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2007年 01月 10日
(産経 07/1/10) サモア、バヌアツ共和国、トンガ王国。中国が国交を結んでいる南太平洋の島嶼(とうしょ)諸国の一部だ。ここの住民は2年前から中国のテレビを生で見られる。 中国内外のニュースからドラマ、歌番組まで、中国中央テレビ局(CCTV)の英語国際放送を衛星で受け、地上波で24時間放送しているのだ。 「現地のテレビ局の建物から最新機材まですべて中国の提供ですよ。北京に放送局の技術者らを半年ほど、長い人は5年も招いて研修もさせています」 事情に精通した太平洋学会の中島洋専務理事が明かした。 中国の温家宝首相は昨年4月、軍事クーデターが起きる前のフィジー諸国共和国を訪問、「中国・太平洋島嶼諸国経済発展協力フォーラム」に参集した外交関係のある8島嶼諸国に対して総額30億元(約430億円)もの優遇貸付を約束した。 この外遊には実に400人近い財界人を引き連れ、各島嶼国首脳との間でさまざまな商談も成立させた。この結果、今年はフィジーでも中国の放送が始まる見通しだ。 テレビだけではない。中国の航空会社は現在乗り入れているサイパンに加え、今年からフィジー、クック諸島、フランス領ポリネシアなどにも積極的に乗り入れる計画という。 「昨年12月のクーデターでオーストラリアやニュージーランドはフィジーへの経済援助を停止したが、中国はこの分だけフィジーへの援助を増やすでしょう。クーデターを起こしたバイニマラマ将軍は北京に何回か招待されています」(中島氏) ◇ 今夏、太平洋のオリンピックともいうべき第13回南太平洋競技大会がサモアの首都アピアで開かれる。 主催国のメンツをかけて大量のメダル獲得を目指すサモアは選手の強化コーチ20人をなんと中国から招聘(しょうへい)した。 サモアのスポーツは伝統的にオーストラリアやニュージーランドが育ててきたが、すでに国立競技場や最新式屋内プール、政府総合庁舎、中央銀行、大蔵省の建物もすべて中国の提供だ。 同様にミクロネシア連邦の首都パリキールの大統領、副大統領、国会議長、司法長官の官邸も全部、中国からの寄贈だ。 太平洋での中国のプレゼンス拡大の狙いは何か-。 1951年4月、日本から帰米した直後のマッカーサー元帥は上下院合同議会での「お別れ演説」で「太平洋は米国を保護する巨大な壕となった。事実、太平洋はいまや、米国全土を、さらには太平洋上のすべての自由主義地域を守るシールド(楯)となった」と述べた。 「中国は将来、太平洋をめぐって米国と対等になるか、優位な地位を占めるには、マッカーサーが言ったこの『巨大な壕』を早く埋めておかないと怖いと不安を感じているのではないか。そのために原子力潜水艦を中核とした外洋海軍の建設を進めている」と中島氏は指摘する。 元自衛官で日本政策研究センター研究員の濱口和久氏は「中国は原潜6隻を含め潜水艦を70隻持っている。最近、米空母キティホークを追尾した中国の潜水艦があったが、太平洋、沖縄、尖閣諸島周辺も含めて相当数の潜水艦が日本近海に潜っており、潜水艦技術はかなり先を行っている」と警告する。 ◇ 中国の太平洋への影響力浸透のもうひとつの重要な理由は台湾と外交関係を持つパラオ共和国、マーシャル諸島共和国、ナウル共和国、ソロモン諸島、ツバル、キリバス共和国の6島嶼諸国の取り込みだ。 台湾はしかし、昨年4月の温家宝首相のフィジー訪問に対抗して9月にパラオで「台湾・太平洋友好国サミット」を開催、「民主主義と自由」の価値を訴えて一党独裁の中国との違いを強調した。 台湾は、パラオにはすでに国立博物館、政府総合庁舎、裁判所、国会議事堂を供与している。 日本は昨年5月、沖縄・名護市に14島嶼国を招いて「第4回日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議」を開き、島嶼諸国に総額450億円の支援を約束した。 これは前月の中国の30億元を意識した額だが、支援執行の専従責任者もおらず、太平洋での日本の存在感は薄い。 中国は1960年代末から毎年のように現職閣僚が太平洋を訪問、80年代前半には胡耀邦総書記自らがフィジーやサモアに足を延ばしている。 日本は昨年、当時の小池百合子環境相らがミクロネシア連邦などを訪れたが、これは現職閣僚としては実に19年ぶりのことだった。 「漁業も海底ケーブルも資源もある太平洋が民主主義で安定した海であることは日本の安全保障に必須の条件だ。日本は太平洋に無関心過ぎる」。中島氏の警告と叱責(しっせき)の意味は重い。 2006年 06月 02日
