人で韓国人の死因10位と低かった。しかし、97年に起きたIMF経済危機の影響で倒産などが相次ぎ、景気が低迷した98年には8569人と5000人近く増え、死因の7位を占めるようになり、その後増加傾向は続いている。 一方、2007年の日本の自殺者は3万3093人で、男性が全体の7割を占めた。自殺率は25・9人と韓国よりも高い。自殺の手段は男性は(1)首つり(2)練炭(3)飛び降りで、女性は(1)首つり(2)飛び降り(3)入水-の順で多かった。 日本では昭和20年代後半から30年代後半にかけては、「薬物自殺」がいちばん多かったが、毒物・劇薬に対する規制が厳しくなると激減。40年代以降は首つりが増加した。 日本人の死因の順位は、(1)がん(2)心臓疾患(3)脳血管疾患(4)肺炎(5)不慮の事故(6)自殺-。自殺は日本人死因の6位で、韓国よりも低かった。 韓国人の自殺が急増していることを受け、韓国政府は自殺防止対策を開始。2013年までに総額5632億ウォン(約390億円)を投じて、自殺死亡率を20%減らす計画だ。また農薬による自殺も多いことから、農薬販売への規制も強化。韓国保健福祉家族省は、自殺の要因に関する心理学的な調査研究も実施する。 2009年 03月 06日
(民友 2009/3/5) http://www.minyu-net.com/newspack/2009030501000637.html 全国の昨年1年間の自殺者数は3万人を超え、ほぼ前年並みになる見通しであることが5日、分かった。警視庁と道府県警が調べた暫定値を共同通信が集計した。警察庁の自殺者数統計は1998年以来3万人を上回っており、11年連続となることが確実になった。 昨年秋以降の金融危機による不況の影響は直接数字に表れていないが、関係機関などは「職を失った人が数カ月たってから生活に行き詰まることもある」として、今後増加する可能性を警戒している。 一方、警察庁は同日、今年1月の自殺者数は2645人だったと発表した。月別の数字の公表は初めてで、自殺抑止の対策づくりに役立てるのが目的。厚生労働省の人口動態統計による前年1月に比べると、340人増加している。 共同通信集計によると、昨年の自殺者数は約3万2000人。前年の同様の集計では約3万3000人だったが、6月にあった警察庁の発表では若干増加しており、最終的にはほぼ前年並みとみられる。 地域別では、北海道と長野県で80人以上、埼玉県でも約70人増加した。反対に兵庫県では約120人、茨城県で100人以上減少した。 Tags:#データ・世論調査など
2008年 10月 19日
韓国から 人気女優・崔真実さんの自殺をきっかけに、韓国ではインターネットの悪質な書き込みを取り締まろうという雰囲気が高まっている。崔さんは高利貸しに手を出した男性タレントの自殺をめぐり、自分を非難する書き込みに悩まされていた。 早速、国会ではネット上の中傷・誹謗を罰する「サイバー侮辱罪」なるものの導入が議論され始めた。野党は言論の自由を盾に反対しているが、韓国では昨年もネットの噂がもとで芸能人が自殺に追い込まれたケースがあり、取り締まりは待ったなしだ。 実は、韓国は自殺多発国である。昨年の統計によれば、韓国人の死亡原因のうち、自殺はがん、脳血管の疾患、心臓疾患に次いで四位。自殺者数は一万二千人を超え、交通事故による死亡者の一・六倍に達する。経済問題を苦にした中高年男性の自殺が目立ち、その意味では「日本型」とも言える。 自殺多発の背景について、有名大学病院の精神科医が新聞の寄稿で「社会が自由になり過ぎた弾みで、世の中が乱暴になったため」と書いていた。本来、人同士の距離が近かったはずの韓国社会が、急激な経済発展や価値観の多様化で変化したことも指摘している。 崔さんの悲報に触れたあるベテラン男優は、「孤独でつらいのは皆同じ。自殺を選ぶのは間違っているよ」と悔しそうに語っていた。崔さんの人気が高かったせいか、「追い込まれる側」の自制力は、あまり話題になっていないが、韓国でも近年、自殺に対する安易な考えを持つ人が増えているという。 命の尊さを教える宗教が広く普及する韓国社会の皮肉な現実である。 < 前のページ次のページ >
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