日本と南太平洋諸国・地域の首脳らが集まって、沖縄県名護市で開かれた第四回太平洋・島サミットは、島嶼(とうしょ)国との友好を深めるという大きな成果を上げて閉幕した。 協力発展の礎を固める 海洋国家として生きることを運命づけられているわが国が、南太平洋の島々との協力発展の礎を固めたことを評価したい。特に中国が最近、この地域への外交攻勢を活発化させている折でもあり、対中国戦略の点からも今回の会議は重要な意義があった。 同サミットは地球温暖化などによる環境対策が問題となっているパプアニューギニア、フィジー、マーシャル諸島、パラオ、ミクロネシア、キリバス、ナウルなどの太平洋島嶼国・地域に豪州、ニュージーランドを加えた計十六の国・地域と日本が参加して、一九九七年に東京で初めて開催され、以後三年ごとに日本で開かれている。 成果は首脳宣言と援助国側の日本、豪州、ニュージーランド三国の共同声明でうたわれた。声明では援助担当部門の高級実務者間の政策協議の強化と援助国間の政策対話促進が強調された。 宣言では前回二〇〇三年のサミットで採択された「沖縄イニシアチブ」を発展させた「より強く繁栄した太平洋地域のための沖縄パートナーシップ」がうたわれた。 具体的には地域の安定のための協力継続、経済成長、安全確保などでの日本の支援、自助努力を促すための各国・地域の代表でつくる合同委員会による協力状況の検証などが盛り込まれた。 特に注目されるのは、「国連安保理の早期改革の必要性を認識し、日本の常任理事国入りを支持する」と明記されたことだ。 その背景にあったのは、中国の外交攻勢である。日本は常任理事国入りを目指してドイツなどとともに安保理改革案を共同提案したが、挫折した。票田であるアフリカへの浸透を強める中国による妨害工作のためだった。 その中国は今年四月、フィジーでパプアニューギニアなど台湾と外交関係のない六カ国を集めた「中国版太平洋・島サミット」を開き、温家宝首相自らが乗り込み、三年間で総額三十億元(約四百二十億円)の借款供与を表明した。狙いは台湾との「援助競争」に勝つことと、日本に対抗しての影響力拡大とみられる。 中国の存在感増大は日本外交にとりマイナスだ。小泉首相が、中国を上回る無償資金協力と技術協力を中心とした向こう三年の総額四百五十億円の政府開発援助(ODA)の供与を表明したのもこのためだ。適切な措置といえる。 今回のサミットで再確認すべきは、「海の国」路線こそわが国にとり繁栄の道だということだ。海洋国家のほとんどは自由を価値基準とする。これに対して中国やロシアが属する「大陸国」の多くは、領土問題を抱えるが故に独裁的、覇権主義的傾向を帯びる。 中国の海洋進出が問題 問題は中国の海洋進出だ。中国海軍は対馬海峡から東シナ海、台湾海峡、南シナ海に至る「第一列島線」を守備範囲にしているが、サイパン、グアムを含む西太平洋地域の「第二列島線」までの覇権を目指している。 中国の同地域への急接近はそのための布石だろう。昨年末、マレーシアで開かれた東アジア首脳会議で討議された東アジア共同体構想が中国主導にならなかったのは、豪州、ニュージーランドが加わったからだ。今後ともわが国は「海の国」との連携、協力を強化すべきである。 2006年 05月 28日
島嶼国への支援強化を歓迎-首相会見 小泉純一郎首相は二十七日午前、沖縄県名護市で開かれた第四回太平洋・島サミットの閉幕を受け、パプアニューギニアのソマレ首相と共同記者会見した。 首相は、中国が太平洋島嶼(とうしょ)国に対して経済支援などで影響力を強化していることについて「中国の支援は脅威と受け取っていないし、歓迎したい。支援は多ければ多いほどいい」と強調した。 また首相は、日本が太平洋島嶼国に対し、三年間で総額四百五十億円の政府開発援助(ODA)の拠出を決めたことについて「これを活用して一層の発展を期待する」と表明。 「サミットは太平洋島しょ国の重要な発展に対する日本の外交努力の節目だ。引き続き協力していきたい」と述べた。 < 前のページ次のページ >
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